「弱さ以上の強さはないよ」——松岡修造の〝心の師〟行徳哲男が教える本当の強さ

感性の哲人・行徳哲男氏、92歳。米国の行動科学と感受性訓練を東洋の禅と融合し、「感性=紛れもない私」を取り戻す研修を創始した人物です。政財界やスポーツ界など受講者数は3万人以上に及び、スポーツキャスターの松岡修造氏もその一人です。松岡氏が心の師と仰ぐ行徳氏に、人間が持つ「本当の強さ」について教えていただきました。

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弱さを知ることが本当の強さ

<行徳>
20歳の時に世界ランキング100位以内の壁を突破し、24歳で当時日本男子過去最高の46位まで上がった。しかしその後、怪我や病気に苦しみ、大変な絶不調に陥ってね。デビスカップでは世界ランキング700位台の選手に負けて、悔しさを叩きつけた。

<松岡>
テニスに対して悩み、現役引退しようと思っていた時です。その中で姉貴からこんな研修があると聞いて山に来ました。1995年、27歳のことです。

僕はその時、初めての感覚があったんですよ。絨毯の毛が立つという。

先生が部屋に入ってきた瞬間に、僕はもう一歩も動けなくなって、先生以外見えなくなったし、絨毯の毛がブワッと立ち上がったんですよ。あれは先生が出している氣魄でしょうか。

<行徳>
氣魄と氣力だろうね。

宝塚市長を長く務めた正司泰一郎さんも同じようなことを言ってたよ。集中の中の集中じゃなかったら、その現象は出ない。針が落ちる音すらも聴こえるくらい集中して、集中の極点まで行く。

その集中を私に与えてくれた方は、浜松・方広寺の荒金天倫老師。私は研修に入る前、天倫老師からいただいた形見の警策を前に置いて2時間、もっと長い時もあったけど、ずっと坐禅を組んでた。

<松岡>
山に入らせてもらって何が変わったか、自分でもよく分かりません。ただ僕が変わったんじゃなくて、先生の魂が僕の中に入ってきて変えてくれたんです。

<行徳>
いや、変えたんじゃない。人間なんて変わらないよ。本当の自分に返っただけ。

<松岡>
自分自身を省みることができた。僕は自分の弱さというものに気づかせてもらえた時間だったと思っています。

<行徳>
修造君が私の91歳の誕生日にくれたメッセージ、これは見事だよ。

「行徳先生お誕生日おめでとうございます。(中略)最近気づいたことがあります。実は先生は人間ではないと。先生の強さ、前向きさ、オーラは人間の常識を超えています。まさにニューノーマル。ただその生きるパワーの源は先生にも〝弱さ〟があるから、そしてこれまで僕を含めたくさんの人間の〝弱さ〟を共有してくれたからだと思います。(後略)」

この手紙は本当に嬉しかった。

弱さ以上の強さはないよ。人間が強くなるのは弱さを知った時だけ。

強がってる人間、粋がってる人間というのは弱さの裏返しだから。現代人は気負いだらけです。

気負いっていうのは字の如く気に負けてる状態を指す。だから弱さを知ることが大事や。

良寛和尚の辞世の句に、「うらを見せ おもてを見せて 散るもみぢ」とある。

良寛は自分の弱さと脆さを弟子の貞心尼にだけは曝け出せた。だから安らかに死ねるという句を遺して逝く。

やっぱり弱さ以上の強さはないよ。弱みを知った時に人間は強くなれる。弱さを曝け出すのが本当の勇気だ。


衝撃的な出逢いから約30年の時を経て、師と弟子が初めて本気で語り合った今回。「煩悩を捨てるのではなく煩悩を食べる」「人間が強くなるのは弱さを知った時だけ」など、50年以上にわたって人間開発の一道を歩んできた行徳氏の本質を突いた言葉の数々。それに呼応するように鋭く切り込む松岡氏との対談は必見です。

◉『致知』2024年7月号 特集「師資相承」◉
対談〝「紛れもない私を生き切れ 師と弟子が本気で語り合う
『日本人にいま伝えたい魂のメッセージ』」

行徳哲男(日本BE研究所所長)
松岡修造(スポーツキャスター)

 ↓ 対談内容はこちら!

◆行徳先生の心の声を聴いていきたい
◆最大の危機はアイデンティティクライシス
◆「いまどんな気持ちですか」その問いを発する意味
◆弱さを知ることが本当の強さ
◆両親の不仲が「憤の一字」となった
◆煩悩を捨てるのではなく煩悩を食べる
◆ウィンブルドンベスト8に導いた行徳先生の一喝
◆真剣と深刻は違う徳とは無類の明るさ
◆時代を動かすのは若者たち
◆生の躍動と充実その極致が死である
◆知識や理性に偏らず行動あるのみ
◆迷いだらけの身だと思うことが本当の悟り
◆2人がそれぞれ師匠に学んだ生きざま

▼詳細・お申し込みはこちら

◇行徳哲男(ぎょうとく・てつお)
昭和8年福岡県生まれ。35年成蹊大学卒業後、大手財閥系企業に入社。労働運動の激しき時代に衝撃的な労使紛争を体験し、「人間とは何か」の求道に開眼。44年渡米、米国流の行動科学・感受性訓練と日本の禅や哲学を融合させ、「BE研修(Basic Encounter Training)」を開発。46年日本BE研究所を設立し、人間開発・感性のダイナミズムを取り戻す4泊5日の山中研修を完成。平成11年12月に終了するまで550回、政財界・スポーツ界・芸能界など各界のリーダー及びその子弟ら約3万名が参加。現在はそのエッセンスを凝縮した研修を続けている。著書に『感奮語録』(致知出版社)など。

◇松岡修造(まつおか・しゅうぞう)
昭和42年東京都生まれ。10歳から本格的にテニスを始め、慶應義塾高等学校2年生の時にテニスの名門校である福岡県の柳川高等学校に編入。その後、単身アメリカへ渡り、61年プロに転向。怪我に苦しみながらも、平成4年6月にはシングルス世界ランキング46位(自己最高)に。7年にはウィンブルドンで日本人男子として62年ぶりとなるベスト8に進出。10年現役を卒業。現在はジュニアの育成とテニス界の発展のために力を尽くす一方、スポーツキャスターなど、メディアでも幅広く活躍している。著書に、修造日めくりカレンダー『まいにち、修造!』(PHP研究所)など多数。

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