12 月号ピックアップ記事 /インタビュー
我が町に希望の光を点し続けて 本谷一知(もとや庄治商店社長)

昨年の元日に発生した巨大地震、その傷も癒えぬ間に襲いかかった豪雨水害によって、甚大な被害を受けた能登半島。いまだ復興の最中にある現地で営業を続け、人々の心に希望の光を点してきたのが、もとやスーパーである。同店を営む本谷一知氏が、大打撃を受けた売り場を立て直す力になったもの、そして氏を突き動かす思いとは――。

経営というのは、やっぱり心のあり方が大事だと思いました。
心さえ正しければ、応援してくださる方も現れる
本谷一知
もとや庄治商店社長
(写真=豪雨後に会社を辞めて駆けつけてきた二男の悠樹さんと)
――本谷さんが経営する「もとやスーパー」は、昨年の能登半島地震と豪雨水害で甚大な被害を受けた輪島市町野町の唯一のスーパーとして、地元消費者のために営業を続けてこられたそうですね。
〈本谷〉
まさか1000年に1度と言われる大災害に、1年に2度も見舞われるとは思いませんでした。それでも何とか商売を続けています。
この町野町は、奥能登三大市街地の輪島市、能登町、珠洲市の真ん中に位置していて、昔は宿場町として栄えていたんですが、近年は少子高齢化で人口も減り、街へ出かける交通手段もありません。
もとやスーパーは、私の祖父・本谷庄治が1946年に地元で創業したもとや庄治商店が運営するお店です。祖父は戦後に満州から帰ってきて行商を始め、1961年にお店を構えて生鮮食品から衣料品、家電まで扱うようになりました。お客さんに支えられ、地元の生活拠点として64年にわたって営業を続けてきたんです。
地震と豪雨でお店は大打撃を受けましたが、不便な生活を強いられている地元の皆さんに少しでも恩返しをしたい、地元唯一のスーパーとして責任を果たしたい。その一念で営業を続けています。
――地震から間もなく2年ですが、近隣の状況はいかがですか。
〈本谷〉
この町野町は、損傷が酷くて公費解体の対象になった家が8割以上もあるんです。いまは周りに空き地が広がっていますが、地震の前は家がびっしり建っていたんですよ。世界が一変しましたね。よそへ出て行った住民は、もう戻らないと思います。
――そういう中で、どのように商売を成り立たせていくのですか。
〈本谷〉
地元のお客さんだけでなく、外からも人を呼び込んでいく必要があります。ありがたいことに、……(続きは本誌にて)
~本記事の内容~(全5ページ)
◇地元の人々への恩返しと責任
◇億の借金を5年で完済
◇震災後も1日も休まず営業を続ける
◇「おまえがこの町の希望だ」
◇いただいた恩を誰かのありがとうに変える
◇地元の素晴らしさを事業を通じて体現したい
プロフィール
本谷一知
もとや・かずとも――昭和52年石川県生まれ。平成12年近畿大学卒業。19年もとや庄治商店入社。24年社長に就任。令和6年能登半島地震と能登半島豪雨により、運営する「もとやスーパー」が大きな被害を受け、同店の立て直しと新事業立ち上げに奔走している。
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