宮里藍が語る、勝負に勝つ心の持ち方、鍛え方

 

4歳でゴルフを始め、宮城・東北高3年の時に参加したミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン(2003年)でアマ選手として30年ぶり、国内ツアー史上最年少Vを達成、プロ転向後も2010年に世界ランク1位になるなど、国内のみならず世界の舞台で活躍を続けた宮里藍さん。その宮里さんが18歳の時の貴重なインタビューの一部をご紹介させていただきます。

切り替えと割り切りが大事

――試合に臨まれる時、心掛けていることはありますか。

(宮里) 

そんなに深くは考えていないんですが、先ほども言ったように、ゴルフはとてもメンタル面が影響するんです。ちょっとでも「いやだな」とか「調子が悪いかな」と思うと、すぐボールが曲がっていきます。だから何でもプラス、プラスの方向に気持ちを切り替えようと努めています。

でも、切り替えても切り替えても調子が悪い時もある。そういう時は考え込んでも仕方がないから、「調子が悪い時なりにまた違った収穫がある。これで成長できればOK」と割り切ります。とにかく切り替えと割り切りですね。

 ――逆に調子がいい時は思い通りの所にボールが飛ぶんですか。

(宮里) 

そこもまた難しいところで(笑)、例えば6連続バーディー(そのホールの基準打数より一打少なくホールアウトすること)がきたら、私は自分でストップをかけてしまうんです。怖くなるというか、これ以上いくと落とし穴があるんじゃないかと不安になる。ここが自分の弱点であり、日本人選手と外国人選手の違いだと思います。

 外国の選手は6連続でも7連続でも、「もっと、もっと」と続けられる。一度波に乗ったら最後まで自分を乗せていくし、またそういうふうに選手を育てていますよね。

 私も何度か世界の大会に出て、「ここはパー4(そのホールの基本打数が四打。ゴルフの基本打数)じゃ短すぎる」と思うホールがありましたが、外国では2打で上がろうが、3打で上がろうが、それでOK。どんどんスコアを出させて、どんどん選手を乗せるんです。

 日本はピンポジションを難しくして、スコアを出させないようにするところがありますね。

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勝敗を分けるのは意識

――ところで、宮里さんは大変な読書家と伺っていますが。

(宮里) 

そうですね。本を読むのは好きです。高校に入って読む時間が少なくなりましたが、それでも移動の時はなるべく読むようにしています。

一番読んだのは小学生の頃で、年間300冊くらい読んでいました。

――読書でメンタル面が鍛えられるとか、そういうことはありますか。

(宮里) 

好きで読んでいるだけですからよくわかりませんが、4年連続賞金女王の不動裕理さんも大変な読書家ですし、お父さんもゴルフにつながると言っています。おそらく優勝を競っている時とか、自分を落ち着かせる力になるのかもしれませんね。

お父さんの造語に「静筋」というのがあるんです。ゴルフは何時間もかけて18ホールを回りますが、スイングに要する時間は20分前後。あとは頭で考えている時間だから、「考える力=静筋」を鍛えなさいと。

言われてみればその通りで、パットを沈めるにはこのくらいの力で打つとか、風が強いからこのくらいの力で打つとか、そういうのは全部イメージなんですよね。 

で、その静筋を鍛えるには、本を読んだり、勉強を頑張るのがいいと言われて、試験前とかはゴルフの練習を休んでみっちり勉強させられました。あと、人前で話すのもよいといって、小さい頃は「童話お話し大会」なんかにも出されていましたし。 

――どんな大会ですか? 

(宮里) 

5分程度の童話を覚えて発表する大会です。学校予選、村内予選、地区予選があって県大会があるんですが、小学校の六年間で私は2回県大会に行きましたね。中学生の時は、自分の体験に基づいて話をする「意見発表」があるのですが、それも「ゴルフと私」っていうタイトルで、県大会まで行きました。 

そういうことをさせれば、人前で話すのもうまくなるだろうというお父さんの意図的な作戦で、一番上のお兄ちゃんからみんなやっています。 

(※本記事は月刊『致知』2004年6月号特集「進化する」より一部抜粋・編集したものです。月刊『致知』には仕事力・人間力を高めるヒントが満載です。詳細はこちらから

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 宮里藍(みやざと・あい)

1985(昭和60)年6月19日生まれ、33歳。沖縄・東村出身。4歳でゴルフを始める。宮城・東北高3年の2003年に「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」でツアー最年少優勝し、プロ転向。06年から米ツアーに本格参戦、09年「エビアンマスターズ」で初優勝した。10年には5勝し世界ランクトップに。米ツアー通算9勝。国内通算15勝。昨年9月の米女子メジャー最終戦、エビアン選手権を最後に現役を引退した。

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