【第2回/芳村思風氏に聞く】なぜ、「いまこそ、感性は力」なのか?

518日放送のテレビ番組「関ジャニクロニクルF」で関ジャニの村上信五さん、大倉忠義さんがそれぞれ人生で最も影響を受けた本として『いまこそ、感性は力』『人間の格【新装改訂版】』を紹介されました。放送直後から注文が殺到し即日で完売、緊急増刷を行うなど大きな反響を呼んだ本書。著者である芳村思風先生の生の声を聞いてみたいというお声をいただき、このたび全4回にわたるWEB限定インタビューをお届けいたします。第2回となる今回のテーマは「なぜ、『いまこそ、感性は力』なのか?」。ぜひご一読ください。

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いま、私たちに必要な「感性の力」

(新型コロナウイルスの感染拡大を受け、人々の心の中に大きな不安が広がっているいま、私たちに最も求められるのはどんな力でしょうか?)

 私はいつの時代にも、人間にとって最も大切なのは感性の力だと思うのですが、その感性の力としていま、一番大事なことは、「何に問題を感じるか」「どういう問題を感じ取るか」というところではないでしょうか。

問題を感じることがなかったら何かを考えることもないですよね。「感性」が受け止めた問題に対し、「理性」がどう関わって考え、答えを出すかというのは、そのあとの問題なんです。自分自身が問題を感じなかったら、そもそもの問題自体が存在しない、ということになり、何も考えないまま状況に流されていってしまうわけです。考えることも大事ですが、その前にまず問題そのものを感じるところから、すべては始まるのではないでしょうか。

(考える事より、感じることが必要なのですね)

 また、欲求、欲望、興味、関心……これらはいずれも感性から湧いてくるものです。そういった内側から湧いてくるものがない限り、人は行動しないんです。欲求も好奇心も湧いてこないとすれば、言われたことは何でもするけど、言われなければ何をしていいのか分からないという人間になってしまいます。

いま我々が直面している混迷の時代には何かしら行動を起こし、問題を打開、打破していく行動力がものすごく求められます。そのためには、まず「何に問題を感じるか」という感性の力が不可欠ということになってくるわけです。

この世の中でたった一つ信じられるもの

(なるほど、感性の力がなぜ、いまの時代に求められるかがよく理解できました)

 いまの時代、政治も経済も混迷していますね。改ざん、隠蔽、デマという言葉が飛び交うだけでなく、詐欺があったり、不要な忖度をして、してはならないことに手を染めてしまったり、相手を誹謗中傷したり……。人間として醜く、悲しい思いが蔓延しているように思えてなりません。

何一つ信じることができないような世の中で、ただ一つ信じられるものは何なのか――。それは自分自身の命から湧いてくる「本音と実感」だけだと思うのです。

(ああ。本音と実感……)

自分の中から湧いてくる本音と実感こそは、自分の命から湧いてくるものだから、そこに嘘はない。自分の本音と実感に命を懸ける生き方が、いま必要なのではないかと。自分以外のものに目を奪われたり、自分以外のものに頼ったりし過ぎると、振り回されたり、騙されたりして結果的に自分自身を見失ってしまいます。そうならないためには、自分を強く信じるしかありません。

 (自分を強く信じるにはどうすればよいでしょうか?)

 それは、信じるに足る自己をつくる、要するに「自信」をつくること以外にありません。自分を裏切らず、騙さず、自分の実感を信じて生きていく――そういう意味で自らの「本音と実感」をありのままで放置するのではなく、ますます素晴らしいものに成長させていくことが必要。いろいろな人の話を聞いたり、本を読んだり……。

理性的な「こうしなければならない」ということにこだわるよりは、自分の命から湧いてくる「これこそ本物」「これこそ本当」と信じることができるものに、自分の人生を懸けていく。そういう覚悟と気概がいまこそ求められる時代ではないかと考えています。

新型コロナウイルスが私たちに伝えるメッセージ

(これからは私たちの「感性の力」が、より試される時代となるのですね)

 新型コロナウイルスの流行によって、先行きの不透明な状況が続くいま、不安を感じている方は多いのではないでしょうか。新型コロナウイルスは人類にとって、「解決することができなかった」では許されない、どうしても乗り越えなければならない大難と言えます。と同時に、人類に対して、何か大きな意味をもって現れた問題なのではないか、とも感じています。

 (一体、どんな意味をもって、現れてきたと考えるべきなのでしょうか?)

 この大難を乗り越えさせることで、新型コロナウイルスは人類をどう成長させようとしているのか、一体私たちに何を期待しているのか――。そう考えたとき、私の中に一つの答えが浮かんできました。

それは、これまでの人類の生き方であった、競争し、対立し、争って成長していくという醜い生き方の段階から、人類を脱却させようとしているのではないか、ということです。

全人類が、助け合い、教え合い、学び合い、愛によって成長し、物事に立ち向かっていくならば、どんな問題でも乗り越えられるぞ、というメッセージを我々に伝えようとしているのではないかと思うんですね。

 (ああ、愛によって試練を乗り越えていく……)

 いまこそ、対立型の時代から愛の時代へ、原理的大転換を成し遂げていかねばならん時なのです。しかし、政治家をはじめ、世界の指導者はそういうことを自覚せずにいます。例えばいま、中国とアメリカは対立関係にありますね。お互いの国を責め合ったり、責任のなすり合いをしたり……そういうことをやっている間は、新型コロナウイルスは人類をますます苦しめると思います。

もし、新型コロナウイルスの問題が解決したとしても、人類が未だ、対立、競争、勝ち負けに固執し、醜い生き方をしておったとしたら、新型コロナウイルスよりもさらに大きな問題が私たちに降りかかってくるのではないでしょうか。

 人類が愛に目覚め、愛によって問題を解決しようとしたとき、また、どんな問題でも心を一つにすれば乗り越えられるという、確かな自信を掴んだときに初めて、新型コロナウイルスは本当の意味で、収束に向かうのではないでしょうか。新型コロナウイルスだけでなく、日々起きる様々な事象も、皆が助け合い、愛によって生きていく文明をつくるために、私たちへ向けられた「メッセージ」であると思うのです。

 (3回目のインタビューに続く)

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◇芳村思風(よしむら・しふう)

昭和17年奈良県生まれ。学習院大学大学院哲学博士課程中退。45年思風庵哲学研究所設立。感性論哲学の創始者。名城大学元講師。著書に『人間の格』(致知出版社)など。

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