2025年04月12日
◎各界一流プロフェッショナルの体験談を多数掲載、定期購読者数No.1(約11万8,000人)の総合月刊誌『致知』。人間力を高め、学び続ける習慣をお届けします。サッカー日本代表を二度、ワールドカップへと導き、現在はFC今治の会長を務める岡田武史さん。一方、侍ジャパンの監督を務め、現在は福岡ソフトバンクホークスの監督を務める小久保裕紀さん。共に世界を大舞台で戦ってこられた2人の名将が語り合う、「運」の掴み方とは。
(本記事は『致知』2025年4月号対談「勝運を掴む」より一部を抜粋・編集したものです)
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運を掴むためには
<小久保>
岡田さんの本を拝読してとても印象に残っているのが、「勝利の女神は細部に宿る」という言葉です。
これを踏まえて、練習でグラウンドに並べたコーンの周りを走る時に、内側を走るか、それとも外側を走るかというお話を選手の皆さんになさったのだと。
<岡田>
どっちを走っても大して変わらないんです。でもそこで楽をしようとしてたった1回、少しでも距離の短い内側を走ったために、運を掴み損ねてワールドカップにいけないかもしれない。コーンの外側を走るようなことが、日頃から自然ときっちりできているかどうか。結局そういうところが勝負の分かれ目になるんですよ。
僕がそれを痛感したのは、ジーコジャパンが出場したワールドカップの予選を観ていた時でした。あの時はオーストラリアに逆転負けして史上初の決勝トーナメント進出を逃したんですが、相手選手がミドルシュートを打った時に、日本の選手はきっと入らないと思ったのか、軽く脚を上げて反応しただけでした。僕が「あっ!」と思ったら、ズドーンとボールがゴールに入って逆転されたんですよ。
あの時に日本の選手が体を張って阻止しようとしていたら、歴史が変わっていたかもしれない。
人間だからパーフェクトはありません。でもそこを目指して努力しなきゃいけない。これくらいでいいだろうとか、そういう些細なことが勝負を分けると僕は考えるんです。
<小久保>
だからウォーミングアップのところから真剣に取り組んでおかないと、最後に運を掴みきれなかったりするわけですね。
僕は岡田さんのお話に共感して、練習ではグラウンドに引いたマーカーからマーカーまで必ず全力で走り切ることをルールにしています。もしやり切っていない選手がいたら、仲間同士で注意し合うんです。
<岡田>
素晴らしい。そこまでやっているチームは少ないでしょうね。
僕は、運というのは誰にでも、どこにでも平等に流れていて、それを掴むか掴み損ねるかの差じゃないかと思っています。
そして運は常に準備していないと見過ごしてしまうし、それは結局、練習の時にコーンの内側を走るか、外側を走るか。あるいは小久保さんがおっしゃるように、マーカーからマーカーまで必ず全力で走り切るかどうか。そういう小さなところが分かれ目になるんです。
(本記事は『致知』2025年4月号対談「勝運を掴む」より一部を抜粋・編集したものです)
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◆あの時に比べたら重圧をはね除けた開幕戦
◆支えてくれた人を喜ばせたい一念で
◆自分のチームという意識を持つ
◆理念を共有することの大切さ
◆強いチームに共通するもの
◆これからはエラー&ラーンの時代
◆主体性を育む指導法とは
◆運を掴むためには
◆感謝が持つ不思議な力
◆豊かな人生を築いていくには
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