【第12回】佐藤勝人 快刀乱麻を断つ 仕事と人生に役立つ実践的問答 ——「仕事以外に興味がない」生き方の美学

栃木県内に商圏を絞り、「地域一番化戦略」で圧倒的シェアを誇るサトーカメラ。同社副社長の佐藤勝人さんはビジネス書作家として12作目を出し、商業経営コンサルタント、Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」と情報発信を含め、全国各地の商工会議所で講演やセミナー、さらに企業や商店の現場へ出向いて個別支援をし、経営者育成塾「勝人塾」も主宰されています。

本連載ではそんな佐藤さんに、現代ビジネスマンから寄せられた悩みや胸の内の葛藤、さらには社会情勢までも「勝人節」でズバッと答えていただきます。

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仕事=自己表現

「仕事以外に興味がない」と言うと、多くの人は孤独を感じ、家族が可哀想だとか、 堅苦しさを連想するかもしれません。しかし、私にとっての〝仕事〟とは、世間が思うような生計の手段でも、時間を切り売りする作業でもありません。

私にとっての仕事とは――自分の思想や哲学を社会に翻訳するための舞台そのもの。 24歳から仕事に没頭してきましたが、 それは競争に勝つためでも、金儲けだけを目的としたものでもありません。自分の考えを形にし、人を育て、地域に新しい価値を生む。そうした営みのすべてを〝仕事〟という表現手段でやってきました。 だから、「仕事=自己表現」「経営=人生の芸術」だと思っています。

仕事の中にこそ〝人生のすべて〟がある

多くの人は、仕事とプライベートを分けて考えるのではないでしょうか。しかし私の人生では、その境界線は存在しません。

仕事の中で人は育ち、喜びも悔しさも経験し、出会いと別れを繰り返し、困難に立ち向かい、覚悟を鍛える。そのすべてが人生の本質であり、自身を磨き続けるからです。

現場で若者が芽を出す瞬間、お客様の表情がふっと緩む瞬間、 事業が一つの壁を越えた手応え。仕事に全身を投じている人間にしか味わえないワクワクとする景色が毎日続く。その仕事の中で、人間の可能性と感動を何度も目の当たりにしてきました。だからこそ、仕事こそが「人生そのもの」なのです。

「趣味=研究」という生き方

人から「休むことも大切だ」と言われることがあります、確かに大切でしょう。 しかし私は、休むと退化するタイプ。米国流通視察も、野球観戦も、映画鑑賞も、音楽も、読書も、筋トレも、私にとっては遊びではありません。 それらすべてが「人間理解」や「構造分析」に繋がる研究素材です。

趣味は息抜きではなく、仕事をさらに進化させるための“肥料”のようなもの。余暇のすべてが、仕事に還元されていきます。 私の中では、休み=停滞、遊び=思考停止なのです。

歳を重ねるほど、情熱の温度は上がる

私は今月で61歳になりますが、一度たりとも「仕事に飽きた」と思ったことがありません。むしろ年齢とともに、情熱の温度はどんどん上がっています。それは仕事こそが、魂を燃やせる唯一無二の場所だからです。

人生とは、結局どこに魂を置くかで決まります。趣味に置く人もいる、家庭に置く人もいる、どれも立派な生き方です。ただ私は、自分の魂を「仕事」に置くと40歳で決めただけ。それが私の人生を揺るぎないものにし、この道を走り続ける力をくれています。

魂を込めた仕事がもたらすもの

仕事にすべてを懸ける人生は、決して窮屈でも、不幸でもありません。 むしろ、これほど夢とロマンに満ち溢れ、毎日がワクワクする旅路はありません。

仕事の中で人が育ち、未来が開け、自分自身が磨き上げられる。その醍醐味を知ってしまった以上、この道をやめる理由などどこにもありません。日々の挑戦によって自分の可能性が広がり、仲間とともに新しい価値を創造していくプロセス。そこには、他のどこにも存在しない興奮があります。

私にとって仕事は「生きるための手段」ではなく、「存在の証明」そのものです。これからもいままで通り、どんな困難が押し寄せようが、一つひとつを味わいながら仕事に投じ続けることでしょう。それが私の生き様であり、〝生きた証〟だから。Don’t miss it


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◇佐藤勝人(さとう・かつひと)
サトーカメラ代表取締役副社長。日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント。想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント。作新学院大学客員教授。宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師。商業経営者育成「勝人塾」塾長。(公式サイト)
栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に『地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法』(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。 

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