2 月号ピックアップ記事 /わが人生の先達
言行一致の人 鈴木貫太郎 真殿知彦(海上自衛隊前横須賀地方総監)

先の大戦で国家消滅の危機に瀕していた我が国を、終戦へと導いた鈴木貫太郎。その類い稀なる人間的力量は、いかにして養われたものだろうか。海上自衛隊の要職を歴任してきた真殿知彦氏に、自身が最も尊敬する人物として挙げる鈴木貫太郎の人間力の源についてお話しいただいた。

窮達(きゅうたつ)を以(もっ)て節を更(こ)ふべからず
鈴木貫太郎(すずき・かんたろう)
©国立国会図書館「近代日本人の肖像」

上に立つ人は、日々真摯に人格を磨き、人一倍勉強を重ね、独善に陥ることなく信念を持って決断を下さなくてはなりません。
そして、その際に大きな力を与えてくれるのが、歴史です
真殿知彦
海上自衛隊前横須賀地方総監
「正直に 腹を立てずに 撓(たわ)まず励め」
群馬県は前橋市立桃井小学校の門前に、静かに佇む石碑。揮毫したのは、卒業生の鈴木貫太郎です。
鈴木は、連合艦隊司令長官や海軍軍令部長、侍従長などの重職を歴任し、終戦時の総理大臣を務めた人物として知られています。同校はこの石碑の言葉を、偉大な先達から贈られた教訓として、いまも大切に語り継いでいます。
私は元々数学や物理が好きな理数系の人間でした。しかし、防衛大学校に入り、幹部自衛官を目指すようになってからは、歴史書や伝記を精力的に読み、優れた先達からリーダーのあり方を学ぶようになりました。そうした中で、とりわけ心を惹かれるようになったのが鈴木貫太郎でした。
鈴木貫太郎という人物のすごさは、まず何と言っても、先の大戦で国家存亡の瀬戸際にあった我が国を終戦へ導いた決断力にあります。陸軍参謀本部、海軍軍令部が戦闘継続を強く主張し、国全体が本土決戦も辞さない空気に包まれていた中で戦争を終わらせた力量は、並大抵のものではありません。
もう一つ素晴らしいと思うのは、自身の言葉と行動が常に一致していることです。鈴木は、二等巡洋艦「宗谷」の艦長を務めていた時に乗艦していた士官候補生に示した「奉公十則」で「言行一致を旨とし議論より実践を先とすべし」と説いていますが、鈴木の人生はまさにこの言葉によって貫かれていると言っても過言ではないでしょう。……(続きは本誌にて)
~本記事の内容(全4ページ)~
◇言行一致を旨として
◇水雷の専門家としての信念を貫いて
◇先達の感化を受けることの大切さ
◇「陛下にご安心くださるよう申し上げてください」
◇「この重大なる時にあたってもう他に人はいない」
◇リーダーに求められるもの
プロフィール
真殿知彦
まどの・ともひこ――昭和41年千葉県生まれ。平成元年防衛大学校を卒業後、海上自衛官に任官。14年に筑波大学大学院地域研究研究科修士課程を修了。その後、アジア太平洋安全保障研究センター、NATO国防大学の課程修了。海上自衛隊幹部学校長、海上幕僚副長、横須賀地方総監などを歴任。著書に『海軍兵学校長の言葉』『提督の決断』(共に三和書籍)など。
編集後記
元海上自衛隊海将として日本の安全を守り抜いてきた真殿知彦さん。歴史にも造詣が深く、そこから引き出した教訓を人生・仕事に活学してこられました。真殿さんが最も尊敬する歴史の偉人である鈴木貫太郎の軌跡とリーダーの器量を思いを込めてお話しいただきました。

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