7 月号ピックアップ記事 /私の座右銘
背中で算盤を弾け 中村幸治(共立メンテナンス社長)

各界を代表する企業、機関、団体を牽引してきたリーダーに、人生観・仕事観を形成した体験や、貫いてきた信条を披歴いただく連載「私の座右銘」。今回ご登場いただいたのは、「学生会館ドーミー」ほか約530か所の学生寮・社員寮と、業界に先駆けてサウナつきの温泉大浴場を完備したビジネスホテル「ドーミーイン」などを全国に展開する共立メンテナンスの中村幸治社長です。
徒手空拳で学生寮を立ち上げ、全国規模のビジネスへと発展させてきた創業者・石塚晴久オーナーの仕事姿勢を間近で学んできたという中村社長。人間的な温かみとユニークさ、癒やしを兼ね備えた寮とホテルで躍進を続ける同社の経営の核心とは。宿泊業が大打撃を受けたコロナ禍でのエピソードから、それが浮き彫りになっています。
「背中で算盤を弾け」
利益目標から逆算して価格を決めるのではなく、お客様にご満足、ご納得いただけるサービスが可能な水準の利益率を導き出し、できるだけお客様に還元する。
お客様を喜ばせていれば事業は失敗しない、そう教えられました
中村幸治
共立メンテナンス社長
全国に約530か所の学生寮・社員寮と、約140か所の宿泊施設を擁する共立メンテナンスは、創業47周年を迎えます。
当社の学生寮「学生会館ドーミー」では、各寮に寮長寮母夫妻が常駐し、入寮学生様の生活のサポートについて親身に対応します。朝夕には、手づくりの多彩なメニューの食事を提供。言わば現代版のスマートな下宿屋です。気くばり・目くばり・味くばりといった細やかな配慮を必要としますが、少子化の現代に毎年居室を増やし、100%近い入居率を維持できていることを思うと、当社の根幹を成す寮事業は代え難い基盤であり財産です。
ここで培ったノウハウを基に社員寮事業が生まれ、さらにここからビジネスホテル「ドーミーイン」、癒やしの湯宿「共立リゾート」が生まれ、ビジネスフィールドが拡がりました。業界に先駆けてサウナつきの温泉大浴場を完備、気軽に小腹を満たせる無料の「夜鳴きそば」等を導入し、癒やしに繋がる多様なユニークサービスをご提供しています。
寮とホテル、これら二つの主力事業の大本を辿ると、創業者であり、77歳になる石塚晴久会長の前半生が重なります。
・
・
・
~本記事の内容~
◇食・住・癒やしが成長の原動力
◇オーナー会長との二人三脚を通して学んだこと
◇創業以来の危機的状況で浮き彫りになった存在価値
プロフィール
中村幸治
なかむら・こうじ――昭和37年石川県生まれ。60年金沢大学卒業後、リクルートに入社。経理部門、グループ会社にて従事し、平成7年共立メンテナンスに転職入社。18年取締役、31年常務を経て、令和3年4月より現職。
編集後記
地方出身で一人暮らしをする大学生や専門学校生に人気の学生寮「学生会館ドーミー」や、出張の多いビジネスマンに重宝されるビジネスホテル「ドーミーイン」。一見して利益に直結しないサービスを完備し、支持を集めている共立メンテナンス社を率いる中村社長は、一切自分を飾ることなく、会社の歴史、創業精神について自分の言葉で語られました。「背中で算盤を弾け」の教えは、ビジネスに限らず、人を喜ばせ、自分の人生も発展させる人生経営の法則と言えるかもしれません。

特集
ピックアップ記事
-
対談
我が修行に終わりなし
柳澤眞悟(大峯金峯山回峰大行満)
宮本祖豊(比叡山十二年籠山行満行者)
-
対談
一念の積み重ねこそ経営の真髄なり
大倉忠司(エターナルホスピタリティグループ社長CEO)
貫 啓二(串カツ田中ホールディングス会長)
-
対談
日本復活への道──日本精神をいかに取り戻すか
荒谷 卓(国際共生創成協会 熊野飛鳥むすびの里 代表)
ジェイソン・モーガン(麗澤大学准教授)
-
対談
希望の一念を燃やして生きる ~苦難の先に見えたもの~
浦田理恵(元ゴールボール女子日本代表)
姫野ナル(プロテニスプレーヤー)
-
エッセイ
日本を守った豊臣秀吉の一念
平川 新(東北大学名誉教授)
-
エッセイ
信念は偉大な夢を成し遂げる
榎本雅大(流通経済大学付属柏高等学校サッカー部監督)
-
インタビュー
「感動農業」への飽くなき挑戦
澤浦彰治(グリンリーフ社長)
-
インタビュー
「生命の根源」を求め続けて
神農 巌(陶芸重要無形文化財「青磁」保持者)
-
インタビュー
骨髄バンクと共に──粛々と歩み続けて37年
大谷貴子(全国骨髄バンク推進連絡協議会 副会長)
好評連載
バックナンバーについて

バックナンバーは、定期購読をご契約の方のみ
1冊からお求めいただけます
過去の「致知」の記事をお求めの方は、定期購読のお申込みをお願いいたします。1年間の定期購読をお申込みの後、バックナンバーのお申込み方法をご案内させていただきます。なおバックナンバーは在庫分のみの販売となります。
定期購読のお申込み
『致知』は書店ではお求めになれません。
電話でのお申込み
03-3796-2111 (代表)
受付時間 : 9:00~17:30(平日)
お支払い方法 : 振込用紙・クレジットカード