元世界No.2 営業ウーマン・和田裕美さんが大切にしている「目標設定の仕方」

毎週水曜日19時からお届けしている週刊『致知』Facebook Live。1月の配信は『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』が発売1か月で10万部を突破したことを記念して、本書にご登場の方々をゲストにお招きしてお届けしています。第1回のゲストはビジネスコンサルタントの和田裕美さんでした。和田さんは23歳の時に完全歩合制の営業職に飛び込み、創意工夫を重ねながら人の3倍働き、世界第2位の販売実績を挙げています。営業現場で働いていた当時を振り返っていただきながら、いまも仕事で大切にしているモットーを伺いました。
◎和田さんご登場の「週刊『致知』Facebook Live」見逃し配信はこちらから視聴いただけます◎

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目標の山脈を登り続ける

――『11話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』が発売1か月で10万部を突破したことを記念して、3回にわたってお届けするスペシャルライブ。この記念すべき第1回の特別ゲストは和田裕美さんです。きょうはよろしくお願いいたします。


(和田)
お声がけいただきありがとうございます。私はまず、この『11話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』の登場者の一人として、私の記事を載せてくださったことに感謝感激しています。しかも、その記事は2004年の時のものですよね。

『致知』には人の生き方や考え方、特に尊敬するような人格者の方々がたくさんご登場されており、そうした方々の宝物のような言葉がいっぱい詰まっています。その『致知』42年の膨大な記事の中から、365人が厳選されてこの『11話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』が出来上がっている。まさにこの本は〝生き方の辞書〟のような一冊だと感じています。

人との付き合い方のことも書いてあれば、仕事の考え方、目標設定の仕方など、それぞれの道のプロフェッショナルたちが人生で経験されたこと、乗り越えてきた苦労がまとめられていますよね。だから、すごく苦しい時に読んだら、「もっと頑張ろう」と思えるし、逆に調子がいい時に読んだとしても、「こんなふうにヒントをもらったらいいんだ」という気づきも得られます。

――和田さんは228日のページで「好成績を維持する秘訣」と題してご登場いただきましたが、和田さんご自身は改めてこの記事を読み返されて感じたこと、心境の変化などはありますか?

(和田)
2004年はまだ営業の第一線にいたので、その勢い、強さのようなものはちょっと感じるんですけど、その時といまの自分とで、変わっていないところもあります。それは目標についてのところで、この記事の中でもこのように発言しています。

「例えば、今月の売り上げ目標を200万円として、第1週で50万円、第2週で70万円を達成したとする。第3週で目標達成ですよね。でもそこで目標を250万円とか、上方修正するんです。そうしてずっと、『もうちょっと、もうちょっと』を楽しむ。ゴールを通過点として走り続けるのです」

目標を達成しそうになったら次の目標を立てる。これはいまもセミナーでよく伝えていることで、それを私は「目標の山脈」と表現しています。人間って、目標を目指して努力していると、達成した時、山頂についた時に、その達成感から休憩に入ってしまう。なので、もうすぐで頂上に着きそうだなというタイミングで、次の山をゴールに据えると、その勢いで、次の山にポーンと乗り移ることができて、最初の目標は実は自分にとっての通過点だったというのが分かるようになるんです。

ゴールしていなくても、8合目付近まで辿り着くと、飽きてしまったり、登るのをやめてしまう人もいます。そういう8割で満足してしまう人はもったいない。絶えず成長し続けることが大切なんです。

こんなことを言うと「しんどそう」と思われるかもしれないですけど、山の登り始めが一番しんどいので、ある程度一つ目の山を登り切ったら次の山にジャンプするほうが、案外大変じゃないんです。

以前、上司に「息を吸って吐くように目標達成しろ」と言われたことがあります。それはどういう意味かというと、〝結果が出て当たり前の体質になれ〟ということなんです。「今月の目標数字どうしよう、駄目かもしれない」と不安に思うのではなくて、「このぐらい行動したら、最低このぐらいまではいく」という圧倒的な安心感を自分の中で持つこと。そうするとネガティブ思考が弱まるので、本当に目標が達成できるようになるのです。

やったことがなくても「できます」と断言する

――和田さんが『11話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』を読んで、特に印象に残っているページはありますか?

(和田)
2つあって、1つ目が118日に紹介されている日本電産の永守重信さんの記事です。この「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」というのがものすごく大事で、私が起業すると決めた時も、「こういう仕事できますか」と聞かれた時には、やったことがなくても絶対に「できます」と即答していました。

自分が「無理」「不可能」と思ったら、絶対にできない理由を探してしまうもの。「できる」と信じて口にし、どうやったらできるのかを必死に探すことが大切です。永守さんもこの記事の中でこの時に『とても無理だ』『不可能だ』とあきらめていたら、日本電産はとっくに倒産していたと思いますと書かれています。永守さんも創業間もない頃、小さな工場の時から「できる」と信じて努力し続けてきたから、現在の日本電産が築かれたのだと思うと、とても励まされます。

もちろん、日本電産の技術力や永守さんの素晴らしい才能があってこそだとは思うんですけど、同じ技術や才能を持っていた他の人たちと永守さんは何が違ったのかと考えると、とにかくやろうとされた姿勢なんだと気づかされました。

「できます」と言ってしまうとすごいプレッシャーがかかるんですよね、本人に。すごく不安だし、本当にできないかもしれない。でも、できると言ってしまった手前、やらなきゃいけない。そう覚悟を固めたところから創意工夫が初めて生まれるのです。いままでやっていなかったアイデアを思いついたり、違う方法を考えたりするようになります。

営業でも目標数字を3倍にしろと言われたら、「できない」と思うんですけど、それは〝いままでの方法ではできない〟だけのこと。「できない」という人に対して、私が20代だった頃の上司はよく、「本当にできないんだったら、できないことを俺に見せてみろ。できないってことを証明する方法は?」と聞いていました。できないことは証明できない()。だからやるしかないんですね。そう考えると、プレッシャーもあってしんどいんですけど、結果的には自分が一番成長できるんです。

〝感情のクレヨン〟で、自分で自分の人生に彩りを与える

――その他、心に残った記事はありましたか?

(和田)
1月27日の藤居寛さん(帝国ホテル顧問)の「10・10・10の法則」です。

これはものすごく共感するんですけど、例えば100のサービスがあって、たった1つのことでもミスをすると、それは100から1を引いて99になるのではなく、それはゼロと同じだとおっしゃっています。信用やブランドを構築するには10年かかるけれど、それを失うのは立ったの10秒。そしてその失った信用、ブランドを取り戻すのにさらに10年かかると。これは企業に限らず、個人でも同じですよね。

この帝国ホテルさんのサービスの哲学を、働くすべての人に浸透しているのが大事ですし、私自身も気をつけなければいけないなと自戒しています。

うちでもセミナーをネット配信していると、インターネットトラブルがあったり、配信ミスがあったりすることがあります。その時に私は、ご迷惑をかけてしまったお客様のことを想像するんです。例えば、うちのミスでダウンロード先のリンクが違っていたのに、何回も何回もクリックして、そのたびにメールアドレスを入力して……と、試してくださった人がいらっしゃると思うんです。その方は絶対がっかりされていますよね。

たとえうちが毎日無料のメルマガを出して、お客様に素晴らしいサービスを提供したとしても、そのたった一回の残念な気持ちでお客様は離れていってしまいます。ですので、私はその時にその残念だった方の気持ちをすごく考え、その方の立場に立って対応策を練ります。単にもう一度ダウンロードができる正しいリンクをお送りして終わりではなく、+αのことを考える。逆に、「ダウンロードできなくてよかった」と思っていただけるようなサービスをしようと心掛けているんです。

――素晴らしいですね。そろそろお時間ですので、最後に、視聴者の方にメッセージをお願いします。

(和田)
人それぞれ、本当に素晴らしい経験があって、どの方も、絶対にこの『11話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』の1ページを飾れるくらいの人生を送っていると思うんです。

いま新型コロナウイルスの影響で、いろいろなことが制限され、コロナ鬱が増えるなどしんどい時期かもしれません。しかし、感情って自分で選べるんです。自分がクレヨンを持っているような気持ちで、怒りのクレヨン、悲しみのクレヨン、笑いのクレヨンなどいろんな選択肢がある中から、自分で自分の感情の色を選ぶのです。どういう気持ちでいることが自分にとってベストなのかを考えながら、自分の心だけはしっかり元気で、毎日笑顔で過ごしていただければなと思います。

(本記事は2021年1月14日に行われた「週刊『致知』Facebook Live」を元に作成したものです)


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◇和田裕美(わだ・ひろみ)
平成3年日本ブリタニカ入社。プレゼンしたお客様の98%から契約をもらい、営業で世界142支社中2位の個人記録を達成。その実績が買われ20代にして、女性初かつ最年少で、2万人に1人しかたどり着けないといわれる支社長となる。13年同社日本撤退後は独立し、ビジネスコンサルタントとして、国内外で研修や講演を展開。著書に『YES9割はフロントトークで決まる!』(日本経済新聞出版社)など多数。

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