「博多一風堂」×「ばんどう太郎」×「餃子の王将」——外食の雄が語り合う、経営者の心構え

和食レストランのばんどう太郎をはじめ様々な業態の店を展開し、北関東に盤石の礎を築いた青谷洋治氏。(写真中央))豚骨ラーメンの一風堂で世界進出、株式上場を成し遂げた風雲児・河原成美氏。(写真左)そして不慮の死を遂げた前任社長の志を継ぎ、餃子の王将で年商1千億円を実現した渡邊直人氏。(写真右)お三方に語り合っていただいた、忘れてはならない経営者の心構えをご紹介します。
(本記事は『致知』2025年3月号鼎談「我らかく経営せり」より一部を抜粋・編集したものです)

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創業の原点を忘れてはならない

<渡邊>
私も突然の社長交代から11年が経ってつくづく実感しているのは、社長というのは決して一人ではできないということです。お客様、社員、株主様、お取引先様をはじめ、多くの人に支えられてやっていけているのであって、そのことへの感謝の気持ちを忘れてはならないと肝に銘じています。

そして創業者の思いを、その時々にバトンを託された経営トップがその時代に合った形で実現していけば、大きく間違えることはないし、そこにこそ王将という会社の存在意義があると思います。

<河原>
とても大事なことですね。

僕は一風堂がマスコミで盛んに取り上げられるようになった頃、致知出版社さんから出ている平澤興先生の『生きよう今日も喜んで』という本を読みました。そこにこんな言葉があったんです。

「有名になることは、それ程むつかしいことではない。しかし、本物になることはむつかしい」

僕はこの言葉に心を強く打たれましてね。その時から、どんなに有名になっても原点を忘れることなく、本物を目指して自分を磨き続けようと心に決めたんです。いまもその思いは変わりません。

うちの会社もやがて代表者が変わって、二代目、三代目が率いていくようになるでしょう。その時に、青谷さんが致知出版社から出されたご著書のタイトルでもある「代々初代」、この意識で経営に取り組むことが大事だと思いますね。

渡邊さんもおっしゃるように、時代に応じてやり方は変わっても、創業の精神をしっかり伝えていくことが大事だと思います。

<渡邊>
やはり創業の原点を忘れてはなりませんね。

私が創業者に初めて会った時に、この人についていこうと思ったのは、私利私欲ではなく、世のため人のためにこの商売をやっているなと感じたからです。

創業者は言いました。「世の中には貧乏な人のほうが多いんや。そして貧乏な人が一所懸命働いてこの世の中を支えている。その人たちに、お金のことを気にせず腹いっぱい食べてもらいたい。そう思って俺は王将をつくったんや」と。

いまの言葉で言えば、世のため人のために食を通じて貢献していきたいと考えて事業を営んでいたわけです。

ですから社員には、仕事を通じて世のため人のために貢献できることのありがたさを自覚してほしい。それが働く喜びや誇りに繋がっていくことを伝えたいし、うちのお父さん、うちの主人はそういう思いで働いているんだと、家族に言ってもらえるような会社にしていきたい。それがこれからの大きなテーマだと思っています。

<青谷>
私も同じ思いです。家族にご飯を食べさせてあげたい、という切実な思いから事業を始めましたからね。

私はいまでも創業時に妹から言われた言葉を思い出してはドキッとするんです。その度に「しっかりしろよ、ブレるなよ」と自分に矢を向けて、どうすればもっと世の中のお役に立てるかを考えてきました。

いまは会長となり、息子が私の後を継いで社長を務めていますが、彼にはそういう創業の原点を大切にしてほしいということ。そしてもう一つ、徳を積んでほしいということを願っています。

『論語』に「徳は孤こならず」と説かれているように、徳を積んだ人は一人にならない、支えてくれる人が集まってくる。徳を積むことに終わりはありません。絶えずこれを心懸けることが、リーダーとして一番の大事なことかなと思っています。

<渡邊>
私も『致知』を通じて、利己ではなく利他であるとか、善因善果・悪因悪果といった大切な心構えを勉強させていただいていますが、そういう心構えというのはある日パッとできるものではありませんね。

今回のテーマは、「功の成るは成るの日に成るに非ず」だそうですけれども、平素からそういう真摯な姿勢で経営に取り組んでいくこと。その努力の集積によって高い目標も実現することができるのだと思います。


(本記事は『致知』2025年3月号鼎談「我らかく経営せり」より一部を抜粋・編集したものです)

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◆大変化の時代に求められる強いリーダーシップ
◆常に新しく、新しく挑戦を続けていく
◆まずは働く人を元気にすること
◆創業者が語る夢に強く惹かれて
◆起こった事実をどう捉えるか
◆お客様を大切にし社員を幸せにする
◆無我夢中さが自分をここまで運んできた
◆人が10年でやるところを3年でやる
◆創業の原点を忘れてはならない
◆価値をつくり出すのはあくまでも人
◆きょうできることを精いっぱいやり切れ

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