地雷撤去に命を懸ける高山良二に学ぶ、伸びる組織のつくり方

400万~600万個もの地雷が残存しているカンボジア。この状況を憂慮し、17年にもわたり現地で地雷撤去活動に邁進してきた元自衛官の高山良二さん。高山さんが過酷な現地活動の中で学び、培ったものを、作家の神渡良平さんと語り合っていただきました。

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伸びる組織とは

(神渡) 

高山さんは現地で地雷撤去活動を続けていかれるうち、外国から来た地雷撤去の専門家だけで行うよりも、村人と一緒になって活動したほうが定着するんじゃないかと考えるようになって、現在の国際地雷処理・地域復興支援の会(IMCCD)を立ち上げられたのでしたね。

(高山) 

現地の住民を雇って活動を行えば、地雷への警戒意識が高まるし、啓蒙啓発もできるし、給料も支給することができる。一石何鳥にもなるんですよ。

ところが最初にそう提案したら、「アホか!」と反対されました。素人の十八歳の女の子にこんな危険なことをさせられるか、何を考えとるんだというんです。

(神渡) 

それで、どうなさったのですか。

(高山) 

ただ、十八歳の女の子もいずれは結婚し、子供も生まれる。その子供が遊び回るようになれば、いまのままでは危険だということが身に染みます。地雷撤去活動をすれば、貧しい彼女たちが収入を得ることもできますしね。そんなふうに考えたら、彼女たちを蚊帳の外に追いやるのではなく、中に巻き込んでやるのが本当だと思いました。危険だから、危険じゃないようにすればいいと皆に訴えたんです。

物事を判断する時、一般的に周りの声とか、空気に流されてしまうことが多いじゃないですか。「こんなことを言ったら、ボロカスに攻撃されるんじゃないか」とかね。しかし私は、本質さえ押さえておったら、判断を間違えることはないと思うんです。

(神渡) 

僕はタサエン村で感じましたが、高山さんのことを村人はものすごく尊敬していますね。最初に触れたペットボトルのシャワーの話に表れているように、「この人は自分たちと同じ生活レベルで頑張ってくれている」と感じておられるんです。

だから村人から「ター(お爺さん)」と呼ばれて親しまれ、外を歩けば「よかったらうちで食べていかない?」とか、「漬け物ができたから持っていって」とか、あちこちから親しげに声が飛んできます。

(高山) 

あの人はよそから来た旅行者ではなくて、村の一員だと思ってくださっているから、そんな声を掛けてくださるんです。ありがたい限りです。

(神渡) 

それに高山さんが、村の青年たちを日本の高校や大学に留学させたり、技能実習生としてお世話されたりしているので、親御さんはとても感謝されていますね。

(高山) 

私の人脈を生かしてお世話しているだけです。

ところで、東京の本部と海外の駐在員は温度差があって皆さん苦労なさるけれども、私もそういう体験は嫌というほどしました。まぁ私の場合は独立部隊みたいな気概でやっとるもんだから、たとえ意見が違っても一歩も引きませんでしたけどね。

そういう中でもずっとやってこられたコツは何かと言うと、現場を信じることですよ。野球の監督が「こいつと心中だ」と思ってエースに最後まで投げさせるのと一緒で、信じるに足る人を選んでその人と心中するつもりで任せ切る。伸びる組織はそこがキーワードじゃないかと思います。

(本記事は『致知』2019年7月号特集「命は吾より作す」よりから一部抜粋・編集したものです。『致知』にはあなたの人間力・仕事力を高める記事が満載です! 『致知』の詳細・ご購読はこちら

◇高山良二(たかやま・りょうじ)

昭和22年生まれ。愛媛県出身。地雷処理専門家。41年陸上自衛隊に入隊。平成4年カンボジアPKOに参加。14年陸上自衛隊を定年退官と同時に日本のNGOの一員としてカンボジアに赴き活動。23NPO法人国際地雷処理・地域復興支援の会(IMCCD)を設立、タイ国境に隣接するカンボジア北西部で活動。著書に『地雷処理という仕事』(筑摩書房)がある。

◇神渡良平(かみわたり・りょうへい)

昭和23年鹿児島県生まれ。九州大学医学部中退後、新聞記者や雑誌記者を経て独立。38歳の時脳梗塞で倒れリハビリで再起。闘病中に書いた『安岡正篤の世界』(同文舘出版)がベストセラーに。現在では執筆の他、全国で講演活動を展開。著書に『安岡正篤 立命への道』『下坐に生きる』『いのちの讃歌』(いずれも致知出版社)など。

 

 

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