2025年12月07日
代表キャラクター「ハローキティ」をはじめ、東京都多摩市の「サンリオピューロランド」や大分県日出町の「サンリオキャラクターパーク ハーモニーランド」など、幅広い事業を手掛けるサンリオエンターテイメント。4期連続増収増益で、過去最高益を更新するなど成長著しい同社を率いるのが、小巻亜矢氏です。就任当初は赤字が続いていたという同社を、小巻氏はいかにして立て直したのか。V字回復の起点となったという「5つの質問」をご紹介します。
(本記事は『致知』2025年12月号 インタビュー「私の人生は涙と共にある」より一部を抜粋・編集したものです)
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Ⅴ字回復を成し遂げた秘訣
──いかにしてサンリオピューロランドのⅤ字回復を成し遂げたか、その秘訣を教えてください。
<小巻>
よくⅤ字回復の立役者として紹介していただくんですけど、決して私が山の上から皆を引っ張ったのではなく、山の麓から一人ひとりに声を掛け、持っている力を存分に発揮できるようサポートしただけなんです。
当時ピューロランドは業績が芳しくありませんでした。オープン当初に長男を連れてきたことがあって、すごく素敵なところだったのに、いつの間に評判が悪くなってしまったのだろうと。それを知りたくて3回足を運びました。
ショーも見て、売り場も見て、スタッフの動きも見て、「確かに問題はすごくある。素人の私が見ても、ここはもっとこうすればいいのに」と気づいたことを創業者に宛ててお手紙にまとめたんです。「ピューロランドは大丈夫です。
まだまだ伸びしろがあります」と励ましのつもりで送ったら、「女性のあなたがやってみるのもいいかもしれないね。やってみるか」と。
──思いがけない打診があった。
<小巻>
本当に迷いました。エンタメなんて全然分からないし、やったことがない。でも、私は皆を元気にすることはできるかも。そんなふうに迷うってことは100%ノーじゃない。
何かしらやってみたい気持ちがあるのであれば、引き受けて挑戦しようと思ったのが決め手でした。だから、ゆめゆめ私が黒字にしますみたいな自信や気負いがあったわけではなく、皆のお母さんのような存在になれたらという気持ちで入りました。大学院を修了した翌年のことです。
──まず何から着手しましたか?
<小巻>
ずっと赤字ってことは投資ができない。厳しい経費削減で本当に爪に火を灯すような状況だったので、余計なことは言わない、与えられたことだけをやっているという暗い雰囲気でした。
そこでコーチングや心理学を学んできた経験を活かし、まずスタッフ一人ひとりの話を聴くことから始めました。その時に私は5つの質問を発したんです。
「そもそもなぜこの会社に入ったのか」という初心を聴き、「なぜ苦しい時も辞めなかったのか」というモチベーションを聴き、逆に「一番嬉しかった、楽しかったことは何か」という希望を聴き、「お客様に見てほしいところはどこか」という美点・強みを聴き、「この先、ピューロランドがよくなるためには何が必要か」というアイデアを聴く。
そうすると、驚くほど一人ひとり熱い思いやアイデア、会社に対する愛を持っていることが分かりました。中には「もうダメですよ、うちなんて」という社員もいましたが、それでもやっぱりちゃんと会社のことを考えているんです。
だから、辛くて泣きながら帰った日もあれば、嬉しくて泣きながら帰った日もあります。皆のモチベーションに心を打たれて、絶対にこの人たちの思いを叶えたい。それが原動力になりましたね。
(本記事は『致知』2025年12月号 インタビュー「私の人生は涙と共にある」より一部を抜粋・編集したものです)
~インタビューの内容~
◆「みんななかよく」の価値観を世界に広げたい
◆号泣から始まったサンリオ生活
◆最愛の息子との死別、自身も過労で生死を彷徨う
◆どん底の人生を劇的に変えた2つの転機と1冊の本
◆V字回復の起点になった「5つの質問」
◆いかにして意識改革を遂行したか
サンリオエンターテイメント社長の小巻亜矢さんは、専業主婦から経営者に転じ、赤字に陥っていた同社を僅か2年で黒字化、前期は過去最高益を実現されました。一方、34歳の時に最愛の息子と死別し、40代で立て続けに乳がんや子宮の病を患われます。小巻さんは悲喜交々の経験にどう向き合い、豊饒な人生を歩んできたのか。
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◇小巻亜矢(こまき・あや)
1959年東京都生まれ。1983年成城大学法学部卒業後、サンリオ入社。結婚を機に退社して11年の専業主婦生活を過ごす。その間に3人の子を出産するも、次男を幼くして事故で亡くす。その後、サンリオ関連会社に復帰し、2014年サンリオエンターテイメント顧問、翌年同社取締役。2016年サンリオピューロランド館長、2019年サンリオエンターテイメント代表取締役社長。仕事の傍ら、2011年51歳で東京大学大学院に進学し、対話的自己論で修士論文を纏める(2013年修了)。著書に『サンリオピューロランドの人づくり』(ダイヤモンド社)『逆境に克つ!』(ワニブックス)など。
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