右耳が聞こえなくなったコロッケさんに、母親が言い聞かせた5つの言葉

岩崎宏美、美川憲一、五木ひろし、森進一、北島三郎……。ものまねタレント・コロッケさんのレパートリーは300を超えると言われています。いまや、ものまねの世界で押しも押されぬ存在ですが、そのコロッケさんが長い間、周囲に話さなかった事実があります。それは、右耳が「聞こえない」ことでした。

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片耳になって

コロッケさんが中耳炎になったのは小学校2年生の時。しかし、そのことを家族には話さなかったそうです。家がとても貧しく、女手一つで2人の子供たちを育てる母親のことを思うと、どうしても言い出せなかったのだとか。

それでも、耳の痛みはその後も時々起こり、中学2年の時、突然耳鳴りがして右耳に激痛が走り、倒れ込んでしまうのです。そのまま入院となり、治療の甲斐なく右耳の聴力は失われてしまいます。

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〈コロッケ〉
母は「大丈夫ね?」と声を掛けてくれましたが、その表情はとても辛そうでした。母は痛みを打ち明けられずにいた僕の気持ちを分かってくれていたでしょうし、そうさせてしまった自分を責めていたに違いありません。

僕はと言えば、落ち込んだのは本当に一瞬でした。「左耳が聞こえるからいいや」とすぐに気持ちを切り替えていました。

両耳が聞こえることを期待するのではなく、片耳になってどうすべきかを考えていました。自分から先回りして相手の右側に座る、それもふざけたりしながら相手に気づかれないように自然な形で振る舞う、という技術をいつの間にか身につけていったんです。この時の呼吸は、その後、お笑いの世界に入ってからも大変役に立ちました。

「この言葉だけは覚えておきなさい」

そんなコロッケさんの原点とも言える言葉があります。

「この言葉だけは覚えておきなさい。これを覚えておけば大丈夫だから」と母親が教えてくれた「あおいくま」の教えです。

あせるな

おこるな

いばるな

くさるな

まけるな

この5つの言葉は、その後の人生の様々な局面でコロッケさんに大きな力を与えます。

中学生になった頃から芸能界に強い憧れを抱くようになり、19歳で熊本から上京。その後、六本木のショーパブでものまねを披露しながら芸能界入りの機会を窺いましたが、なかなかチャンスに恵まれません。小さなアパートに住んで質屋通いを続けるコロッケさんを励まし続けたのが「あおいくま」の教えだったそうです。

コロッケさんの名を不動のものにしたのは1982年の「ものまね王座決定戦」での優勝。この時、母親から言われた「これからたい(おまえはまだまだこれからなんだよ)」という言葉はコロッケさんに1つの気づきを与えます。

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〈コロッケ〉
それまでの僕は「あおいくま」の言葉を他の誰かを対象として考えていました。○○さんに対して怒るな、○○さんに負けるな、○○さんに威張るな……。しかし、それはすべて他人ではなく、自分自身に向けての戒めの言葉であることに、ようやく気づくことができたんです。
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「相手が1番、自分は2番」というコロッケさんの人生観はこのような中から生まれたのです。


(本記事は月刊『致知』2018年8月号 特集「変革する」より一部抜粋したものです)


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◇滝川広志/コロッケ(たきがわ・ひろし/ころっけ)
昭和35年熊本県生まれ。55年日本テレビ系『お笑いスター誕生!』に出演し銅賞、銀賞を獲得し芸能界デビュー。ものまねのレパートリーは300を超える。6月公開の映画『ゆずりは』で初めて主演を務めるほか、災害復興支援活動にも積極的に取り組む。

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