2 月号ピックアップ記事 /致知随想
一振り一振りに丹精を込める 下島房宙(刀鍛冶)

小学生の時に東京国立博物館で見た日本刀の美しさに魅せられ、高校卒業後、刀鍛冶の修業に飛び込んだ下島房宙さん。独立後は、埼玉県に鍛錬道場を構え、古来の作法を守りながら、一振り一振り丹精、真心を込めて日本刀づくりに向き合ってきました。刀鍛冶の一道を歩み続ける下島さんに、これまでの歩みと、日本刀に懸ける思いを伺いました。

鍛錬場では、古来の作法を守って神棚を祀り、注連縄を張り、白装束を着て仕事に向き合います。
お客様からご注文を受けてから、その方の幸福を願い、一振り一振り丹精、真心込めて時間をかけてつくっていきます
下島房宙
刀鍛冶
中学1年生の社会科見学が私の運命を決定づけました。訪れた東京国立博物館で初めて日本刀を間近に目にし、銀色に光り輝くその美しさに心奪われてしまったのです。
さらに、解説を読むと800年前につくられたと書かれてあり、なぜそんな昔に鉄でつくられたものが錆ずに美しいまま残っているのだろうと不思議でなりませんでした。もともと戦車や戦闘機が好きな子供だったのですが、そうした現代兵器ですら、それほどの年月が経てば当然、壊れて朽ち果ててしまいます。
以来日本刀について調べるようになり、日本刀は単なる武器ではなく、皇室の三種の神器の一つである神聖なものであること、国家安泰や子孫繁栄を願って丹精込めてつくられ、神社仏閣に奉納されたり、家宝として代々受け継がれたりする〝守り刀〟であることなどを知り、その魅力にどんどん惹き込まれていきました。
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本記事では刀鍛冶の道一筋の下島さんに、厳しい修業時代の体験を交え、仕事に込める熱い思いを語っていただきました。ぜひご覧ください。
プロフィール
下島房宙
しもじま・ふさひろ――1993年都内の高校を卒業後、藤原兼房刀匠に入門。1998年文化庁より作刀認可。さらに3年修業を積み、埼玉県神川町に鍛錬場を構えて独立。新作刀展覧会入選多数。2013年全日本刀匠会常務理事会計就任。
編集後記
取材は、埼玉県神川町にある下島さんの鍛錬場にて行われました。実際に下島さんが制作した日本刀を見せていただいたのですが、その迫力に圧倒されると共に、銀色に輝く刀身、波紋の美しさに感動しました。下島さんの真心、祈りが伝わってくるようで、刀鍛冶という仕事の素晴らしさ、尊さを教えられる取材となりました。
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