日本人の生き方の根本を定めた「教育勅語」——明治天皇の大御心に学ぶ

 

2022年に御生誕170年、崩御から110年という記念すべき年を迎えた明治天皇。しかし、その実像や日本近代化に果たした役割は、正しく理解されているとは言い難いのが現実です。日本の近代史に精通する日本政策研究センター主任研究員の岡田幹彦氏に、明治天皇の偉大なる精神と私たち日本人へのメッセージを紐解いていただきました。

日本国民の道徳の根本

〈岡田〉

日本の近代化・日露戦争の勝因として、日本人の精神性・国民性の高さを指摘することができる。そして、その精神性の根本、基礎となったのが、明治23(1890)年10月30日に、明治天皇の御名により国民に直接下された「教育勅語」に他ならない。

明治初年から明治20年頃にかけて、洋館「鹿鳴館」が象徴するように、日本の西洋化・欧化主義は極点に達していた。

欧米に追いつくためには止やむを得ない部分もあったとはいえ、日本人が大事にしてきた忠孝・仁義などの倫理道徳を学ぶ学問は蔑ろにされ、社会は道徳的混乱を深めていった。

その風潮に誰よりも心を痛められたのが明治天皇であった。鹿鳴館や首相官邸で行われる夜会や舞踏会を「亡国の遊び」とまで言われて嘆かれた。

また教育機関の欧化一辺倒の現状を憂えられた。国民の道徳と思想の混乱を、これ以上放置できなくなった明治天皇は、時の山縣有朋内閣に対して「教育に関し徳育の基礎となる箴言(しんげん)を編纂し、日夕(にっせき)児童をして読誦(どくじゅ)せしめることにせよ」と命じられた。

「教育勅語」の起草者は、元田永孚の後輩であり、和・漢・洋の学問に精通した天才・井上毅(こわし)。井上は明治天皇のご憂慮を最もよく知る元田と協力し合い、天皇の大御心(おおみごころ)が誤りなく正しく立派に表現されることに心血を注いだのであった。

その通り、「教育勅語」は日本人が二千数百年にわたって実践してきた国民道徳、踏み行うべき忠孝仁義の道を簡潔に明示した近代日本最高の文章となった。

明治天皇は「教育勅語」を小学教育の根本に据えられ、これに基づいて道徳教育、修身教育が行われ、明治前半期の道徳的混乱にようやく歯止めがかけられた。

事実、日清・日露、あるいは大東亜戦争において忠勇無双の働きをした日本人の多くは小学卒であった。まさに「教育勅語」による道徳教育が日本躍進の原動力となったのである。

しかし、それもGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の占領政策、戦後教育によって葬り去られてしまった。ここにいじめや引きこもりなど、現代日本荒廃の要因があると思わずにはいられない。

★この続きは本誌2022年8月号「覚悟を決める」をご覧ください。岡田幹彦さんの記事「明治天皇に学ぶ日本人の生き方」には、

・明治維新は世界史の奇蹟

・明治天皇を導いた偉大なる魂

・明治の国是を定めた「五箇条のご誓文」

・日露戦争を勝利に導いた人物鑑識眼

・世界を導くのは我が日本文明である

など、明治天皇の偉大さ、日本人が取り戻すべき精神がよく理解できる内容が満載です。本記事の詳細はこちら 

【致知電子版】で全文お読みいただけます

 


◇岡田幹彦(おかだ・みきひこ)

昭和21年北海道深川生まれ。國學院大學中退。学生時より日本の歴史・人物の研究を続け、月刊『明日への選択』に数多くの人物伝を連載すると共に、全国各地で歴史講座や歴史講演会を行う。平成2122年『産経新聞』に「元気のでる歴史人物講座」を連載(103回)。著書に『親日はかくして生まれた』(日本政策研究センター)『日本の誇り103人』『日本の偉人物語17』『日本の母と妻たち』(いずれも光明思想社)など多数。

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