2017年12月15日
過去に選手を率いた9度のオリンピックで、
すべてメダル獲得に成功してきた井村雅代さん。
世間では“鬼コーチ”と評される井村さんの
指導法から、叱るコツを学びます。
井村 雅代(シンクロナイズドスイミング日本代表ヘッドコーチ)
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※『致知』2018年1月号
※特集「仕事と人生」P10
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いま、スポーツ界で叱る教育の代表といえば、
すぐに私の名前が挙がります。
でも、私の中では叱っているという意識は全くありません。
下手だから下手、ダメだからダメ。
本当のことを言っているだけなんです。
そして本当のことを言ったら、私は必ず直す方法を言います。
一つの方法だけでは直りませんから、今度はこうやってごらんと、
どんどん次の直し方を言う。そして直ったと思ったら、
「それでいいよ」とちゃんとOKを出すんです。
でも取材に来られるマスコミの方は、私が怒っているところばかり撮るから、
ああいう恐ろしい映像になるんです(笑)。
ここで皆さんに叱るコツをお教えするならば、
叱る時はまず現行犯で叱ってください。
いまのそれがダメなんだって言われたら、人間は反省します。
「君、この前も同じことを言ったよ」と古いことを持ち出してはいけません。
これをやられると、いまやったことへの反省が薄れてしまうんです。
もう一つしてはいけないのは、しつこく叱ること。
それは本人の自己満足で、聞いている人は
「もう分かったよ」って嫌気が差してくるんです。
現行犯で叱ること、古いことを持ち出さないこと、しつこく叱らないこと。
この三つの叱るコツをぜひ覚えてください。
そして、叱る時は本気でかかってください。
相手がどんなに小さなお子さんでも、
自分に本気でぶつかってくれているかどうかは分かるんです。
中途半端に叱るくらいなら、最初から知らん顔をしているほうがましです。
叱るとは、いま自分の目の前にいるこの人は、絶対にこのままでは終わらないんだ。
いまの状態よりも必ずよくなるんだと、その人の可能性を信じることなんです。
だから本気でぶつかり、よくなるまであの手、
この手で引き上げようとする。
叱るとは、その子の可能性を信じるということなんです。
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