2 月号ピックアップ記事 /百年企業はどこが違うのか
創業126年 文明堂東京 宮﨑進司(文明堂東京社長) 藤間秋男(TOMAコンサルタンツグループ会長)

事業の永続は多くの会社の願いであろう。しかし100年続く会社は稀であり、百年企業の中からも毎年約400社が姿を消しているのが現実だという。100年の年輪を重ねてなお成長を続ける会社はどこが違うのか。今回は、カステラの老舗・文明堂東京を率いる宮﨑進司氏の奮闘に光を当てた。

会社が長く生き続けられるか否かは、明るい未来が描けているかどうかにかかっています
宮﨑進司
文明堂東京社長
〈藤間〉
文明堂さんは、言わずと知れたカステラの老舗です。いかにしてそのブランドを確立してこられたのか、まず御社の成り立ちからお話しいただけますか。
〈宮﨑〉
弊社は、カステラ発祥の地・長崎生まれの会社です。創業者・中川安五郎の実家は大工を営んでいたそうですが、安五郎は三男で大工仕事に向いていなかったため、お菓子屋さんで修業したらしいのです。そこでカステラに未来を感じて独立し、1900(明治33)年に長崎市内で文明堂を立ち上げました。
そこへ実弟で五男の甚左衛門が修業に入り、後に佐世保で自分のお店を始めました。これが私ども文明堂東京のルーツになります。
〈藤間〉
御社は、創業者の元から分かれてできた会社なのですね。
〈宮﨑〉
そうなんです。現在、長崎には直系四代目が経営する文明堂総本店という兄貴分の会社があり、東京に出てきた私ども文明堂東京は、関東を中心に全国で営業しているのです。
〈藤間〉
東京進出のいきさつは。
〈宮﨑〉
甚左衛門がお店を始めた頃の佐世保は軍港で、最初は軍人さんにたくさん買っていただいていたようですが、ワシントン軍縮会議で日本の軍艦が減らされ、佐世保の商機がすっかり衰えてしまいましてね。一か八か日本一の大市場で旗を揚げようということで、1922(大正11)年に上野でお店を開いたんです。あいにく翌年に関東大震災で焼け出されて長崎へ帰るのですが、すぐに戻ってきて麻布でリスタートしました。……(続きは本誌にて)
~本記事の内容~
◇暖簾分けで全国に展開
◇「カステラ一番、電話は二番、三時のおやつは文明堂」
◇「あなたはきょうから社長になるんですよ」
◇上杉鷹山に学んだ組織づくり
◇会社はどうすれば長く生き続けるのか

〈ホスト〉
藤間秋男(とうま・あきお)
TOMAコンサルタンツグループ会長
昭和27年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。公認会計士税理士。明治23年創業の藤間司法書士事務所の末裔として、昭和57年藤間公認会計士税理士事務所を新規創業。230名の総合コンサルファームにTOMAグループを成長させ、平成29年より会長。著書に『中小企業の事業承継はじめに読む本』(すばる舎)『100年残したい日本の会社』(扶桑社)など多数。
プロフィール
宮﨑進司
やまもと・たかひろ――昭和58年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、東京三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)へ入行。平成20年山本海苔店入社。子会社の丸梅商貿(上海)を経て、シンガポール髙島屋店、台北三越店の立ち上げなどに参画。令和3年社長に就任。
編集後記
本年1月号からスタートした新連載「百年企業はどこが違うのか」。第2回となる今回ご登場いただいたのは、カステラの老舗として知られる文明堂東京の宮﨑進司社長です。伝統と革新で何度も危機を乗り越えてきた足跡から、126年の歴史を紡いできた所以が見えてきます。

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