7 月号ピックアップ記事 /インタビュー
骨髄バンクと共に──粛々と歩み続けて37年 大谷貴子(全国骨髄バンク推進連絡協議会 副会長)

白血病をはじめとする血液の難病に有効な治療法、骨髄移植。これを実施するために不可欠なのが、移植可能な提供者を見出すための骨髄バンクである。日本にまだ骨髄バンクがなかった37年前、自身の罹患を機に骨髄バンクの設立・普及に立ち上がった大谷貴子さん。死を乗り越え、別れを乗り越え、難病に苦しむ多くの人に光をもたらしてきた彼女を突き動かす一念に迫った。
【写真=闘病中の心の支えだったさおりちゃん(左)と。彼女の存在も骨髄バンク設立運動の大きな力になった】

1日の登録者がたとえ一人でも、決して無意味ではない。
一人は誰かを救うというのが私の思いです
大谷貴子
全国骨髄バンク推進連絡協議会 副会長
──大谷さんは日本の骨髄バンク設立・普及の立役者として知られていますね。
〈大谷〉
ある方が骨髄バンクをつくった人をAIで調べたら、「大谷貴子」って出てきたそうですけど、それは間違いなんです。決して私一人でつくったわけじゃなくて、たくさんの人と力を合わせてつくってきたんですからね。
活動を始めたのは1988年でした。民間団体の東海骨髄バンクを立ち上げて、骨髄を提供してくださる方を必死に募った結果、翌年には登録してくださったドナーさんからの骨髄移植が日本で初めて実現し、1991年には日本骨髄バンクが誕生しました。
37年経ったいまでは56万人以上の方にご登録いただいていて、実際に骨髄を提供してくださった方は累計で2万9千人以上にも上ります。
これからもっと多くの命を救っていくために、患者さんも、ドナーさんも、安心して骨髄移植に臨んでいただけるバンクでありたいと願って活動しています。
──ご自身もかつて白血病に罹患なさったそうですね。
〈大谷〉
私が白血病を発症したのは1986年、25歳の大学院生の時でした。……(続きは本誌をご覧ください)
本記事の内容 ~全4ページ(約5,500字)~
◇死の淵からの生還 生きていることに感謝
◇14年後に辿り着いた別れの真実
◇たとえ登録者が一人でも決して無意味ではない
◇普通でいられることのありがたさ
プロフィール
大谷貴子
おおたに・たかこ――昭和36年大阪府生まれ。61年千葉大学大学院在学中に慢性骨髄性白血病と診断される。63年母親から骨髄移植を受け退院。平成元年東海骨髄バンク設立。3年財団法人骨髄移植推進財団(日本骨髄バンク)を設立。17年全国骨髄バンク推進連絡協議会会長に就任 。23年より副会長。著書に『白血病からの生還』(リヨン社)『生きてるってシアワセ!』(スターツ出版)など。
編集後記
大谷さんとのご縁を繋いでくださったのは、『致知』の愛読者であるスヴェンソン会長の児玉圭司さんでした。児玉さんが理事長を務めるKODAMA国際教育財団の「未来のいしずえ賞」授賞式に出席した際、受賞者のお一人に大谷さんがいらっしゃり、そのスピーチに感動。懇親会の場でお声掛けしたところ、「致知さんですね。以前、取材を受けたことがあります」とのこと。
調べると、何と30年以上前に一度ご登場されていたことが分かり、そんな昔のことを覚えてくださっていたことに、さらに感動しました。
大谷さんが笑顔で語った「骨髄バンクの普及活動に懸ける思い」「忘れ得ぬ出逢いと言葉」は涙なしには読めません。

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