12 月号ピックアップ記事 /インタビュー
人生に無駄なことは何一つない——薬物依存症の母との40年の闘いが導いたプリズンドクターの道 おおたわ史絵 (総合内科専門医/法務省矯正局医師)

内科医でメディアでもお馴染みのおおたわ史絵氏はいま、刑務所内で受刑者を診療する「プリズンドクター」として活動している。しかし、氏が現在の道に至るまでには、薬物依存症の母親との40年に亘る凄絶な日々があったという。その苦難の人生を振り返っていただき、医師としての信念に迫る。

人生に無駄な経験は何一つない。
越えられない苦難はないのではないでしょうか
おおたわ史絵 
総合内科専門医/法務省矯正局医師
――おおたわさんはメディア出演や講演活動など多方面で活躍する一方、内科医として受刑者の診療にも携わっているそうですね。
〈おおたわ〉 
刑務所や拘置所、少年院で被収容者の健康を維持するための診療に従事する医師をプリズンドクター(矯正医官)と呼びます。矯正医官は2022年時点で291人しかおらず、日本にいる医師の僅か0・086%に過ぎません。常勤の方もいますが、他病院での外来や大学病院で研究をしながら働く医師もいます。
私は2018年から非常勤で矯正医療に携わり、現在は月に10日ほど、東京近郊の2、3か所の刑務所で診療に当たっています。
――刑務所内ではどのような診療を行っているのですか。
〈おおたわ〉 
患者である被収容者の犯罪歴は殺人から強姦、薬物常用者まで千差万別で、がんや生活習慣病、精神疾患などを患っている者の継続治療がメインになります。矯正施設には医療設備が少なく、できる医療に制限はありますが、基本的には一般的な医療と何ら変わりません。患者一人ひとりの性格やバックグラウンドに合わせて、接し方や治療のアプローチを変えるように心懸けてきました。
「刑務所で働くのは怖くないか」とよく聞かれますが、怖いと思ったことは一度もありません。診療には刑務官が立ち会いますし、刑務所に入った時点で彼らは銃も刃物も持っていませんからね。
彼らが無事に出所する日まで懲役作業が務められるように。入ってきた時よりも一つでも好転しているように。そう願って、医師としての役目を全うしているんです。……(続きは本誌にて)
~本記事の内容~(全4ページ)
◇一つでも好転していることを願って
◇薬物依存症の母親との闘いの始まり
◇心の救いとなった依存症患者の家族との出逢い
◇最愛の父親が流した無念の涙、闘い続けた母親との別れ
◇苦難の末に見出した医師としての使命
◇99人が駄目だとしても100人目は変わると信じて
プロフィール
おおたわ史絵
おおたわ・ふみえ――東京都生まれ。東京女子医科大学卒業。大学病院、救命救急センター、地域開業医を経て、平成30年より現職。医師と並行して、テレビ出演や講演活動を積極的に行っている。著書に『プリズン・ドクター』(新潮新書)『母を捨てるということ』(朝日新聞出版)など多数。
編集後記
情報番組のコメンテーターとしても知られるおおたわ史絵さんの取材は、9月18日(木)致知出版社にて行われました。薬物依存症のお母様との40年にも亘る壮絶な日々にも動じず、淡々と振り返る姿が印象的でした。

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