2024年01月17日
卓球界で小さい頃から注目を浴びながら世界で活躍する平野美宇選手。その母である真理子さんは三姉妹を育てる傍ら、卓球教室を開き、競技力だけではなく人間力を育てることを大切にしているといいます。同じく「メシが食える大人を育てる」という理念のもと、全国に360校以上の「花まる学習会」をつくってきた高濱正伸さんと共に、教育で最も大事なことは何か、縦横に語り合っていただきました。
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子育てを通じて見えてきたもの
<高濱>
平野さんには三人の娘さんがいらっしゃいますが、ご自身の子育てはどうでしたか?
<平野>
もしかしたら他のご家庭とは違うかもしれません。一般的に我が子の指導は難しいと言いますけれど、私はすごくやりやすかったんです。だってフォローする時間がたっぷりあるじゃないですか。
<高濱>
寝ながらとか、お風呂に入りながらとかね。
<平野>
そう。子供たちの性格をよく分かっているから、どう褒めたらいいのか、どうやって叱るのが一番効くのか、タイミングが取りやすかったんですよね。
美宇が実家にいた頃は、試合や練習の送り迎えとかがあるのでどうしても美宇のための時間が多かったと思います。それに三女の亜子(あこ)は発達障碍で人とのコミュニケーションが苦手なので、リハビリに連れて行くなど亜子にも物理的な時間を取られていました。
じゃあ真ん中の子を可愛がっていないかと言ったらそうではなくて、時間は短かったとしても二女の世和(せわ)に接する時間は100%世和のために尽くしました。だからもしかしたら三人とも自分が一番愛されていると思っているかもしれません(笑)。
おかげで、美宇はご存じの通り世界を舞台に活躍していますし、世和はしっかり者に育ってくれて、東京の大学で栄養学を学びながら、東京で暮らす美宇と夫に栄養満点の食事をつくってくれています。
亜子は小さい頃から英語が大好きで、いまは英文学科の大学一年生。片道2時間かかるので大変ですが、とても楽しいそうです。卓球もバリバリやっていて、今度全日本選手権にも出場するんですよ。
<高濱>
本当に? どんな教育をされているんですか(笑)。美宇さんのオリンピック出場だけでもすごいのに、3人がそれぞれ輝いている。
<平野>
私も驚いています。亜子が卓球にこれほどのめり込むとも、またこんなに強い選手になるとも思っていなかったんです(笑)。卓球をやりたいと言い出した時、卓球は対人スポーツだから、苦手なコミュニケーション面が少しでも成長するといいなあ。卓球を通して仲間ができたらいいなあ。そんな気持ちでした。
本人の好きなことをやらせてあげるって本当に大事なんですね。
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★本記事は『致知』2024年1月号掲載の対談記事の一部を抜粋・編集したものです。全文は本誌をお読みください。高濱さんと平野さんの対談には、
●教師の仕事を通じて教わったこと
●成績のよい子ではなく、メシが食える大人を育てる
●卓球の練習を通じて人間指導を
●心からの愛には子供を変える力がある
●子供が伸びる家庭に共通すること
●子育てのベースは家庭円満、夫婦円満
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◇高濱正伸(たかはま・まさのぶ)
昭和34年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。平成5年33歳の時に「メシが食える大人を育てる」という理念を掲げ、「数理的思考力・読書と作文を中心とした国語力・野外体験」の三つを主軸にした花まる学習会を設立。7年には小学4年生から中学3年生を対象に進学塾スクールFCを設立。主な著書に『つぶさない子育て』(PHP研究所)『勉強の面白さってなんだろう』(KADOKAWA)など。
◇平野真理子(ひらの・まりこ)
静岡県生まれ。筑波大学時代は卓球部の主将を務める。卒業後、静岡にて10年間教鞭を執る。山梨に移り、平成15年に平野卓研(現・平野卓球スクール)を立ち上げる。三人姉妹の子育ての傍ら、約80名の老若男女に卓球を指導している。長女は東京オリンピック卓球女子団体銀メダルを獲得した美宇選手。著書に『美宇は、みう。』(エッセンシャル出版社)がある。