関ジャニ∞の大倉忠義さんが人生で最も影響を受けた本——『人間の格』を読む

フジテレビ『関ジャニ∞クロニクルF』で、大倉忠義さんが「人生で最も影響を受けた本」として紹介された『人間の格』。本書は、経営者を中心に全国から引きも切らず、講演の依頼がある芳村思風氏による代表的著作。深い思索と実人生の中から、芳村氏は人間の本質として感性をつかみ取り、独自の理論体系を構築されました。悩みを乗り越える技術、教育の最終目標、自分で自分を教育する、など、実生活に即した論理の展開は明解で、大変示唆に富む内容です。本書には、どのようなことが書かれてあるのか? その一部をご紹介します。

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人の役に立つ人間になる

価値は物に付随しているものではありません。現実にある存在と存在との関係から生み出されてくるものです。だから、空間的価値とは現実的価値なのです。現実的価値とはどういうことか。この現実社会において、どのようにして客観的な社会的価値が生み出されてくるか、ということです。では、そこにはどのような原則が働いているのでしょうか。「自分の価値は他人が決定する」という原則が働いているのです。

自分が努力して、素晴らしい能力を備えたとして、「俺はこんなに素晴らしい小説が書けるのだ」といくら喧伝したところで、現実の世界では、それを買って読んでくれる人がいなければその人は小説家にはなれないし、その小説も世に出ることはない。どんなに素晴らしい能力を持っていても、人がそれを認めて使ってくれなければその人は現実においては無価値な人間なのです。どんなに勉強して素晴らしい知識を貯えても、「俺は偉い」といってみても、「お前は偉い」と認めてくれる人が誰もいなければその人は現実においては価値はゼロなのです。

その人自身にとっては、自分が努力し、自分の能力を高め、自分の人格を磨いて時間的価値をつくっても、それは自己満足の世界のものなのです。人が認めてくれなければその価値はあってもなくても同じことなのです。現実的価値においては、自己満足は何の意味も持ちません。現実において何が一番大事なのかといえば、人が自分を評価してくれることなのです。

現実社会では、価値は他人が決定するものなのです。このことはよくよくわきまえなければなりません。「俺はこんなに偉い」などというのは無駄というものです。かえって、「出る釘は打たれる」で、「あいつは自慢ばかりしている」と叩かれてしまうのがオチです。自分の価値は人が評価してくれてはじめて現実に生きていくことができる。自分の価値は人が評価してくれなければ、現実の価値は出てこない。自分がいくら努力して能力を備えても、人がそれを認めてくれなかったら、人がそれを発見してくれなかったら、人が評価してくれなかったら、自分の現実的価値はゼロである。この厳粛な原理をわれわれは決して忘れてはなりません。

ここで、人間が本物の人間であるための第3の条件が明らかになります。つまり「人の役に立つ人間になる」ことです。あるいは「人に必要とされる人間になる」ことといってもいいでしょう。人間が本物の人間になるためには、この第3番目の条件は欠かすことができません。

「お前がいなくては困る」といわれるような、人に必要とされる人間になるには何をしなければならないか。そのためには、人に喜んでもらえるような仕事の仕方ができる人間にならなければなりません。人に喜んでもらえるような仕事の仕方、人に感謝してもらえるような仕事の仕方ができる人間になってはじめて、人間は他人から評価されることができるのです。独善的な、自分本位の考え方では駄目だということです。現実には厳然として、自分の価値は他人が決定するという原理が働いているのです。

そう考えてくると、職業とは何かがわかってきます。職業は金儲けの手段ではありません。金はあとから、成果に従って入ってくるものです。その成果を上げるためには、人に喜んでもらえるような仕事の仕方ができる能力と人間性を持った人間に自分を鍛えていかなければなりません。それができて成果が上がり、金が入ってくるというわけです。人に気に入られるような仕事の仕方をしないで、やり直しを命じられて、場合によっては損害賠償を請求されたりすれば、当然金は入ってきません。金が入ってくるのは、人に感謝してもらえるような仕事の仕方ができた時です。その結果として金が入ってくるのです。

金は感謝の印なのです。喜びの印なのです。そのように考えなければなりません。このようにいうと、小学生にいっているように聞こえるかもしれません。しかし、小学生であろうと大人であろうと同じことです。人の役に立つ人間になること。人に必要とされる人間になること。人に喜んでもらえるような仕事の仕方ができる人間を目指して生きること。このことは、社会的存在である人間にとっては、どうしても欠かすことのできない条件です。人間が社会的存在であるところから出てくる最大の条件といえるかもしれません。

本物の人間であるための条件を述べてきました。

1、不完全性の自覚から滲み出る謙虚さ。
2、より以上のものを目指して生きる。
3、人の役に立つ存在になること。

この三つの条件は人間として決して忘れてはならないことです。これを目的にして努力することによって、人間は本物の人間としての格を持つことができるのです。

大事なのは、この123の順序です。3の「人の役に立つ存在になること」が、本物の人間においていくら大切な条件だからといって、それをまず目指したら、人の思惑に振り回される人間になってしまう恐れが出てきます。相手の気に入るようにしようと思い、おべっかを使い、人におもねるような生き方になってしまい、自分を見失うことになりかねません。人の役に立つ人間になることは重要です。だが、それはあくまでも順序としては第3番目です。最初に必要なのは、不完全性の自覚から滲み出る謙虚さです。次は自分自身で自分を自己創造し、自己実現していく努力です。より以上を目指す、もっと素晴らしい能力を持つように努力することが二番目にくるものです。

そして最後に、その能力をどうしたら人の役に立たせることができるか、というテーマがくるわけです。本物の人間になるためには、この順序が非常に大事なことなのだということを理解していただきたいと思います。ここで謙虚さについて一言つけ加えておきます。謙虚になると弱くなってしまうのではないかという御質問をよくいただきます。しかし、謙虚になるということは、持っている力をセーブして出すということですから、実際は本当に強い人間しか本物の謙虚さは持てないのです。

自信のある人間しか、本当に謙虚にはなれません。十分な自信のない人間ほど威張りたがるものです。本物の人間は、謙虚であることができるということに「人間としての誇り」を持っています。ですから、謙虚であるためには、「人間としての自信」と「本物の強さ」が必要なのです。謙虚になると弱くなってしまうのは、実力のない証拠です。力のない人間の謙虚さは、媚びやへつらいになってしまいます。謙虚さは強さの証明ですから、謙虚であることに人間としての誇りを感じてもらいたいと思います。

(本記事は『人間の格』(芳村思風・著)より一部を抜粋・編集したものです。『致知』には人間力・仕事力を高める記事が満載! 詳しくはこちら

芳村思風(よしむら・しふう)

昭和17年奈良県生まれ。学習院大学大学院哲学博士課程中退。思風庵哲学研究所を設立。感性論哲学の創始者。元名城大学講師。

『人間の格』(芳村思風・著)

人間の進化の実現を目的に、理性を中心とした近代の人間観を批判し、
感性を人間の本質とする考え方を提唱するのが、著者が確立した感性論哲学である。今回、出版された『人間の格』と『人間の境涯』は、旧題『人間の格』という1冊に収められていた講演録である。また、『人間観の覚醒』は、旧題『人間観の革正』の新装改訂版である。『人間の境涯』の境涯とは、その人の人格がどの程度まで成長しているかを表すものであり、本書の中ではその成長が段階的に示される。また、その境涯を極めるためには人格を磨く努力を行う必要があるが、その実践論が『人間の格』である。さらに『人間観の覚醒』では「何のために生きるのか」という根源的な問いが発せられ、まったく新しい感性的な生き方が展開される。経営者を中心に全国から引きも切らず講演が依頼される
著者の思想のエッセンスが詰まったシリーズである。

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