12 月号ピックアップ記事 /インタビュー
私の人生は涙と共にある 小巻亜矢(サンリオエンターテイメント社長/サンリオピューロランド館長)

「私の人生はある意味、涙と共にあると言っていいかもしれないですね」。そう語るのはサンリオエンターテイメント社長の小巻亜矢さん。専業主婦から経営者に転じ、赤字に陥っていた同社を僅か2年で黒字化、前期は過去最高益を実現した。一方、34歳の時に最愛の息子と死別し、40代で立て続けに乳がんや子宮の病を患った。小巻さんは悲喜交々の経験にどう向き合い、豊饒な人生を歩んできたのか。

人知れず涙することも多かった分、心が強くなりました。
振れ幅が大きいからこそ人生であって、涙というのは人生に彩りを与えてくれているのではないでしょうか
小巻亜矢
サンリオエンターテイメント社長
――小巻さんが社長を務める御社は前期決算で過去最高業績を上げられたと伺っています。
〈小巻〉
昨年は代表キャラクターの「ハローキティ」が50周年を迎え、コロナ禍も明け、インバウンド増加も相俟って、運営する2つのテーマパーク、東京・多摩の「サンリオピューロランド」と大分・日出の「サンリオキャラクターパーク ハーモニーランド」は共に好調でした。
おかげさまで売上高約165億円、営業利益約29億円(2025年3月期)と4期連続増収増益で、過去最高益を大幅に更新しました。
中期経営計画を昨年発表したのですが、軸になっているのは「成長戦略」です。テーマパーク事業の更なる成長のために、何より大切なのは「人」だと考えています。
例えば、2つのテーマパークは同じ会社でありながらも組織としてきっぱり分かれていた状態から、本部制を敷いてスタッフを行き来させ、知見やスキルを相互に高め合えるようにしました。
2014年に私が赴任した頃は赤字が続いていたので、成長どころか止血と延命が最優先でした。皆の努力が実を結んで2016年度から安定した黒字経営になり、ピューロランドの来場者数は2018年度に146万人を記録しました。コロナ禍で約45万人まで激減したものの、年々回復し、昨年度は過去最高の約150万人になっています。
――ピューロランドはこの12月に35周年を迎えますね。
〈小巻〉
私たちのテーマパークは非常に特徴があると思っています。他社施設にあるようなスケールの大きさや度肝を抜くアトラクションではなく、ホッとする、癒やされる。それが強みだろうと。
サンリオグループの創業者・辻信太郎の思いである「みんななかよく」を基に、面白さや興奮というより、優しい気持ちになってもらえるような場づくり。そこはブレずに徹底してコンテンツやサービスをつくってきました。
――昨年、「私たちの世界観って何だろう」と全社員にアンケートを取ったことがあります。キャラクターだと言う人もいれば、建物の雰囲気だと言う人もいる。
〈小巻〉
答えの入り口はいろいろあるけれども、底に流れている思いを一言で表現するとこういうことではないか、ということでつくったパーパスが……(続きは本誌をご覧ください)
本記事の内容 ~全5ページ(約7,500字)~
◇「みんななかよく」の価値観を世界に広げたい
◇号泣から始まったサンリオ生活
◇最愛の息子との死別、自身も過労で生死を彷徨う
◇どん底の人生を劇的に変えた2つの転機と1冊の本
◇V字回復の起点になった「5つの質問」
◇いかにして意識改革を遂行したか
プロフィール
小巻亜矢
こまき・あや――1959年東京都生まれ。1983年成城大学法学部卒業後、サンリオ入社。結婚を機に退社して11年の専業主婦生活を過ごす。その間に3人の子を出産するも、次男を幼くして事故で亡くす。その後、サンリオ関連会社に復帰し、2014年サンリオエンターテイメント顧問、2015年同社取締役、2016年サンリオピューロランド館長、2019年サンリオエンターテイメント代表取締役社長。仕事の傍ら、2011年51歳で東京大学大学院に進学し、対話的自己論で修士論文を纏める(2013年修了)。著書に『サンリオピューロランドの人づくり』(ダイヤモンド)『逆境に克つ!』(ワニブックス)など。
編集後記
サンリオピューロランドの業績をV字回復へと導いた小巻亜矢さんのことは、著書やインタビュー記事を通して予て注目していました。そんな中、『致知』の愛読者で放送作家の野呂エイシロウさんがお繋ぎくださり、ご縁をいただくことができました。
早速、小巻さんに連絡を取ると、「以前より稲盛さんの記事をきっかけに『致知』を拝読しており、尊敬する経営者の皆様の言葉に学びと勇気をいただいております」と嬉しいメッセージが。
取材当日も、これまで他媒体では語られていなかったことも含め、悲喜交々の半生を赤裸々に語っていただきました。その壮絶な歩みと心のあり方に、胸を打たれずにはいられません。

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