サニーサイドアップ創業者・高橋恵さんが語る「おせっかい」の極意

毎週水曜日19時からお届けしている週刊『致知』Facebook Live。このたびは『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』が発売1か月で10万部を突破したことを記念して、本書にご登場の方々をゲストにお招きしてお届けしています。第3回にご登場いただいたのは、日本を代表するPR会社・サニーサイドアップ創業者の高橋恵さん。現在は「一般社団法人おせっかい協会」を立ち上げ、思いやりの大切さを社会に広める活動に尽力される高橋さんに、ご自身の原点と信条をお話いただきました。
◎高橋さんご登場の「週刊『致知』Facebook Live」見逃し配信はこちらから視聴いただけます◎

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人間関係の希薄な時代に「おせっかい」を

──第3回となる今回は高橋恵さんをゲストにお招きしております。

高橋さんは42歳の時に、当時高校生だったお嬢様と自宅のワンルームマンションでサニーサイドアップというPR会社を創業。その後、会社の経営はお嬢様に託されますが、3年前に東証一部に上場、日本を代表するPR会社に成長しました。元サッカー日本代表の中田英寿さんや元陸上選手の為末大さんなどのスポーツ・マネージメントを手がけられている他、「世界一の朝食」で有名なbillsを日本に招いたことでもよく知られています。

高橋さんご自身は、経営から退かれた後、「一般社団法人おせっかい協会」を設立されましたね。

(高橋)
私たちが小さい頃は「おせっかい」、いろんな世話を焼いてくださる方が周りにたくさんいました。でも、いまこういう時代になりますと、人間関係が希薄で、なんとなく昔とイメージが変わってきたんですね。私が言う「おせっかい」というのは、損得を考えない、見返りを求めない行為です。そして学歴も国籍も職業も関係なく、皆同じ人間として平等に幸せになる権利があるのだから、人は皆お互いに支えあって生きていくことが大事なんじゃないか。私はこれを理念に「おせっかい協会」を立ち上げて、お互いが見返りを求めない「おせっかい」を通じて世の中を変えていこうという運動をしているわけです。

 ──いま協会にはどれくらいの方が参加されているんですか。

(高橋)
自宅のマンションで開催しているサロンにはもう数百人の人が参加してくださっていますけれど、その中でも十数人のメンバーはしょっちゅう来てくれていて、本当にいい関係です。いろんなことを手伝ってくれています。

 ──さて、高橋さんもご登場くださっている『365人の仕事の教科書』がいま大きな反響をいただいております。ブックファースト中野店でも、高橋さんのご著書『あなたの心に聞きなさい』のすぐ横に『365人の仕事の教科書』を置いてくださる働きかけをしていただき、ありがとうございます。これこそ「おせっかい」の真骨頂だと感動しました。高橋さんご自身は『365人の仕事の教科書』が反響を呼んでいる理由をどう感じられていますか。

(高橋)
このコロナ禍で、皆さん、誰かに頼りたいというか、人生の基本軸がいま揺れていると思うんですね。当たり前だと無意識に思っていた価値観が、大きくいま崩れてきている。多くの方が生きること、働くこと、どうあることが自分にとって、自分の大切な人にとって幸せなのか、そのヒントを皆欲してるのではないかと思います。そういう意味で、『365人の仕事の教科書』は仕事だけではなく、人生の大切な教科書だと私は思っています。

 人間学に関して43年間発信し続けてきた致知出版社だからこそ実現できた一冊であると思うし、有名無名の一流の方々がどんなことを大切に生きてきたかっていうことを分かりやすくコンパクトに書いてある。365人の知恵が一冊に全部入っている。ですから、この人生の教科書をお読みになると、皆さん、考え方が必ず変わると思います。

 それに、値段も2千円そこそこなので、一人の登場者の方の人生が10円もしないで読めるということなんですよ。まさに永久保存版です。

 ──高橋さんの記事は「412日」に掲載されていますが、改めてご自身の記事をお読みになって、感じられたことはありますか。

(高橋)
感じることはもうたくさんあります(笑)。私は先の戦争で父親を亡くし、母が苦労して私たち3人姉妹を育ててくれました。母はその苦労に耐えかねて、無理心中寸前までいったことがあったのですが、その時、家の玄関に1枚の紙切れを挟んでいてくださった方がいたんです。その紙切れには、「あなたには3つの太陽(3人の子供)があるじゃありませんか。いま、雲の裏に隠れていても、必ず光り輝く時が来るでしょう。それまではくじけないで頑張ってください」って書いてあった。この一枚の紙切れがあったから、母は無理心中を思いとどまり、私はきょうここにいるんです。だから、私が雲から出てきた太陽ならば、今度は自分が多くの人を光り輝かせたいっていう思いでここまで歩んできたんです。

 その一環として、ここ10年くらい毎朝どんなに眠くても、マンションから見える太陽、日の出を撮影して、皆さんに送り続けているんです。その太陽の写真に自分が感じた言葉、これまで78年の人生で味わってきた、絶対に教えたい言葉を書いて「おせっかいカレンダー」をつくっています。とにかく、どんなことでもいいから、多くの人が幸せな気持ちになってほしいんです。それだけなんです。だから見返りを求めないし、地位も名誉も何も関係ないんです。

 私も今年79歳ですから、「地球滞在期間」はもう短い。だから、余計に多くの人に「おせっかい」、思いやりの大切さを知ってもらいたいという、その思いだけなんです。

一言の言葉、一枚の紙切れでも、人を救うことができる

──高橋さんの記事のタイトルは「天知る、地知る、我知る」ですが、この言葉にはどういう思いが込められているのでしょうか。

 (高橋)
これは私の母がずうっと言い続けていた言葉です。私たち姉妹3人を並ばせて「天が見てます、大地が見てます。あなたが一番知ってるでしょう。だから、どんなに貧乏になっても、心まで貧乏に染まってはいけません」ということを、小さい時から事あるごとに言い続けてくれた。

 こういう道徳教育が小さい時にされていたから、私はいろんな苦しいことがあった時に、母の「天知る、地知る、我知る」という声が聞こえてきて救われたんです。だから皆さん、大事な言葉は小さい時に、お子さんに教えておいたらいいんじゃないのかなあと思います。そういう思いがあって、この「天知る、地知る、我知る」は、セミナーの時でもよく話しているんですね。

 それと、母は「あなたにはあなたのいいところがいっぱいあるじゃない」って私に言い続けてくれていました。これを言い続けてくれた母に、私は本当に感謝しているし、もう、話すと涙が出るから話せないんですが……。

──本当に素晴らしいお母様ですね。

(高橋)
それで、私の記事の最後は、「たった一言の言葉、たった一枚の紙切れでも、人を救うことができる」という言葉で締め括っているんですけど、最近、そのことを改めて実感する出来事がありました。昔、私が落ち込んでいる時にある新聞の編集長から励ましのお手紙をいただいたのですが、いろいろあってお礼を言いそびれていたんですね。でもこのコロナ禍で、身の回りの整理、断捨離をしていると、その編集長の手紙が出てきたんです。ちょっと読ませていただきます。

 「あっという間に晩秋、初雪便りが聞かれだしましたね。近ごろ、ちょっと落ち込んでいるとのこと、元気を出してください。踏まれても、蹴られても、ぼくは立ち上がってきました。……じたばたしても、どうにもならぬ今の世の中、開き直って、生きるしかないでしょう。女ひとり、複数のスタッフを率いて前進するのは大変でしょう。しかし、船長さんがしっかりしないと、大波は乗り切れません。独立1年半、立派だったと思います。苦しくても、『心に太陽、唇に歌を』。生きる道はこれしかありません。皆様によろしく。健闘を祈ります!!」

 この編集長のことが本当に気になって、どなたかこの方を知らないかってフェイスブックに投稿しましたら、関係者の方がいろいろ調べてくださったのですが、もう亡くなっていたんです。これはまさに天国からの手紙だと思いました。

ただ、何が一番悲しかったかといえば、なぜ自分の心で思った時にお礼が言えなかったんだろうということです。本当に悲しかった。誰かにお礼を言いたいと思っても、やはり思っただけでは相手に通じない。だから、感謝の気持ちを抱いたら、それを相手の方に絶対に伝えてほしい、思ったことは即実行だと、今回この手紙でつくづく感じました。

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高橋恵さんが『致知』2021年5月号トップ対談にご登場! 対談のお相手は自宅の隣に設立した「のらねこ学かん」の運営を通して知的障碍者が集える場所をつくり、守り続けてきた塩見志満子さん。幼少期からの試練の連続の中で、「誰かのために生きる」という人生の喜びを掴んだお二人に、命を輝かせる生き方について語り合っていただきました

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学びと実践で、人生はいくつになっても楽しめる

──『365人の仕事の教科書』の中で特に印象に残った記事はございますか。

 (高橋)
一つは「2月5日」の九州ルーテル学院大学客員教授・大畑誠也さんの記事「教室中の親子が涙した最後の授業」。これは本当に親に感謝しなさいっていうことを教えてくれる記事、手紙なんです。私自身も、絶対に親には感謝すべきだと思っているので、この記事を皆さん読んでいただき、大いに泣いて、大いに親のことを気遣ってほしいなと思うんですね。

 いまの時代、年を取った親の面倒を見ない人が多いんです。そしていざ亡くなったら親族でお金の奪い合いをするんですよね。私はそれがすごく悲しいんです。そういう世の中じゃなくって、やっぱり親を大事にする気持ちをしっかりと子供たちに教えていかなくてはいけないんじゃないかと感じます。

 これくらいの熱血先生がいなくちゃダメなんですよ。もう本当に、このぐらいのことを私もいまの若い人たちに言ってあげたいという気持ちなんです。自分の人生は短いだけに、私が死んだらもう話してあげられませんから。

 ──もうお一人、特に印象に残った方がいらっしゃればご紹介いただけますか。

 (高橋)
「6月25日」に掲載されている渋沢栄一のお孫さんでエッセイストの鮫島純子さん。あの方の生き方も、本当にその通りだなあと。鮫島さんは「オレオレ詐欺」に遭っても、犯人を決して恨まず、何事も「愛の練習所」と受け止めて生きてこられた。私自身も、車内に置いていた毛皮を盗られたことがあったのですが、もう悔しいとかもったいないとか思わないで、ああ、誰かがその毛皮を着て温かいと思っていたらそれでいいわって諦めました。もう、ないものはないわけですから後悔してもしょうがない。そんなにネガティブに考える必要ないんですよ。

 私もこれまでいろんなことを経験して、ここまで歩んできました。だから、鮫島さんがおっしゃるように、人生には一つも無駄はないと思うんです。

 ──高橋さんのご体験とも重なり合うものがあり、より一層心に沁みたのでしょうね。『365人の仕事の教科書』の中に出てくる方々に共通するものを挙げていただくとすれば、どんなことでしょうか。

 (高橋)
本当に皆さん、これまで全身全霊をかけて実践してきたこと、体感したことを書いていらっしゃると思うんです。そして、頭だけを使うのではなくて、心と体を使って行動して、しかも見返りを求めていない。まさに「おせっかい」というギフトを自分の周り50センチ圏内の人に届けていくことが、人も社会も前進させていくんだなと改めて感じました。

 だから、もう本当に難しいことじゃない。私は宅急便の方が来ても、ぱっとお茶とかお菓子をあげるんですが、自分がされてよかったことはする。相手が喜ぶことをやることが、一番いいんです。この本の中には、大変いいお話がいっぱいあるんですが、それをただ読んでよかったなと思うんじゃなくて、学んで、実際に行動してほしい。もうこれに尽きます。

 いくつになっても、人生の後半が楽しいんです。皆さんも年を取ったからもういいだろうと思わないで、学びを実践して、どんどん、どんどん周りに「おせっかい」をしてほしいと思います。

 ──最後に『365人の仕事の教科書』のもとになっている月刊『致知』についてもメッセージをいただければと思います。

 (高橋)
ぜひもっと多くの方が『致知』を読んで元気になってほしいですね。特に若い方に『致知』を勧めると、面接などで「君が『致知』を読んでいるなら、信用できる。ぜひ採用したい」と、就職が決まったという方が大勢いらっしゃるんですよ。『致知』には、そういう力もありますので、皆さん、もっともっと『致知』で人間学を学んでいただきたいですね。それに、若い人が読むようになって、若い息吹が入っていけば、もっと素敵な雑誌になるんじゃないかと思います。


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※本記事は『11話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』発売記念!週刊『致知』Facebook Liveの内容を編集したものです。

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◇高橋 恵(たかはし・めぐみ)
昭和17年生まれ。一般社団法人おせっかい協会会長。3歳で父が戦死し、母子家庭3人姉妹の次女として育つ。短大卒業後は広告代理店に勤務し、結婚退職後、子育てをしながら保険の外交員やさまざまな商品の営業に従事してトップセールスを記録。42歳で、当時高校生だった現社長の長女と共に自宅のワンルームマンションで株式会社サニーサイドアップを創業。平成28年には世界のPR会社19位(日本1位)にランキングされ、平成30年に東証一部へ上場した。

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