片岡鶴太郎×朝倉千恵子「正直者がバカを見ない時代が来る」

お笑いからボクシング、絵画、ヨーガと活動の場を次々と広げていく片岡鶴太郎さん。その片岡鶴太郎さんの大ファンだという朝倉千恵子さんもまた様々な体験を経て、「働く女性の応援団長」という独自の世界を切り拓いてきました。そのお二人が語り合う、「志が求められる時代」の生き方とは――。

志が問われる時代に

〈朝倉〉
3人のレンガ職人のお話ってご存じですか。

〈片岡〉
ぜひ聞かせてください。

〈朝倉〉
中世のヨーロッパで旅人が3人のレンガ職人に出会うんです。旅人が「何をしているんですか?」って聞くと、1人目は「親方の命令でレンガを積んでいるんだよ」と面倒くさそうに答え、2人目は「レンガを積んで壁をつくっているんだ。大変だが賃金がいいからやっているんだ」と答えました。

けれども3人目は「完成まで100年以上かかる教会の大聖堂をつくってるんだ。完成すれば多くの信者の拠り所となるだろう。こんな仕事に就けて本当に光栄だよ」と答えたんです。

3人のやっている仕事は一緒です。でも志が違うんです。1人目は言われたからやっているだけで、2人目は食べるために否応なしに働いていて、2人とも目の前の壁の部分しか見ていない。けれども3人目は、歴史的な事業に参加して多くの人を喜ばせたいという目的意識を持って仕事をしている。しかも、自分が完成を見届けることのできない100年先を見据えて仕事に取り組んでいるんです。

〈片岡〉
見据えているものが、他の2人と全然違うわけですね。

〈朝倉〉
ここまではご存じの方も多いんですけど、実はこの話には続きがあるんです。10年後にこの3人はどうなったか。

1人目は相変わらず文句を言いながらレンガを積んでいました。2人目は、賃金は高いけど危険の伴う屋根の上で仕事をしていました。そして3人目は、現場監督として多くの職人を育て、出来上がった大聖堂には彼の名前がつけられたんです。
 
私はこのエピソードを読んだ時に、涙が出るくらい感動したんです。「これだ!」って。自分は3人目のレンガ職人になりたい。教育を通して日本を、アジアをよくしたい。そして私の後も100年続いていく、志のある仕事をしたいと思ったんです。

〈片岡〉
最近の大人は子供たちに「君の夢は何だ?」って聞くんですけど、僕たちが子供の頃は「君の志は何だ?」って聞かれたものですよ。この志という言葉は、いまなかなか出てこないんですよね。夢っていうと、子供たちはサッカー選手とか野球選手とか、憧れの職業を挙げるし、そこは華やかですが、どこかでお金が絡んでくる印象がありますよね。
 
でも志っていうと、生涯懸けて貫いていくような、何かグッと本質に迫ってくるものがあるじゃないですか。その人の生き方に関わってくるような。
 
いまの3人目のレンガ職人も、レンガを積むという単純作業の中に、自分は皆を幸せにできる素晴らしい仕事をしているんだという、プライドと生きがいがあって、一つひとつ念を入れてレンガを積んでいくわけですよね。

あとの2人は嫌々やっていて、そこに何の精神性もないから、おかしな仕事になっていく。志を持って一つひとつ積み重ねていくことがないと、やっぱり崩れてしまいますよね。

〈朝倉〉
私は、これからは正直者がバカを見ない時代になっていくと思うんです。正直者で誠実にやっている人は必ず多くの人に理解されるようになるし、志が豊かなのか、魂を磨こうとしているのかということがより一層問われる時代になっていくと思うんです。

(本記事は月刊『致知』2019年2月号 特集「気韻生動」から一部抜粋・編集したものです。いま求められるのは「人間力」――人生や仕事、人材育成のヒントが満載!月刊『致知』の詳細・ご購読はこちら

片岡鶴太郎(かたおか・つるたろう)
昭和29年東京都生まれ。高校卒業後、物まねの片岡鶴八師匠に弟子入り。テレビのバラエティー番組を足がかりに大衆の人気者となり、幅広い役を演じられる役者として活躍中。また、画家としても全国各地で展覧会を開催する一方、ヨーギーとしても認められ、賞を受賞するなど活躍は多岐にわたる。著書に『50代から本気で遊べば人生は愉しくなる』(SBクリエイティブ)『心の中に「静」をもつ』(サンマーク出版)など。

朝倉千恵子(あさくら・ちえこ)
昭和37年大阪府生まれ。小学校教師、証券会社などの勤務を経て、平成9年(株)社員教育研究所入社。12年度年間売り上げナンバーワンになり、トップセールス賞を受賞。13年独立。16年(株)新規開拓を設立。著書に『すごい仕事力!』(致知出版社)『コミュニケーションの教科書』(フォレスト出版)など。

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