目に見えない世界、〝冥加〟を大事にする——元春日大社権宮司・岡本彰夫氏が語る、祖母の教え

 

大和の地で1250年の時を刻む春日大社で権宮司を長く務めた岡本彰夫氏。氏が40年間愛読し、座右の書とするのは、少食により運が開けるとする〝節食開運説〟で知られる江戸時代の観相家・水野南北の『修身録』です。岡本氏と『修身録』の出会いの背景にあったという幼少期の祖母の教えを、当時のエピソードと共に振り返っていただきました。
(本記事は『致知』2025年8月号 特集「日用心法」より一部を抜粋・編集したものです)

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目に見えない世界、〝冥加〟を大事にする

 

それが凝縮された書物が『南北相法極意・相法脩身録』(以下『脩身録』)です。私はこの書物を40年、自分なりに愛読し、座右の書としてきました。

なぜ神職の私がこの本と出逢ったのか。考えると、幼い頃の思い出が浮かんできます。

昭和30年代のこと、私は早くに父と生き別れ、母と祖母と3人で、奈良の田舎に育ちました。母は働きに出たため、祖母が父親代わりとなり、膝下で育んでくれたのでした。

この祖母が、少し変わった日課を持っていました。夏場、悪くなったごはんや、料理で出た野菜の切れ端をざるに取っておく。数日にいっぺん、少し離れた農家の鶏小屋へ私の手を引いてそれを持っていき、鶏たちに与えるのです。

幼心に、なぜこんなことをするのか疑問に思って尋ねてみると、祖母は即座に答えました。

「ミョウガに悪いからや」

そう言って黙々と歩いていく。その光景は、いまも脳裏に焼きついて離れません。ミョウガとは何のことか? 私は長い間悩み、小学生の時分には食べ物の茗荷のことだと勝手に合点していました。

将来の進路を考え出した高校生の折、飽き性の自分が唯一続けていたのが、神仏に手を合わせることでした。そこから神主を志し、神道を学び始めたことで「冥加」という言葉を知ったのでした。

「冥」は冥土の冥。冥加とは「目に見えない世界から加わる力」であり「知らず知らずのうちに蒙る神仏や先祖の御加護」のことです。祖母は、それをいただいていることへの申し訳なさから、ちょっとした余り物を他の家や生き物にお返ししていたのでした。この教育が、私の根幹になりました。


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◆目に見えない世界、〝冥加〟を大事にする
◆札つきの非行少年が観相に目覚める
◆相は活物――運命は日々の心がけで変わる
◆「発案は個人、評価はチーム、責任はリーダー」
◆神様が持たせてくれた弁当箱
◆悪因を解き、福有に至る道
◆すべては我が身、我が家から始まる

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◇岡本彰夫(おかもと・あきお)
昭和29年奈良県生まれ。52年國學院大学卒業後、春日大社に奉職し、数々の古儀・神事を復興。平成13年より27年まで権宮司。同年より奈良県立大学客員教授。宇賀志屋文庫庫長。奉職中から人材育成のための私塾「こころ塾」を主宰し、全国約300人が講話に耳を傾ける。著書に『天が教えてくれた幸せの見つけ方』(幻冬舎文庫)など多数。

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