【取材手記】 22年間営業活動一切なしでも依頼殺到。ブランドプロデューサー・柴田陽子はなぜ選ばれ続けるのか

~本記事は月刊誌『致知』2026年8月号 特集「時務をる者はしゅんけつに在り」に掲載のインタビュー(ブランドは細部に宿る)の取材手記です~

ご縁に紡がれて

グランツリー武蔵小杉、渋谷ヒカリエ レストランフロア、パレスホテル東京、東京會舘、東急プラザ渋谷、ローソン「Uchi Café SWEETS」シリーズ、ルミネ、日本交通……。ブランドプロデューサーとしてこれらのブランディングに携わり、成功へと導いてきた柴田陽子さん。

22年前に立ち上げた柴田陽子事務所、通称「シバジム」は営業活動を一切していないにも拘らず、仕事の依頼が後を絶たないといいます。トレンドが目まぐるしく移り変わる現代社会の中で、なぜ成果を出し続けられるのでしょうか。

月刊『致知』最新号(2026年8月号)特集「時務を識る者は俊傑に在り」に柴田さんのインタビュー記事が掲載されています。テーマは「ブランドは細部に宿る」です。

街づくりからコンビニスイーツに至るまで、数々のヒットを生み出してきた柴田さんのことは、ご著書やインタビュー記事を通して予て注目していました。ただ、過去に編集部から取材依頼をしたものの、タイミングが悪かったのか、残念ながらご登場いただくことは叶いませんでした。

そんな中、『致知』のあるご愛読者の方から「ブランドプロデューサーの柴田さん、ぜひとも一度、ご面会の機会をいただけたら幸いです」と思いがけずご紹介をいただき、有り難いご縁を結ぶことができました。早速、柴田さんにご連絡を差し上げると、ご快諾の連絡が入り、今回のインタビューに至りました。

4月1日(水)、表参道にある柴田陽子事務所を訪ねると、柴田さんは温かな笑顔で私たちを出迎えてくださいました。そこから60分という限られた取材時間の中でも、弊誌の質問一つひとつに丁寧に言葉を紡ぎ出される姿から、営業活動を一切しなくても選ばれ続ける所以や人間的魅力、同社がブランディングで名だたる企業を牽引し続けている要諦を感じ取ることができました。

柴田陽子(しばた・ようこ)
昭和46年神奈川県生まれ。大学卒業後、外食企業に入社し、新規業態開発を担当。その後、化粧品会社での商品開発やサロン業態開発などを経て、平成16年「柴田陽子事務所」を設立。ブランドプロデューサーとして、コーポレートブランディング・店舗プロデュース・商品開発など多岐にわたる業務を請け負う。「グランツリー武蔵小杉」総合プロデュースの他、「渋谷ヒカリエ」レストランフロア、ローソン「Uchi Café SWEETS」、ルミネ、日本交通などのブランディングに携わる。著書に『勝者の思考回路』(幻冬舎)など多数。

ブランディングとは、長く愛される価値を生み出していくこと

ブランド、ブランディングという言葉を耳にする機会も増えましたが、そもそもブランド、ブランディングとは一体どういったものなのでしょうか。取材冒頭、柴田さんに説いていただいた内容を抜粋して紹介します。

例えば、エルメスやシャネルといったファッションブランドには、その塊自体にファンがついています。新商品を出した時に他社と比較されるわけでもなく、信頼や応援で買ってもらえる。

要するに、人々がその価値を感情的に理解し、スペックを超えた判断基準で選ぶものがブランドであり、その状態に導くことをブランディングだと私は考えてきました。

柴田さんは「ブランディングとは計画的、戦略的、人為的に人々の感情を揺さぶり、ムーブメントをつくり、定着させ、ブランド化すること」とも定義しています。一見すると、広告やキャッチコピーで人々の注目を集める広告代理店の仕事と似ているように思えますが、柴田さんは全く違うとおっしゃいます。

面白い広告で人々の注目を一時的に集め、商品やサービスの購入を促すのが広告代理店の仕事。

一方で私たちが目指すのは、企業の収益の柱となる持続性のあるブランドづくり。つまり、対象となるものの本質的な価値を中心に据え、長く続けるほどに愛されるブランドを生み出すのが私たちの仕事なのです。

さらにこう続けます。

私はノーと言わないことを信条に、いただいた仕事は可能な限り引き受けてきましたが、社員には「仕事を一度いただいて喜ぶな」とも伝えています。

同じクライアントから何度もお仕事をいただいて初めてお役に立っているのだと。

その姿勢で仕事を進めてきたことが、信頼関係の構築に繋がっているのかもしれません。

一時的な成果ではなく、長く愛される価値を生み出していくこと。そして相手の期待を上回る仕事を積み重ねてきたからこそ、22年間営業活動を一切しなくても、様々なクライアントから依頼が殺到するのでしょう。

なぜ、柴田さんは確固たる思いの元、より長く愛されるブランドづくりを追求し続けているのでしょうか。その背景には、未経験ながらも飲食店プロデュースを担当した前職時代の挑戦と挫折、そして人生の辛酸を嘗めた25歳の時の出来事がありました――。本記事では全4ページにわたって、一つひとつのエピソードを詳らかに紹介しています。

↓インタビュー内容はこちら!

◇美しいブランドをつくりたい、つくれる会社になりたい
◇目の前のことに一所懸命打ち込むうちに扉は開ける
◇この世に乗り越えられない困難はない
◇グランツリー武蔵小杉はかくして誕生した
◇働くことは生きること

目の前のことに一所懸命打ち込むうちに扉は開ける

道なき道を切り拓いてきた柴田さんの体験談はどれも必読です。中でも、数多くのブランディングに携わってきた柴田さんが、最も心に残る仕事として語られた「グランツリー武蔵小杉」誕生秘話には、柴田さん流の具体的なブランディングの実践例、人生・仕事を成功へと導く秘訣が凝縮されています。その全貌は、ぜひ本誌をお読みください。

最後に、柴田さんの人生信条が窺える金言をご紹介します。

よくも悪くも私は受け身です。ただ、自分で一旗揚げようとしても人生はそう簡単にはいかない。目の前のことに一所懸命打ち込むうちに他者に認められ、次々と扉は開けるものだと思います。

大事なのは、いただいたチャンスを勝負所と受け止め、行動できるかどうか。私は「準備が8割」とよく言いますけれど、人としての準備を徹底した人だけが、チャンスを掴めるのです。

目の前のことに一所懸命打ち込むうちに、次々と扉は開ける。大事なのは、チャンスを勝負所と受け止め、行動できるかどうか――含蓄に富んだ教えです。

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