「運」と「ツキ」は違うもの!? 本当に運が強い人の共通点(西田文郎×林野宏)

潰れかかった会社をクレジットカード業界1位に育て上げたクレディセゾンの林野宏さんと、ビジネス・スポーツ界など様々な分野の一流たちの脳力開発に携わってきたサンリ会長・西田文郎さん。運とツキを引き寄せ、仕事と人生を切り開いてきたお二人が語り合う、運命発展の法則とは。

運とツキの違い

〈西田〉
私は長年、能力開発の仕事に携わってきましたが、すべからく成功者、一流といわれる人たちは運やツキを持っています。ただ、私は「運」と「ツキ」は異なるものだと思っているんです。

〈林野〉
どのように違うのですか。

〈西田〉
「ツキ」というのは、チャンスを掴む能力ではないかなと。思いがけないラッキーが訪れて、それを活かした時に「ツイていた」という言葉を使うと思います。

しかし例えば一代で会社を起こし、成功された方などは「自分がここまでこられたのは、ツイていたからだ」とは言いませんよね。「自分には運があったからだ」と言うと思うんです。

それはなぜか。これは若い頃に人生の師から教わったことなのですが、「苦しみを克服した人にしか“運”はないんだ」と。

一代で大きなことを成し遂げた人は、自分の努力ではどうしようもない様々な逆境、ピンチを潜り抜けてきています。その時、初めて「運」というものを体感するのだと思うのです。

だから、会社を急成長させた若い経営者の方などを見ていて、「この人はツイているかもしれないけれど、運はないかもしれない」と感じたりすることもあるんです。

〈林野〉
なるほど。そういう言われると運とツキの違いも分かりますね。

〈西田〉
さらに、これも同じ師から言われて印象に残ったことですが、「本当の苦しみというのは人生に3回しかない」と言うんです。

1回目は生まれてくる時。記憶には残りませんが、人は産道を潜り抜けるという大変なことを乗り越えて生まれてくるわけですから、誰しも皆運があると。もう一回は死ぬ時です。自分の意思とは関係なく、死は訪れ、息を引き取ります。これは大変な苦しみですよね。

そうすると、人生で本当に苦しむことはあと1回しかない。それなのに多くの人は、10番目か20番目か、あるいは100番目の苦しみに出遭って大騒ぎしている。いま苦しんでいることは、自分の人生で何番目の苦しみなのか考えろと、20代前半で教わりました。

だから僕も苦しいことはありましたが、その苦を楽しんで生きてきました。振り返ってみると、ツイていましたが、まだ運を感じるほどの苦はなかったかもしれないなと思います。


(本記事は月刊『致知』2011年3月号 特集「運とツキの法則」の対談記事の一部を抜粋したものです)

◇林野 宏(りんの・ひろし)
昭和17年京都府生まれ。埼玉大学文理学部卒業後、西武百貨店入社。人事部、企画室、営業企画室を経て、同百貨店宇都宮店次長。57年西武クレジット(現・クレディセゾン)に、クレジット本部営業企画部長として転籍し、平成12年より現職。

◇西田文郎(にしだ・ふみお)
昭和24年東京都生まれ。40年代から科学的なメンタルトレーニングの研究を始め、能力開発プログラムを構築。科学的、実践的なメンタルマネジメントを多分野に導入する。現在経営者の勉強会である「西田塾」主宰。トップスポーツマンやビジネスマンの能力開発指導などに当たる。

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