2025年09月19日
「宿題・定期テストなし」「クラス担任制廃止」といった型破りな学校改革を断行し、都心の名門・麹町中学校校長としてよもや公立校とは思えない教育改革を進めてきた工藤勇一氏。現在は教育アドバイザーとして日本の教育界を牽引し続けている氏の、子どもたちの主体性に重きを置く教育方針の原点には、20代からの〝習慣〟にあると言います。
(本記事は『致知』2025年9月号 連載「20代をどう生きるか」より一部を抜粋・編集したものです)
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自分の頭で考え、行動する
20代の10年間を振り返ると、後悔したくない一心で無我夢中だったように思います。
まだまだ稚拙ながらも、分かれ道に遭遇する度、困難な道を選択してきました。その一つひとつが自分の身になっていったと実感しています。
私は山形県の鶴岡市で生まれ育ちました。父親は自動車のディーラー業を営んでいて、事業を大きくするために懸命に努力する姿は鮮明に覚えています。
いまでこそ教育を天職とする私ですが、子どもの頃から高圧的な先生は大嫌いでした。
時は1970年代。悪しき全体主義が蔓延っており、クラスの誰かが悪さをすると、全員で廊下に立たされる。体罰も当たり前で、理不尽に殴られたことも数えきれません。そうした体験が積もり積もって、教師に不信感を抱くようになりました。
また、表に出ることが好きではなく、リーダーにはなりたくないと強く意識していたほどです。高校は地元の進学校に進み、政治や哲学について同級生と侃々諤々の議論を重ねていたものの、周りと比べれば幼稚だったと思います。
そんな学生時代から自然と身についていた習慣があります。それは、自分の頭で考えるということです。先生や両親に教えられたことを簡単に鵜呑みにするのではなく、本当にそうなのか、本質は何かと考えていく。すぐに答えが見つからない時は本を読んで調べるなど、自分の頭で考え、行動することを心懸けていたのです。
この習慣が私の人間形成の根幹となり、子どもたちの主体性に重きを置く教育方針に繋がっていることは間違いありません。
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◆自分の頭で考え、行動する
◆転機となった2週間の教育実習
◆「自分だけ善良な人間みたい」
◆自主性ではなく主体性を育てる
◆できないのはただやらないだけ
◇工藤勇一(くどう・ゆういち)
昭和35年山形県生まれ。東京理科大学卒業。山形県、東京都の公立中学校でそれぞれ教鞭を執り、東京都教育委員会、新宿区教育委員会教育指導課長を経て平成26年4月千代田区立麹町中学校長に就任。令和2年4月横浜創英中学・高等学校校長に就任。現在は教育アドバイザーとして、全国で講演活動を行う。著書に『学校の「当たり前」をやめた。』(時事通信社)『校長の力』(中央公論新社)など多数。
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