2018年07月06日
全日本男子チームをはじめとするトップアスリートを指導し、自身もボディビル選手権で優勝するなど、まさに「体を強くするプロ」である日本体育大学准教授の岡田隆さん。その岡田さんに、多忙なビジネスパーソンでも短期間で体を鍛えることができる目からうろこのトレーニング法「HIIT」について教えていただきました。
現代人は死の階段を駆け上がっている
移動はいつも電車か車。駅やオフィスではエレベーターやエスカレーターに頼り切り、仕事中は長時間椅子に座ったままパソコンと睨めっこ。運動でしっかり汗を流すこともない上に、コンビニやファミレスで、いつでも好きなものを食べたい放題に食べる。
こんな不健康な生活を続けている現代人から、体の衰えや体調不良、様々な病気に陥る人が続出しているのは当然といえるでしょう。摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスは崩壊し、死への階段を駆け上がっていると言っても過言ではありません。
では、どうすれば上り続けていた死への階段から下り、健康を取り戻すことができるでしょうか。
私はスポーツ医学の専門家として、昨年のリオ五輪で躍進を遂げた柔道全日本男子チームをはじめとするトップアスリートの体づくりを指導しています。また高齢者の介護予防や怪我に悩む方のリハビリ指導もしてきました。そして私自身もボディビル選手として日々トレーニングを実践しています。
もともとは柔道に励んでいたのですが、大学時代に大きな怪我をして引退を余儀なくされ、それをきっかけにスポーツ医学に興味を持ち、体を強くする方法について研究を続けてきたのです。
こうした専門家の立場から、忙しい現役世代も、年配の方も、僅かな時間で効率よく運動不足を解消し、体の活力を取り戻し、不調や病気に陥りにくい体をつくる方法をご紹介したいと思います。
短時間で最大の効果が得られるHIIT
私が取り組んでいるボディビルは、大会までの限られた時間の中で、少しでも筋肉を大きくし、体脂肪を削ぎ落とさなければなりません。
ですから効果の出ない方法はどんどん淘汰され、最短で、確実に効果の出るトレーニング法が蓄積されているのです。
その中の一つで、一般の方々にも簡単に実践でき、高い健康効果を期待できるのがHIIT(ハイ・インテンシティ・インターバル・トレーニング)というトレーニング法です。
これは、20秒の運動と十秒の休息を繰り返す方法で、1990年代に立命館大学の田畑泉教授が論文発表し、その後、改良が重ねられてきたものです。
私はこのHIITを、特定の器具を使わず、自分の体重を使って行えるよう独自に工夫を加えることで、体に過剰な負担をかけることなく、一般の方でも安心して実践できるようにしたのです。
HIITにかかる時間は僅か数分ですが、時間当たりの消費エネルギーは筋トレやランニングの2倍以上。そして体脂肪の減少、全身持久力の向上、筋力の向上、筋持久力の向上、また種目によっては柔軟性の向上と、様々な効果が同時に見込めます。
トレーニングに時間を割けない方には、まさにうってつけの方法といえます。
(本記事は『致知』最新号2017年10月号 特集「自反尽己」より一部抜粋したものです。仕事に役立つ珠玉の体験談が満載の月刊『致知』の詳細・ご購読はこちらから)
◇岡田隆(おかだ・たかし)
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昭和55年愛知県生まれ。日本体育大学卒業。日本体育大学大学院体育科学研究科修了。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。平成28年日本社会人ボディビル選手権大会優勝。著書に『HIIT体脂肪が落ちる最強トレーニング』(サンマーク出版)など。オフィシャルブログなどでも効果的なトレーニング法を広く公開している。