〝氣〟で人を癒やして半世紀……新倉勝美さんがその手に込める愛

1976年、重い病に罹った愛娘を長年にわたる必死の看病で快癒へと導いた経験から、医者に見放された患者さんを受け入れ、独自に編み出した〝氣〟のヒーリングで癒やし続ける専門家がいます。「インターナショナル 氣 綾空会 新倉式呼吸法」を主宰する新倉勝美さんです。にわかに信じがたいその力は、かつては空手の国際チャンピオンであり、強くなりたい一心で鍛えていたものだったそうです。それから約半世紀……現在もお弟子さんと共に、患者さんの求める声に応えながら、「新倉式呼吸法」の伝道にも力を尽くすその生涯の出発点に迫ります。

(本記事は月刊『致知』2004年9月号 特集「恕」より一部抜粋・編集したものです)

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難病患者を「氣」で治療 !?

〈新倉〉
私の道場には、医者から見放された末期のがん患者さんがひっきりなしに訪れてきます(2004年当時)が、1日6回、20日間私の氣を患者さんに入れ続ければ、相当大きながんでも消すことができます。

がんの跡が消えない場合でも、例えて言えばそのがんを休火山にし、死火山にして、がん細胞が再び活動しないように封じ込めることができるのです。これは、私が治療した患者さんをリサーチしているオハイオ州立大学によって確認されています。

なぜがんが消えるのかは私にもわかりません。独自に修業を続けてきた結果、自分の体を媒介して、あるエネルギーを患者さんの体内に差し込むことができるようになったのですが、おそらくそのエネルギーは、宇宙や地球からきているものであり、その中にがんを消す要素が入っているのではないかと私は考えています。

たくさんの患者さんを診ている中で、私の治す力はどんどん強くなってきました。いまでは、遠く離れた患者さんに、電話で氣を送って治療することもできます。

その中に、膠原病(こうげんびょう)の年配者がいらっしゃいました。手の指がどんどん溶けていく病気で、何十年も指先から絆創膏(ばんそうこう)を外すことができなかったそうです。膠原病の患者さんを診たのは初めてですが、3日間氣を入れ続けた結果、症状が緩和され、もう絆創膏を貼る必要はなくなりました。

氣というのは目に見えないだけに、その存在を信じる人もいれば、あんなものは嘘だと頭から受け付けない人もいます。

私は、どちらも正しいと思います。信じる人にとって氣は確かに存在するし、治療を受ければ治りも早い。しかし、氣の存在を信じない人には、こちらが一所懸命に氣を入れてもなかなか効果が現れないのです。氣というのはある面、宗教に似たところがあるように思います。

私も初めは、そういうものが存在することすら知りませんでした。独自に修業し、身につけてきたこの不思議な力が、たまたま中国の氣功師の技に似ていることを人から指摘され、便宜上氣と呼んでいるに過ぎません。

実際は、鼻で呼吸しながら氣を出す中国の氣功に対して、私の場合は、吐く息を歯の裏側にぶつけて浄化させ、「シーッ!」という独特の音とともにエネルギーを出します。その威力は強大で、飛びかかってくる大男を簡単に吹き飛ばすこともできます。

いま私は、この力で人を癒すことに喜びを見出していますが、かつては強くなりたい、相手を倒したい一心でこの力を身につけてきたのでした。

娘に送り続けた〝愛〟の氣

私は生まれつき体が小さく虚弱であったため、周囲からは恰好のいじめの対象でした。強くなりたい。一途な思いで私は武道の修業を始めました。柔道、空手、合気道、居合道、小太刀、剣道、槍など、あらゆる武道に挑戦し、修業に励みました。訪ねた道場の数はおよそ200か所、獲得した段位を全部合わせると三十段にも上りました。

それでも、実際に戦う際には体が小さいことがどうしてもネックになる。私は、講談に出てくる猿飛佐助や霧隠才蔵のように、高い木の上に飛び乗ったり、水中を自在に移動できるような、特別な能力にあこがれました。

自宅の庭に温室を作り、6匹ほどマムシを飼っていた時期もありました。マムシが狙った獲物を確実に仕留めるわけを知りたかったからです。これだと思ったのは、マムシが発する「シーッ」という独特の音でした。この音とともに発生するエネルギーで獲物にダメージを与え、動けなくして襲いかかるのではないかと仮説を立てました。

この不思議な力をなんとか格闘技に応用できないかと考えた私は、暗中模索でいろいろなことを試してみました。

 (中略)

こうした努力が実り、1967年、24歳の時に、私は国際空手道選手権大会に出場し、国際チャンピオンになりました。その時、あるアメリカの選手から、現地にはまだすごい選手がたくさんいる。真のチャンピオンになりたいなら、俺がプロモートするからアメリカに来いと言われました。そこで私は、父親と妻と生まれたばかりの娘に宛てて三通の遺書を書きました。負けたら生きて帰ってくることはできない。私は悲壮な覚悟でアメリカに乗り込みました。

結局アメリカでは通算200試合をこなしました。その間、骨を6本折られるほどに試合は壮烈を極めましたが、相手に負けたのはわずか3回だけ。まさに怖いもの知らずでした。

ところが、そんな私の前に、とてつもない強敵が立ちはだかったのです。そしてその強敵との戦いを通じて、私は自分の考えを大きく変えることになったのでした。

かつてないほどの強敵。それは娘の病気でした。1976年、当時7歳だった長女が脳腫瘍にかかり、手術をしても1年もたないだろうと医者から宣告されたのです。幸い手術は成功しましたが、その後何度も何度も再発を繰り返し、ついに「これ以上再発した場合は、いまの医学ではどうにもならない」と医者から告げられました。

そんなバカなことがあるものか。この子は何も悪いことをしていないのに、どうしてこんな目に遭わなければならないのだ――。

最初は、この世に神も仏もあるものかとすら思いました。しかし、重病のわが子を見ながら私は考えました。動物は自分の子どもの病気をなめて治してやる。子を思う母親の愛情がそれを可能にしたのだから、自分も愛情でこの子を救おう。

私は、毎日娘を抱きかかえては、深呼吸で宇宙の氣を腹にため、長い吐息とともに氣を掌から送り出し、娘の頭に一心に送り続けました。

治ってほしい。いや、必ず治してやる。願いを込めて送り出した氣は、長女の体内に移り、やがて病状は奇跡的に回復へと向かっていったのです。

自分の氣を戦いではなく、初めて病気を癒すことに使った私は、氣とは愛情であり、エネルギー(生命力)であることを悟ったのでした。


▲若き日の気づきによって、強さのためではなく癒やしのため、愛をもって氣を届けてきた新倉さん


◉『致知』2025年11月号 連載〈大自然と体心〉に新倉勝美さんがご登場。氣を健康法として取り入れるための「新倉式呼吸法」のやり方を説明していただきました。記事の詳細は、こちら

~本記事の内容~
◇氣には人を癒やす力がある
◇愛娘の病気を治してやりたかった
◇自然界のエネルギーを自分に取り込もう

◇新倉勝美(にいくら・かつみ)
昭和18年神奈川県生まれ。42年国際空手選手権大会に出場し、国際空手チャンピオンになる。51年愛娘が脳腫瘍にかかり、その快復を実現した経験から平成7年「氣」によるヒーリングを志す。9年第2回世界氣功大会で氣マスター・オブ・ザ・イヤー受賞。同年より2年間米ハーバード大学内にて無償で指導、イングランド鍼灸大学院で教鞭を執る。ミシガン州の道場で氣によるヒーリング、呼吸法の指導を行い、多数の弟子を育成。現在は日本を拠点に活動。

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