敬う心が人生を導く 藤間富士齋(藤間流 日本舞踊家)

日本舞踊の五大流派の一つ藤間流の舞踊家として、91歳のいまも舞台に立ち続ける藤間富士齋さん。物心つく頃から日本舞踊の道一筋に歩んできた富士齋さんに、人生の宝物だという師との出逢いと教え、人を成長に導く心の姿勢についてお話しいただいた。

古典をしっかり学んでいる人は、後から必ず伸びていきます。
優れた先人の方々が受け継いできた古典は踊りの歴史そのもので、古典を学べば基礎基本が自然に身につくんです

藤間富士齋
藤間流 日本舞踊家

──富士齋さんは91歳のいまなお現役で舞台に、後進の指導に日々明け暮れているそうですね。

〈藤間〉
年齢のことは考えずにこれまで歩んできましたが、それも多くの方々の支えのおかげと感謝しておりますし、一日一日を大切に過ごす、その継続の重みを実感しております。

日本舞踊家の母(藤間勘太女)のもと幼少の頃よりこの道に入って以来、明けても暮れても踊りという生活を続けてきました。門弟の育成をし、舞台づくりに取り組むことは、91歳になっても変わりません。

──舞踊が人生、生活そのものになっていると。それが富士齋さんの健康長寿の秘訣でしょうか。

〈藤間〉 
ええ、目の前の公演などに意欲的に取り組む、お稽古を通してお弟子さんたちが成長する姿を見ると、元気が湧いてきます。

あとは、好き嫌いせずバランスのよい食事を心掛けています。特に欠かせないのが明治生まれの祖母から伝わる糠漬けです。これだけは一年を通して自分で心を込めて漬けて、毎日食べています。

それにお花も大好きで、お庭で摘んできたお花を神棚や仏壇はもちろん、家中に飾っています。根切りから花生け、お手入れまで全部自分でやるんです。綺麗なお花と触れ合っておりますと、やはり自分自身も生き生きしてきます。

踊り、糠漬け、お花、そして週一回のリハビリで汗を流す。これが私の元気の秘訣ですね。……(続きは本誌にて)

~本記事の内容~
◇明けても暮れても踊りの中に生きて
◇母の導きのもと、日本舞踊の道へ
◇不思議な力に導かれて誕生した山鹿灯籠踊り
◇「敬う心」がよき人生を導く

90を越えてもなお舞台に上がり続ける藤間さんを突き動かすものは何か――。幼少期からの厳しい修業、師匠の教えなどを交えて語っていただきました。

プロフィール

藤間富士齋

ふじま・ふじさい――昭和9年熊本県生まれ。本名・高橋ルミ。九州女学院高校卒。幼少期より藤間流の日本舞踊家である母・藤間勘太女に師事。藤間流家元より13歳で藤間流の名取、師範となる。29年熊本県山鹿市の依頼で山鹿灯籠踊りを考案、振り付けを行う。42年東京に舞踊研究所を開設。古典舞踊の伝承に心血を注ぐ傍ら、「細川ガラシャ夫人」「二人静」「熊本城」など創作舞踊に心血を注ぎ、アメリカやデンマークなど海外公演も行う。58年二代目藤間勘太女を襲名。平成2年藤間富士齋を襲名。平成14年くまもと県民文化賞特別賞受賞、29年第67回熊本県近代文化功労者顕彰、令和2年旭日双光章受章など、受賞・受章多数。


編集後記

藤間流の日本舞踊家として90歳を越えるいまなお舞台に上がり続けている藤間富士齋さん。取材会場に着物姿でお越しになった藤間さんの凛とした佇まい、そして立ち姿から、藤間さんが重ねてきた修養が伝わってくるようでした。なぜいまなお現役を貫くことができるのか、何歳になっても充実した人生を実現する要諦が満載のインタビューです。

2025年11月1日 発行/ 12 月号

特集 涙を流す

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