元専属広報が語る、〝ミスタープロ野球〟長嶋茂雄がやり残したこと


2025年6月3日、「ミスタープロ野球」の愛称で国民に親しまれた長嶋茂雄・元読売巨人軍監督が89歳でお亡くなりになりました。巨人軍の投手、後に専属広報として約半世紀、長嶋氏と行動を共にしてきた小俣進氏が語る、長嶋氏がやり残したこととは。※写真左は遠征先からの移動日、空港にて。右が小俣氏
(本記事は『致知』2025年9月号 特集「人生は挑戦なり」より一部を抜粋・編集したものです)

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長嶋監督がやり残したこと

約半世紀、巨人軍の投手や専属広報として歩みを共にしてきた長嶋茂雄監督(以下、監督)が、89歳の天寿を全うしたのは6月3日のことでした。

その日以降、多くのメディアの取材を受け、忙しくしてきた私ですが、ふと一人になる時、喪失感というのか、心にポッカリと穴が空いたような感覚を抱きます。いまもまだ監督がどこかにいるのではないか。そんな気持ちで毎日を過ごしています。

臨終の報せを受けてご自宅に駆けつけた時、そのお顔はまるで昼寝をしているのではないかと思うほど穏やかでした。血圧が少しずつ低下していく中で、約60年間、監督専属の運転手を務められた方の手をがっちりと握り、その方もあまりの握力の強さに驚いたほどでした。

その後、ニューヨークの松井秀喜さん(ニューヨーク・ヤンキースGM特別アドバイザー)から国際電話がかかってきて短い会話を交わし、静かに息を引き取られたそうです。

監督は最晩年まで、自分にはまだまだやり残したことがあるという気持ちをずっと抱いていました。その一つが野球を通して子供たちの夢を育むことでした。

監督は2004年のアテネオリンピックで日本代表の監督を務める予定でした。しかし、脳梗塞で倒れてその思いを叶えることはできませんでした。

帰国した選手たちに向かって「君たちはとてもいい経験をした。これからは野球の素晴らしさをぜひ子供たちに伝えてほしい」と呼びかけていましたが、きっとそんな思いを亡くなる前に松井さんにも伝えたかったのだと思います。

6月8日、告別式を終えて監督の遺体が火葬された後、私は戻った遺骨に思わず駆け寄り、抱きついていました。私だけではなく、そこにいた皆がそういう衝動に駆られたのではないでしょうか。この時、監督の遺骨がまだ温かかったことが、その人柄と重なり、改めて悲しみが込み上げてきました。


(本記事は『致知』2025年9月号 特集「人生は挑戦なり」より一部を抜粋・編集したものです)

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◇長嶋茂雄(ながしま・しげお)
昭和11年千葉県生まれ。立教大学卒業後、32年巨人に入団。翌年新人王を受賞。国民的な人気を集め、特に王貞治氏とのコンビはON砲と呼ばれた。引退後も監督として同球団を5回のリーグ優勝、2回の日本一に導いた。平成17年文化功労者。25年国民栄誉賞受賞。令和3年文化勲章受章。7年6月逝去。

◇小俣 進(おまた・すすむ)
昭和26年神奈川県生まれ。藤沢商業高校卒業後、日本コロムビア・大昭和製紙富士を経て、48年ドラフト5位で広島に入団。50年交換トレードで巨人に移籍。左の中継ぎとして1軍に定着する。ロッテ移籍後プロ初完投・初完封を達成した。59年日本ハムに移籍するも、1軍で登板することなく現役を引退。その後、巨人の打撃投手、長嶋茂雄監督専属広報、スカウト、終身名誉監督付き総務部主任などを歴任。平成24年からはセガサミー野球部のアドバイザーを務める。

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