大自然のリズムを取り戻す〝寝禅〟のすすめ 井上敬雄(真理生活研究所・人間社)

多くの方が悩まれているであろう健康の問題に対し、「体と心は繋がっている」という観点から、読者の皆様に役立つ健康情報をお届けしている連載「大自然と体心」。今月ご登場いただいたのは、真理生活研究所・人間社の井上敬雄さんです。
井上さんは20歳の頃から、同社の創始者である河野十全氏に師事し、自然のリズムに沿った生き方と健康法を探究し、普及に努めてこられました。師匠の河野氏は明治30年、群馬県に生まれ実業家として成功、戦争によって焦土と化した東京の姿に衝撃を受け真理探究の道へ。様々な著作を通して健康法や人間の生き方を説き、一世を風靡しました。その河野氏が生涯実践し、広めていたのが、本欄で紹介する「寝禅」です。
井上さんの語りを通して、現代人の生活の偏りと、自然で幸せな生き方とは何かを考えさせられます。

人間は一人ひとり、皆が素晴らしい存在であり、常に成長発展を続けています。
現代にあっても、自然の摂理に沿って生活することで、自然の力を受け、最もよい形で生かしてもらうことができる

井上敬雄
真理生活研究所・人間社

「寝禅(ねぜん)」

この言葉を初めて聞くという方は多いでしょう。

忙しい日々の中で、心を落ち着かせるために坐禅を組む。これは素晴らしい習慣だと思います。では、寝禅とは何か。ごく簡単に言えば、早寝をし、目の覚めた夜明けの寝床で深い呼吸をするというものです。

私が若い頃、謦咳に接した真理生活研究所の創設者・河野十全(こうのじゅうぜん)先生はこれを「寝ながらできる人間改造法」と表現し、生涯実践しながら多くの人に広めました。この言葉こそ、寝禅のポイントです。

(中略)

昨今、睡眠に関する健康の本や専門家の発言を見ていると、一日△時間で充分といった情報などが多く見られます。何時から何時に寝るのがよいかという話は少なく、日付が変わる前に寝れば早いほうだと思う人が大半の時代です。

考えていただきたいのは、私たちが夜中も煌々と電気をつけて生活できるようになったのは、人間の歴史からすれば、ごく最近だということです。

私が子供の頃、田舎で農家を営む母の実家は、まだランプ生活でした。朝、日が昇るのと同時に起き、夜は油がもったいないので8時には火を消して寝てしまいます。

考えてみれば、私たちは生命の誕生以来、このように日が昇り、日が落ちるという太陽と地球の関係の下で生かされてきたのです。寝禅が目指す早寝早起きとは、単なるお題目ではなく、その自然の摂理に沿って寝起きし、生活全体を自然にする、「自然生活」を取り戻すということです。

……(続きは本誌をご覧ください)

~本記事の内容~
◇現代生活の中に自然を取り入れる方法
◇早寝早起きが人生の土台となる
◇自然に生かされて生きていることの自覚

プロフィール

井上敬雄

いのうえ・よしお――昭和26年神奈川県生まれ。二松學舎大学を卒業後、地元の市役所に奉職。20歳の頃に真理生活研究所・人間社を訪ね、河野十全氏と出逢い、公務員として働きながら氏に師事し、探究を続ける。平成22年退職し、同研究所の所員として、講演などを通じた普及活動に尽力する。


編集後記

特定の薬や食材、器具に頼ることなく、早寝早起きをベースとした〝自然のリズム〟を取り入れることで健康を目指す「寝禅」。そのシンプルにして奥の深いメソッド、創始者の河野十全氏の思想に気づかされることが多くありました。ぜひ、毎日の生活に組み込んで実践してみてください!

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