逸話に見る森信三師 立腰の原点

給仕時代に最も深い印象を受けたのは、他ならぬ岡田式静坐法の創始者・岡田虎二郎先生に接したことです。
日比の叔父が中心となって、町の有志者たちで岡田虎二郎先生をお招きして、会員制の静坐会が開かれたのです。
給仕の身とて出席はできずとも、会の前後に岡田先生の偉容を望見することができました。
全く「泰山」ともいえる堂々たるその風格の一端に触れ得たわけです。

その後、書物をたよりに、自ら静坐を研究し、その中で最も大事な「腰骨を立てる」の一事を自学自修し終生身につけられたのは、この給仕時代の恩恵によるものです。
そして戦後十年たって、主体性を確立する決め手として「腰骨を立てる教育」を提唱されるにいたったのも、給仕時代に岡田虎二郎先生の静坐を自ら修得するきっかけを得られたからに他なりません。

(寺田一清編著『森信三小伝』より)