相撲部屋の引き取り、弟子の不祥事——数多の試練を乗り越えてきた、大相撲・常盤山部屋が掲げる〝5つの部屋訓〟

横綱・初代若乃花に師事し、〝角界いい人ナンバーワン〟と慕われる常盤山太一親方と、その常盤山部屋のおかみとして、夫や弟子たちを陰日向なく支えるモリムラルミコさん。相撲部屋の引き取りや、弟子の不祥事など、数多の苦労に見舞われながらも、常に前向きに歩み続けてこられたお2人が大切にしている事、そして断崖絶壁の中生まれたという「常盤山部屋訓」をご紹介します。
(本記事は『致知』2026年3月号 対談「相撲部屋親方とおかみの「幸せ道場」〝千年分の苦労〞を引き受けて」より一部を抜粋・編集したものです)

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150メートルの断崖絶壁、その突端で

<モリムラ>
もちろんまだ、試練が終わったわけではありません。親方はこれ以上降格できない立場になりましたから、また何かあったらもう相撲界を離れるしかない。150メートルの断崖絶壁の突端に、踵を5センチだけ残して立ったような状態で、部屋をやっていかなくてはならなくなりました。この時、親方と考えたのが「常盤山部屋訓」です。

<常盤山>
うちは朝8時から朝稽古をして、だいたい11時半まで。その終わりに、弟子たちと皆で声に出して読み上げるんです。

●常盤山部屋訓
1、嘘をつかない
2、限りある時間を大切にする
3、仲間を大切にする
4、今居る場所に感謝する
5、「相撲道」に精進する

<モリムラ>
あの事件を経て、最初の訓戒にしたのが「ひとつ、嘘をつかない」。嘘って、何となく日常に入り込んできますよね。嘘をつき解雇された彼も、初めは無自覚な興味、欲だったのかもしれない。だから、嘘をつかなくてはいけないことはしない、と声に出して、近づいてくる魔を払うんです。

<常盤山>
「今居る場所に感謝する」も大事だね。いま自分のいる場に感謝できなければ、その場で過ごす時間や仲間に感謝することもできませんから。

それから、部屋を仕切り直していく上で支えになったのは、弟子たちの成長でした。
例えば、先に紹介した隆の勝。彼は15歳で入門してたった2年、異例の早さで、給料がもらえる関取の直前の幕下まで昇進しました。ところが最初に会った時は「やる気あるのか?」という感じでね。

<モリムラ>
21歳、もう4年も関取の手前で足踏みしていました。「自分なんか~」が口癖で、集合写真を撮る時も「自分、後ろでいいんで」って。
親方も「あいつには欲がない、それが問題だ」と。「欲以前に、自信がないんだ」と私は思っていました。

<常盤山>
そこから出稽古をする中で自信がついて、成長しました。だから伸びる子に共通する資質と言ったら、とにかく素直なこと。

<モリムラ>
素直さって、言われたことを心の中に入れる力ですよね。これが閉じている子は、成長にその分時間がかかる。取り込む力がなければ、実行もできません。

<常盤山>
強くなりたい、人より多く練習してやるという気持ち、自信がつくと欲も出てきます。欲がなければ強くはなれません。

<モリムラ>
親方は師匠の初代若乃花と同じで、一人ひとりの性格をよく見抜いて引き出しているなと思います。

<常盤山>
弟子を育てるのは「見る」ことからですよ。よく見るから、「知る」ことができる。そもそも見ていなければ、相手に届く言葉も投げかけられません。
二子山部屋にいた頃、夜遅くに帰って上の階に昇っていくと、翌朝師匠が「昨日、隆三杉と○○、何時に帰ってきただろう」と見事に当てるんですよ。弟子を足音で聞き分けていたんですね。このくらいの気持ちで、僕もいつも弟子たちを見ているんです。


(本記事は『致知』20263月号 対談「相撲部屋親方とおかみの「幸せ道場」〝千年分の苦労〞を引き受けて」より一部を抜粋・編集したものです)

▼対談内容はこちら▼

◆弟子が運んでくれた幸せを噛み締めて
◆「千年分の苦労」を引き受けたおかみ
◆〝土俵の鬼〟初代若乃花の猛稽古
◆負けに沈んだ心を立て直してくれた言葉
◆「可哀そうだ」で消滅寸前の部屋を救う
◆初仕事は健康祈願のトイレ掃除!?
◆親方の信念が詰まった「どの子も我が子」
◆最大の逆境に直面して──2つの苦しみ
◆どん底の時ほど笑うことを手放すな
◆150メートルの断崖絶壁、その突端で
◆辿り着いたいま、ここが皆の「幸せ道場」

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◇常盤山太一(ときわやま・たいち)
昭和36年神奈川県生まれ。51年第45代横綱・初代若乃花が創設した二子山部屋に入門、三月場所で初土俵を踏む。四股名は隆三杉。56年一月場所で新十両、七月場所で初入幕を果たす。幕内在位71場所、優勝は十両、序二段で各1回。最高位は小結。平成7年現役引退。28年千賀ノ浦部屋師匠。令和3年より常盤山部屋師匠。8年3月で停年、湊川部屋付き参与となる。

◇モリムラルミコ(もりむら・るみこ)
福岡県生まれ。梅光女学院大学短期大学部日本文学科卒業。FM局アナウンサーを経て昭和63年オーハシヨースケ氏と共に芸術劇団「TAICHI-KIKAKU」を主宰。劇作・演出・パフォーマーとして世界24か国50都市で海外公演を行う。平成28年より相撲部屋おかみに専念、裏方として夫を支え、力士の育成に尽力する。近著に『千年おかみの哲学』(致知出版社)がある。

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