聖光学院はなぜ13年連続で甲子園に出場できたのか? 斎藤智也監督流「強い組織」のつくり方

福島県代表として13年連続16度目出場の聖光学院高校は、12日第2試合で海星高校(長崎県)と当たります。この常連校を指導する斎藤智也監督は『致知』誌上で強いチームづくりの秘訣について「強い人間をつくること」と強調。対談相手は新潟県立佐渡高校の深井浩司監督(当時)です。

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「3年で甲子園に行け」が監督採用の条件

(深井)
聖光学院の監督になられたのはおいくつの時ですか。

(斎藤)
平成12年ですから、36歳の時です。(経営陣からは)「3年で甲子園に行け。できなければユニフォームを脱げ」という条件つきでした。

3年であれ命懸けで練習ができると思いました。そしてこの千日しかないというのが逆にプラスだったかもしれません。そして2年目にして幸いにも甲子園に行けたんですね。

(深井)
2年目ということはほぼ現有戦力で、ですよね?

(斎藤)
とにかく3年で甲子園に行くには、技術と体力をいくら磨いたって限界がある。ただ「精神」に関しては無限なので、その無限のものに目を向けて大事にしていけばなんとかなるんじゃないかと。だから練習をさせるよりも、自分がまず必死に勉強をしました。

グラウンドへ行く前に少しでも時間があれば、『致知』や人からいただいた本を夢中になって読む。とにかく1分でも2分でもと時間を忘れて読み、慌てて練習に向かうという毎日を繰り返しました。

そうやって自分の引き出しの数を徐々に増やしていき、その知識が血肉化して、生徒にも伝わっていったということでしょうか。

安岡正篤師の教えに「我が意を得たり」

(深井)
特に強く影響を受けられたのはどなたの本ですか。

(斎藤)
神渡良平先生の『安岡正篤 人生を拓く』でした。それを読んで、本当に涙が止まらないんですね。自分が感動した部分を切り貼りし、選手たちにも配り、解説を加えていきました。

(深井)
それがチームづくりにも生かされていったのですね。

(斎藤)
はい。最近では分からない単語は辞書を引かせ、びっしりノートに書き込ませます。凄いですよ、生徒たちのノート(笑)。

それと、うちのチームのモットーは「不動心」なんですが、私はこれを、何が起きても動じない心、という解釈ではなく、人間の成長過程にある幸不幸のすべてを前向きに受け入れられる心を養うこと、と捉えています。

では不動の心を持つためにはどうしたらよいか。神渡先生は、責任転嫁をしないこと、人と比べないこと、人と比べるから優越感や劣等感が生まれると言われます。

自分の身の回りに起こる不都合や逆境、試練はその人に何かを気づかせようとして必然的に起こる。人間的成長を促すために神様が用意してくださったその試練にしっかり心を開いて向き合えば、どんな不条理なことが起こっても、「いま自分にはこういうメッセージが届こうとしているんだな」といったん踏みとどまって前向きに物事を捉えられるようになる。

そうすればいつの間にか不平、不満は消えていきますね。その段階をさらに越えていくと、試練そのものに対しても逆に感謝の気持ちを持てるようになる。

強いチームは強い人間づくりに始まる

(深井)
才能があるとは、即ち諦めないという気持ち、気力を持っていること。また、毎日やっているキャッチボールやトスバッティングの基礎、基本ができていないと試合にも必ず負ける。練習は決して嘘をつかない。

そういうことをチームづくりをする中で指導していきたいし、結果的に甲子園に行けなかったとしても、物事に対して一途一心に取り組むという姿勢は、社会に出ても必ず生きてくるはずだと思うんです。

(斎藤)
結局強いチームをつくる秘訣を一言で言うと、強い人間をつくることじゃないかと思うんです。

私が選手たちにいつも言うのは、うまい選手よりも強い選手になれ、強い人間になれということで、うまい下手は一言も口に出しません。強い人間の集まりになれば絶対に強いチームになる。

強い人間とは言い訳をしないとか、何事も人のせいにしないということ。強い人間をつくるために指導者は存在する。そのために我われは現場に立たせてもらっていると思うんです。

(深井)
私が生徒たちに教えているのも、いろいろなものに対して常に謙虚に、感謝の気持ちを持って、いまを一所懸命生き抜くということ。その過程の中で、甲子園から呼ばれる時もあれば呼ばれない時もある。勝てる時もあれば勝てない時もある。

でもどんな時でも、一途一心に、いまを一所懸命生き抜く気持ちは忘れてはいけないと思いますね。野球にせよなんにせよ、あらゆる物事は人間づくりから始まるのだと確信しています。


(本記事は月刊誌『致知』2012年2月号 特集「一途一心」から一部抜粋・編集したものです)


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致知出版社編集部ブログ

◇斎藤智也(さいとう・ともや)
昭和38年福島県生まれ。福島高等学校硬式野球部主将、仙台大学卒業。62年学校法人聖光学院高等学校硬式野球部の部長を務め、平成11年監督就任。13年夏には同校を初の甲子園に導き、16年夏、19年夏にベスト16。20年夏、22年夏にベスト8。福島県内公式戦最多連勝記録66連勝。23年県内史上初となる5年連続甲子園出場を決める。

◇深井浩司(ふかい・こうじ)
昭和37年長野県生まれ。丸子実業高等学校硬式野球部で主将を務める。大学卒業後、都内の児童養護施設に勤め、30歳の時、新潟県で社会科の教諭に就く。平成15年新潟県立柏崎高等学校の硬式野球部長として鈴木春樹監督とともに「21世紀枠」で選抜高校野球大会に出場。18年新潟県立佐渡高等学校硬式野球部監督に就任。23年「21世紀枠」で選抜出場。

※プロフィールはいずれも記事掲載当時のものです。

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