2018年08月06日
人は何のために生きるのか。
私たちはどう生きるベきなのか――。
いま、生きる意味を問うすべての人に贈る。
月刊『致知』創刊40周年を記念して出版される『人生の法則』(藤尾秀昭・著)。特製箱付きの豪華製本、全400ページを超える本書には、『致知』17年分、204本(2001年11月号~2018年10月号)に及ぶ歴代の総リードを完全収録されています。
いつの時代にも問われる人間の生き方から、経営、マネジメント、リーダーシップの在り方、先哲の箴言、宇宙や生命の神秘に至るまで、人間学の精髄がこの一冊に集約されているとも言えるスペシャル版。
収録された204篇の中から、さらに選りすぐった一篇をご紹介します。
2007年3月号 特集「命の炎を燃やして生きる」より
「足なし禅師」と呼ばれた禅僧がいた。小沢道雄師。大正9年生まれ。
幼年期、曹洞宗の専門道場で修行。20歳で召集を受け満州へ。昭和20年、25歳で敗戦。シベリアに抑留され強制労働。
だが、肩に受けた銃創が悪化し、役立たずは不要とばかり無蓋の貨車で牡丹江の旧日本陸軍病院に後送される。氷点下4~50度の酷寒に夏服のままで、支給された食料は黒パン1個、飲み水もままならず、3日間を費やした行程で死者が続出した。
小沢師は死こそ免れたが、両足が凍傷に冒された。膝から切断しなければ助からない。その手術の担当軍医は内科医で外科手術はそれが初めて。麻酔薬もない。メスを執った軍医がしばらく祈るように目を閉じた姿を見て、小沢師はこの軍医に切られるなら本望だと思い定めた。
想像を絶する激痛。歯がギリギリ噛み合い、全身がギシッと軋んで硬直した。すさまじい痛みは1か月余続いた。
8月に突然の帰国命令。
歩けない者は担架に担がれ、牡丹江からハルピン、奉天を経て胡廬島まで、1500キロを徒歩で行くことになった。だが、出発して3日目の朝、目を覚ますと周りには誰もいなかった。満州の荒野に置き去りにされたのだ。
あらん限りの大声で叫んだ。折よく通りかかった北満から引き揚げ途中の開拓団に救われたのは、僥倖というほかはなかった。
崖っぷちを辿るようにして奇跡的に帰国した小沢師は、福岡で再手術を受け、故郷相模原の病院に送られた。母と弟が面会に来た。
「こんな体になって帰ってきました。
いっそのこと死のうと思いましたが、帰ってきました」
言うと、母は膝までの包帯に包まれた脚を撫で、小さく言った。
「よう帰ってきたなあ」
母と弟が帰ったあと、小沢師は毛布をかぶり、声を殺して泣いた。懊悩の日は続いた。気持ちはどうしても死に傾く。その果てに湧き上がってきた思いがあった。比べるから苦しむのだ。比べる元は27年前に生まれたことにある。27年前に生まれたことを止めて、今日生まれたことにしよう。両足切断の姿で今日生まれたのだ。
そうだ、本日たったいま誕生したのだ。
足がどんなに痛く、足がなく動けなくとも、痛いまんま、足がないまんま、動けないまんま、生まれてきたのだから、何も言うことなし。
本日ただいま誕生!
深い深い覚悟である。
一、微笑を絶やさない
一、人の話を素直に聞こう
一、親切にしよう
一、絶対に怒らない
小沢師はこの四つを心に決め、58年の生涯を貫いた。命の炎を燃やして生き抜いた足なし禅師の人生だった。
「主」という字の
「丶」はロウソクの炎。
「王」は台のこと。
自分のいる環境を照らして生きる人のことを、主という。
命の炎を燃やして生きるとは、自分が自分の人生の主人公となって生きることである。
『人生の法則』3つの魅力
【1】総リードをそのままに再現!
「『致知』掲載時のままの形で総リードを読みたい」という愛読者の多くのご要望から生まれた本書。判型も『致知』本誌と同じB5判です。
【2】豪華装幀の永久保存版!
特製箱付き。高級感があり、座右の書となる一冊です。
【3】17年分、204本を完全収録!
2001年11月号から、2018年10月号までを網羅
『致知』創刊40周年記念出版
『人生の法則』~『致知』総リード特別篇~
(藤尾秀昭・著)
定価=本体10,000円+税
……………………………… ◎各界一流プロフェッショナルの珠玉の体験談を多数掲載、定期購読者数No.1(約11万8,000人)の総合月刊誌『致知』。あなたの人間力を高める、学び続ける習慣をお届けします。 たった3分で手続き完了、1年12冊の『致知』ご購読・詳細はこちら。 ≪「あなたの人間力を高める人間力メルマガ」の登録はこちら≫
※購読動機は「③HP・WEB chichiを見て」を選択ください