「生きた知恵は汗の中から出るもんや」倒産会社の社長の発言を聞いた松下幸之助の金言

裸一貫で創業した松下電器産業を世界的企業にまで発展させ、「経営の神様」と呼ばれ、いまなお大きな影響を与え続けている松下幸之助。その薫陶を直に受け、二十数年を側近として過ごした江口克彦さん(PHP総合研究所元社長)に、松下哲学の神髄が伝わってくるエピソードを紹介していただきました。

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物事は考え方によって180度転換する

〈江口〉
松下幸之助の言葉に「風が吹くときは絶好や。凧がよう上がる」というのがあります。あるいは「短所は長所、長所は短所」とも言っています。

たしかに、考え方、見方によって物事は180度転換します。だから、経営者が業績の悪さを景気のせいにしてはいけないのです。

松下が「好況よし、不況なおよし」と言っているのもそのことです。松下電器がそうでした。松下幸之助が元気だった頃は、不況のときにむしろ取り引きが拡大しているのです。

なぜかと言いますと、不況になると誠実で確実な企業と取り引きをしたいと思うのが人情です。好況のときにいくらいい成績をあげていても、お客様のことを考えず、会社のこと、自分たちのことばかりを考えていた企業は、不況時には相手にされなくなります。

 私が30歳になるかならないかの頃、ある経営者から、

「知恵ある者は知恵を出せ。知恵なき者は汗を出せ。それができない者は去れ。それがオレのモットーだ」

と聞かされたことがあります。そのことを松下に話すと、「その会社は潰れるな」と言いました。そして、こう続けたのです。

「わしなら、まず汗を出せと言う。汗のなかから知恵を出せ、それができない者は去れと言う。汗のなかからホンマもんの知恵が出るんやで。生きた知恵は汗のなかから出るもんや」

予言通りその会社は倒産しました。そのように、汗を出すこと、ほんとうの汗を流すことに徹すれば、不況どこ吹く風となるのかもしれません。


 (本記事は月刊『致知』1997年5月号 特集「リーダーシップの本質 」より記事の一部を抜粋・編集したものです)

◇江口克彦(えぐち・かつひこ)
1940年、名古屋生まれ。前参議院議員(1期)。愛知県立瑞陵高等学校を経て慶應義塾大学法学部政治学科卒。松下電器産業(現パナソニック)入社後、1967年PHP総合研究所へ異動。秘書室長、取締役、常務取締役を経て1972年専務取締役、1994年副社長、2004年社長に就任。2009年退任。その後、執筆・講演を中心に活動していたが、「みんなの党」の渡辺喜美代表からの要請に応え、「地域主権型道州制」の政策を掲げ、2010年7月の参議院議員選挙に出馬、当選。松下幸之助のもとで23年側近として過ごし、松下幸之助に関する多数の著作がある。松下幸之助哲学の継承者、伝承者と評されている。

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