倒れても、また歩き出せる 小池由久(日本経営ホールディングス名誉会長) 京谷忠幸(シンク・アイ ホールディングスCEO)

ここに幾多の試練に直面しながらも、七転八起の精神で絶望の淵から立ち上がってきた二人の経営者がいる。調剤薬局事業や介護事業をはじめとした事業の多角化を図り、日本経営ホールディングスを日本を代表する会計事務所グループに育て上げた小池由久氏。9歳で父を、16歳で母を亡くす波瀾万丈な少年時代を過ごし、裸一貫で創業した会社を半導体・エレクトロニクス分野で100億円企業に迫る躍進へと導いた京谷忠幸氏。共に自らの運命を力強く開いてきたお二人の実践を通して、人生・仕事の神髄が見えてくる。

すべての挑戦は、次の挑戦への贈り物である。これが、私の心からの実感です

京谷忠幸
シンク・アイ ホールディングスCEO

〈京谷〉 
小池さん、きょうはよろしくお願いします。4年前に『致知』で盛和塾生の座談会にご一緒させていただき、今回は対談ということでとても楽しみにしていました。

〈小池〉
こちらこそ。壮絶な半生が赤裸々に綴られた京谷さんの新著『倒れても、また歩き出せる』(致知出版社)も大変興味深く読ませていただきました。

〈京谷〉 
ありがとうございます。

〈小池〉 
京谷さんとは稲盛和夫塾長が経営者の勉強会として立ち上げられた盛和塾を通じて、20年近いお付き合いになります。出逢った頃から青年将校のようで、物事に真摯に向き合われています。親しくさせていただく中で常々、「この人格はどうやって育まれたのだろう」と思っていました。

以前からお若い頃のご苦労は存じていましたけど、今回本書を読み終えた時、若くして亡くなられたご両親が京谷さんの心の中でいまも脈々と生きていらっしゃるんだなと、深く感じ入った次第です。

〈京谷〉
恐れ入ります。実は、本を出版する大きなきっかけは2022年10月、60歳の時にすい臓に腫瘍が見つかったことです。

『致知』の座談会から2か月後に病室で横たわっているとは思いもしませんでした。すい臓がんの5年生存率はステージⅠで49%、ステージⅡで28%。その狭間と告げられた私は35%ほどだろうと。毎晩のように吐き気と高熱に襲われ、病室の天井を見上げながら「なぜいま私なのか」「もし明日目を覚まさなかったら」と、未来を失う恐怖感に苛まれました。

〈小池〉 
想像を絶します。

〈京谷〉 
けれど、この大病を機に立ち止まって半生をゆっくり振り返ったり、稲盛塾長や先達は何を、なぜ遺そうとされたのかを探し求めたりすることができました。

その中で得た気づきが大きく二つありまして、一つは「人は役割に生き、感謝して死ぬ」ということ。感謝を求めるのではなく、ただただ「ありがとう」と言って死ねればいいと。もう一つは、ガンジーの言葉で知られる「明日死ぬかのように生き、永遠に生きるかの如く学ぶ」ということです。

愛と誠と調和を入れた誰にも負けない努力が肝要なんです

小池由久
日本経営ホールディングス名誉会長

〈京谷〉
私は青年期から人としてどうあるべきかを示す「良知」と絶えず対話してきました。誰もが持つ心の良知の泉が枯れてしまえば、人間性を失ってしまう。だからこそ、ここを生き永らえたなら、生かされた命は地域の子供たちの良知を枯らさないために、後進の育成と恩送りに捧げようと誓ったんです。

〈小池〉 
闘病を機に進むべき方向が明確になった。

〈京谷〉 
幸い、手術は無事成功しました。病状も奇跡的に回復しましたが、主治医には「すい臓がんに寛解はない」と言われました。

それで一般財団をつくり、さらに学校教育の支援やボランティアに積極的に取り組んでいたところ、2025年10月の旧盛和塾生による「心を高める経営を伸ばす世界大会」の経営体験発表に選ばれましてね。以前致知出版社の藤尾社長に生い立ちをお話しした際、「本を出したら?」とおっしゃっていただいたこともフラッシュバックし、私の体験を伝えることで世の中の役に立てるのではないかと、出版に挑戦する運びとなりました。

脚色した言葉ではなく、私が何を感じ、何を考え行動していたのかを正確に伝えたいと思ったので相当な時間を費やしましたけど、自分の人生を一冊にまとめることができ、感謝しかありません。

〈小池〉 
本書は心の移ろいが分かりやすく表現されていて、グッと惹き込まれる。まるで小説を読んでいるような感覚を抱きました。いまのお話をお聞きし、一文一文に京谷さんの只ならぬ思いが詰まっているんだなと腑に落ちましたよ。

〈京谷〉 
そう言っていただけて、報われた思いです。本はすぐ両親の仏壇に上げ、お世話になった方々にもお渡ししました。熱いメッセージが次々と届き、人の温かみに支えられて命のバトンが繋がっていることを強く実感しています。……(続きは本誌をご覧ください)

本記事の内容 ~全10ページ(約13,000字)~
◇人は役割に生き、感謝して死ぬ
◇9歳で父を 16歳で母を亡くす
◇残された多額の借金と無力感の先に見出した光
◇試練が気づきを与えてくれた
◇「課長止まりだ」学歴社会の壁に阻まれ
◇会社を救う一手となった事業領域の拡大
◇虐待認定、退職、不慮の事故……相次ぐ試練を乗り越えて
◇二度と自分に負けない 言い訳もしない
◇人生の方程式「考え方×熱意×能力」
◇すべての挫折は、次の挑戦への贈り物である

プロフィール

小池由久

こいけ・よしひさ――昭和29年岐阜県生まれ。高校卒業後、47年会計事務所(現・日本経営)に入社。平成8年社長に就任。19年会長を経て、27年名誉会長に就任。調剤薬局チェーン・サエラ会長、社会福祉法人ウエル清光会理事長も兼任。令和4年より全国社内木鶏経営者会会長を務め、社内木鶏会の普及による組織の発展にも精力的に取り組んでいる。

京谷忠幸

きょうたに・ただゆき――昭和37年福岡県生まれ。国立久留米工業高等専門学校高校課程修了後、会社員を経て平成3年ピーエムティーを設立。令和2年シンク・アイ ホールディングスを設立しグループ8社の代表も務める。経営の傍ら山口大学大学院に学び技術経営研究科、理工学部博士課程修了。博士(学術)。著書に『倒れても、また歩き出せる』(致知出版社)。


編集後記

壮絶な半生を綴った自伝『倒れても、また歩き出せる』を弊社から上梓したシンク・アイ ホールディングスの京谷忠幸さん。盛和塾の仲間として稲盛和夫氏の薫陶を受けた日本経営ホールディングスの小池由久さんと共に、度重なる苦難を乗り越えてきた体験談を披瀝していただきました。受け入れ難い現実にどう向き合い、運命を変えていくか。自らの魂を向上させるヒントがここにあります。

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