「反対されると、成功する」——セブン-イレブンの革新を支えた創業者の〝独自の経営指針〟(鈴木敏文)


全国2万店舗を超える日本最大のコンビニチェーン「セブン-イレブン」。創業者の鈴木敏文氏は、周囲の猛反発を受けながらも、既存の常識や慣習を打破し、今日の発展の礎を築いてきました。革新の背景にあった指針について、100円ショップ「ザ・ダイソー」創業者・矢野博丈氏とともに語り合っていただきました。

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反対されると、成功すると考える

<鈴木>
矢野さんがアクシデントのおかげと言われたけど、私も全く同感でね。

いま振り返ってみても、あらゆることに全部反対されてきた。
そこにやりがいを感じて1つひとつ挑戦していったからいまがあると思っています。

何かを提案して反対されると、これはやる価値があるな、成功するなと考えるんです。

逆に、皆がいいなと賛成することは誰もが考えることですから、あまりやる価値はないし、成功しない。そういうふうに思い込むようになった。

社長や上司から絶対にダメだと言われたことはやりませんでしたけど、自分で何かやろうと思い、それが間違っていることじゃなかったら、多少の反対があっても上司を説得して、道を開こうと。

<矢野>
反対されると無理かもしれないと諦めてしまうのが一般人だと思いますけど、そこが鈴木会長の普通でないところですね。

<鈴木>
割合小さい時から新しいことに挑戦するタイプで、生徒会に入ったり、学生運動をやったり。

東販に勤務していた時もそうで、私は20代後半の頃、『新刊ニュース』という広報誌の編集に携わっていました。版元さんから毎日新刊が出ますよね。それを全部読み、大まかな内容を書いて目録にする仕事に明け暮れていたんです。

無料配布で発行部数は5,000部だったんですけど、苦労してつくっているんだからもっと部数を増やしたい。それには、読者がホッとひと息つくものがないと面白くないと感じ、新刊目録のページを減らして人気作家のエッセイを入れ、さらに1冊20円で販売する改革案を出しました。

直属の上司からは反対されたものの、別の部署の上司が取り上げてくれ、最終的に部数を13万部に伸ばすことができたんです。

<矢野>
5,000部を13万部にされたとはすごいですね。

<鈴木>
大手の東販を辞めて、当時まだ5店舗しかなかったヨーカ堂に転職した時も、周り中から反対されました。

東販の看板を背負って行くと大作家や著名人に会えるわけですが、逆に自分の小ささを痛感し、仕事のやりがいや自分の存在価値を求めて、知人と会社を興そうと考えました。

そのスポンサーを探していた時、ヨーカ堂の幹部の方と知り合い、うちに来ればやらせてあげるという話だったので、自分でも流通業界には全く向かないと思っていましたけど、そのつもりで入社したんです。

ところが、実際には人材が欲しかっただけで、スポンサーの話は立ち消えになりましてね。でも、反対を押し切って転職した以上、辞めるわけにはいかない。それで目の前の仕事に打ち込んでいたら、段々面白くなってきたわけです。

<矢野>
鈴木会長はお若い時から、心の持ち方が素晴らしいですよね。


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本記事では、「誰も賛成しなかったコンビニ事業」「20世紀の経営者と21世紀の経営者」など、鈴木氏が念頭に置いてきた経営指針とともに、現代に求められる経営者の在り方について重要な示唆をいただきました。「ザ・ダイソー」創業者・矢野氏とともに〝不可能を可能にする〟経営哲学について語り合った経営者必読の内容です。

◉『致知』2019年2月号 特集「気韻生動」◉
対談〝「不可能を可能に変える
経営哲学」

鈴木敏文(セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問)

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◇鈴木敏文(すずき・としふみ)
1932年長野県生まれ。1956年中央大学経済学部卒業後、東京出版販売(現・トーハン)に入社。1963年ヨーカ堂(現・イトーヨーカ堂)に転職。1973年セブン-イレブン・ジャパンを設立し、コンビニエンスストアを全国に広め、日本一の流通グループとして今日まで流通業界を牽引する。2003年イトーヨーカ堂及びセブン-イレブン・ジャパン会長兼CEO就任。同年、勲一等瑞宝章受章、中央大学名誉博士学位授与。2016年5月より現職。著書に『わがセブン秘録』(プレジデント社)など多数。

◇矢野博丈(やの・ひろたけ)
1943年広島県生まれ。1966年中央大学理工学部卒業。学生結婚した妻の家業を継いだものの、3年足らずで倒産。その後、9回の転職を重ね、1972年雑貨の移動販売を行う矢野商店を夫婦で創業。1977年大創産業設立。1987年「100円SHOPダイソー」1号店が誕生する。1991年初の直営店を香川県高松市にオープン。1999年売上高 1,000億円を突破。2000年『企業家倶楽部』主催の「年間優秀企業家賞」を受賞。2018年売上高4,548億円で業界シェア56%の業界トップ企業である。2018年3月より現職。

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