12 月号ピックアップ記事 /対談
節を越え、人も会社も成長する 小路明善(アサヒグループホールディングス会長) 渡邊直人(王将フードサービス社長)

ここに不屈不撓の精神で幾度も節を乗り越えてきた二人の経営者がいる。卓越したリーダーシップで海外展開を推進し、アサヒグループを世界的なビール・飲料ブランドへと育て上げた小路明善氏。先代の急逝を受けて王将フードサービスの経営のバトンを引き継ぎ、世のため、人のための経営改革で過去最高の売上高へと導いた渡邊直人氏。互いを認め合う両氏に、経営における歓喜と悲哀を交えながら、人生・仕事を発展させる要諦を語り合っていただいた。

大事なのは成功よりも成長を追い求めていること
小路明善
アサヒグループホールディングス会長
〈渡邊〉 
きょうは私が師と仰ぐ小路会長と対談の機会をいただいて、大変光栄です。少し緊張もしていますが(笑)。
〈小路〉 
私も渡邊さんとお話しするのを楽しみにしてきました。
〈渡邊〉
小路会長に初めてお目にかかったのは、小路会長がアサヒビールさんの社長に就任された2011年でした。当時の私は常務として東日本エリアを任されていたので、何をするにしても、近くにいてくださるアサヒビールさんに相談していたんですよ。
〈小路〉 
年に1回、当社と王将さんの懇親会が開かれるんですよね。
〈渡邊〉 
その懇親会の席で初めてお会いしたわけです。正直に申し上げますけれども、最初はおっかなそうな人だなと(笑)。近づき難い雰囲気が漂っていて、うちの人間も怖気けづいていました。
ただ、私はかねてお話を伺いたいと思っていたんです。それで勇気を振り絞って声を掛けましたら、ざっくばらんにいろんなお話を聞かせてくださいました。王将の人間で小路会長に一番先に話しかけたのは私だと自負しています。
すっかり意気投合しまして、以来年に数回食事をするようになり、様々なご助言をいただいて、今日に至ります。
〈小路〉
いつもお店から「閉店ですよ」と追い出されるまで、長々と語り合っていますね(笑)。

降りかかってくる試練に感謝して、精いっぱい、真剣に、真面目に、天に向かって嘘をつかず、努力を厭わないこと。
その積み重ねの先に、輝かしい未来が待っている
渡邊直人
王将フードサービス社長
〈小路〉
実は、私が社長になる時に真っ先にお話を伺いたいと思ったのは、渡邊さんでした。
というのも、「餃子の王将」さんではビールは当然のこと、ジュースや炭酸飲料に至るまで、全飲料がアサヒグループの商品なんです。そんな会社は他に例がありません。
全商品がアサヒで商売が成り立っているのか。常務ながらも、当時から実質トップとして王将さんの陣頭指揮を取っておられた渡邊さんにその秘訣をお聞きしたいと考えたんです。
渡邊さんの第一印象は、やさしくて怖い人だなと。非常に温厚な雰囲気をお持ちになっている一方、言葉の端々から並々ならぬ覚悟と決意がヒシヒシと伝わってきました。
熾烈な外食産業に身を置き、ましてや餃子一本で経営をしていくのは生半可なことではない。やさしさと厳しさの両面が備わっていなければ、外食産業では闘っていけないのだと学びました。
それから、社長就任後に原材料の国産化や社員のベースアップといった難しい決断を次々に下してこられましたね。渡邊さんはこれぞと決めたことを徹底してやり抜く方です。心から尊敬しています。
〈渡邊〉
小路会長にそう言っていただけて、これ以上名誉なことはありません。……(続きは本誌をご覧ください)
本記事の内容 ~全10ページ(約14,000字)~
◇時間を忘れて語り合う間柄
◇「寄り添わせていただきます」人生行路を共に歩む友として
◇創業者の迸る情熱に心を揺さぶられて
◇人に恵まれたビジネス人生
◇経営者に欠かせない決断と覚悟
◇アサヒビール中興の祖・樋口廣太郎から学んだこと
◇目の前のことにベストを尽くせば道は開ける
◇成功よりも成長を追い求める
◇世のため、人のための経営改革
◇「チャンスは貯金できない」クビを覚悟した世界への挑戦
◇事物の螺旋的発展の法則
◇涙を流した時に人は成長する
プロフィール
小路明善
こうじ・あきよし――昭和26年長野県生まれ。50年青山学院大学を卒業後、アサヒビール入社。平成13年執行役員。15年アサヒ飲料常務取締役企画本部長。19年アサヒビール常務取締役兼常務執行役員。23年同社社長に就任。28年アサヒグループホールディングス社長、令和3年会長兼取締役会議長を経て、7年より現職。日本経済団体連合会副会長、日韓経済協会会長、青山学院大学特別招聘教授も務める。
渡邊直人
わたなべ・なおと――昭和30年大阪府生まれ。54年桃山学院大学を卒業後、王将チェーン(現・王将フードサービス)入社。関東エリアマネージャー、常務を経て、平成25年前社長の大東隆行氏の死去に伴い、社長に就任。原材料の国産化や最新鋭の餃子製造機械を備えた東松山工場の建設をはじめ、経営改革を断行し一層の躍進を遂げる。
編集後記
表紙を飾っていただいたのは、アサヒグループホールディングス会長・小路明善さんです。王将フードサービス社長・渡邊直人さんを以前取材した際、最も尊敬する経営者として小路さんを挙げられたことが機縁となり、今回の対談に繋がりました。9月30日(火)、都内ホテルにて行われた取材では、肝胆相照す仲であることが会話や表情から伝わってきました。経営の荒波を乗り越える過程で掴んだ人生訓に、組織を繁栄に導くリーダーのあり方を学びます。

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