7 月号ピックアップ記事 /インタビュー
「感動農業」への飽くなき挑戦 澤浦彰治(グリンリーフ社長)

国内の有機こんにゃく市場で約6割のシェアを誇るグリンリーフ、全国9府県で70名の生産農家と約40品目の野菜を供給する野菜くらぶをはじめ、グループ全体で年商57億円の農業生産法人を率いるのが澤浦彰治氏だ。父親が地元群馬県昭和村の赤城高原で始めた家業を今日の規模へと発展させ、2年前に60周年を迎えた。澤浦氏はどんな思いの種を蒔き、幾多の試練を乗り越え、花実を咲かせてきたのか。その秘訣に迫る。

「困り事は宝物」「問題の数だけ未来がある」
今日まで仕事を続けることができたのは、諦めなかったからだと思います。
こうやればよくなるという執念で挑戦し、乗り越えてきた。その連続です
澤浦彰治
グリンリーフ社長
――先ほど畑を一望できる素敵な社員食堂で玉こんにゃくと大根のお漬物をいただきましたが、感動のおいしさでした。
〈澤浦〉
それは嬉しいです。ありがとうございます。私たちは基本的に化学肥料や余計な添加物を使わずに、人の身体にも心にもおいしい農産物を届けたいとの思いで、有機野菜の生産・加工・販売に携わってきました。
グループ5社で構成され、グリンリーフ㈱は大根やブロッコリーなどの農業生産と、白滝や板こんにゃくといったこんにゃく製品、白菜や大根、きゅうりなどの漬け物、ブロッコリーや小松菜、ほうれん草、ブルーベリーの冷凍食品をつくっています。国内有機こんにゃく市場では約6割のシェアを有しているんです。
㈱野菜くらぶは群馬県を中心に全国9つの府県で70名の生産者さんとネットワークを築き、各地域の気候に合わせた適地適作の栽培を心懸け、レタスやキャベツ、トマトなど約40品目の野菜を生協や外食業者、スーパーなどに年間を通して安定供給しています。
また、モスバーガーを運営するモスフードサービスさんと共同出資し、主にモスバーガーチェーン向けのトマトを栽培する㈱モスファーム・サングレイス、有機小松菜や有機ほうれん草、有機チンゲン菜を栽培する㈱四季菜、従業員用の託児所運営や外国人材支援、太陽光発電に取り組むビオエナジー㈱を展開しています。その他、有機こんにゃく芋の生産組合や新規就農者を支援するプログラムなども手掛けています。
家族経営からのスタートでしたが、おかげさまで現在はグループ全体で従業員240名、売上高57億円を超える規模に成長することができました。……(続きは本誌をご覧ください)
本記事の内容 ~全5ページ(約7,000字)~
◇家族経営から年商50億円超へ
◇困り事は宝物 できる方法を考える
◇25歳で訪れた一大転機
◇成長の鍵は人との出逢い
◇理念経営を実現するための工夫
◇仕事と人生は一体である
プロフィール
澤浦彰治
さわうら・しょうじ――昭和39年群馬県生まれ。利根農林高等学校を卒業後、群馬県畜産試験場の研修を経て、家業の農業・養豚に従事。こんにゃく市場の暴落によって破産状態に直面する中でこんにゃくの製品加工を始める。平成4年仲間と3人で「野菜くらぶ」を立ち上げ、有機野菜の生産を本格的に開始。6年家業だった沢浦農園を法人化し、グリンリーフ設立。第47回農林水産祭の蚕糸・地域特産部門で天皇杯、第13回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞で審査委員会特別賞を受賞。著書に『小さく始めて農業で利益を出し続ける7つのルール』(ダイヤモンド社)など。
編集後記
取材はゴールデンウイークの狭間、5月2日(金)に行われました。あいにくの大雨でしたが、東京・練馬から車で約1時間半、群馬県昭和村赤城高原にあるグリンリーフ本社へ伺うと、澤浦さんは笑顔で歓待してくださいました。昨年11月に完成した3階建ての新社屋・工場を丁寧に案内していただきましたが、エントランスには社員共用の本棚があり、そこには『致知』や弊社書籍も多数並んでいました。20年以上にわたって『致知』をご愛読くださっている澤浦さんとはかねて親交があり、その素晴らしい取り組みに注目し、いつかご登場いただきたいと思っていただけに、今回はとても貴重な体験でした。2年前に60周年を迎え、農業経営に半生を捧げてきた澤浦さんの、心を揺さぶられる数々の金言に出逢えます。

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