5年ぶり甲子園出場!! 慶應義塾高校野球部の飛躍を支えた「人間学」の学び

第105回全国高校野球神奈川大会で見事優勝し、夏の甲子園出場を決めた慶應義塾高等学校野球部。5年ぶりとなる甲子園出場の裏には、2年前に導入した月刊誌『致知』を使った勉強会「学内木鶏会」の存在があったと言います。木鶏会導入によって生まれたチーム内の変化について、森林貴彦監督お話しいただきました。

※追記(2023年8月23日)
慶應義塾高等学校は第105回全国高等学校野球選手権記念大会で見事107年ぶり、夏の甲子園優勝を飾りました。

5年ぶり甲子園出場の背景にあった『致知』の学び

――木鶏会を導入したことで、チームにどのような変化がありましたか

(森林)
例えば、『致知』にご登場される一流の方々の生き方に触れ、お互いの感想文発表を聞く中で、「今度から積極的にやろうと思いました」「率先して難しい役を引き受けてやってみようと思いました」というように、物事を自分自身のあり方に関連づけて考えられるようになってきたことを、特にこの2年目に強く実感しています。

それが目に見えない力となって、メンバー同士、チーム全体に様々なよい影響を与えているように思います。

また、試合に出ていないメンバーでも、「チームにどうやって貢献したらいいだろうか」「具体的な何か行動として自分を変えていこう」「こういうふうに僕は心がけてます」という感想や発言が増えていて、とても頼もしく思っています。

―― 部員同士、チーム全体の雰囲気が変わってきたと。

(森林)
そうですね。「キャプテンだから」とか、「試合に出てるから」とか、「上級生だから」といった発言は全く出なくなり、皆でフラットに意見を言い合えるチームになってきました。

あと、やはり美点凝視の実践により、野球が上手・下手、上級生・下級生関係なしに、お互いのいいところを探し合うようになったことで、それぞれを尊重する、リスペクトする雰囲気が醸成されてきました。このお互いをリスペクトし合うことも、当然、チームスポーツにおいては、プラスにしかならない、マイナスに働くことは考えられません。

―― そうした積み重ねが、今回5年ぶりの神奈川大会の優勝、甲子園出場にも繋がったところはありますか

(森林)
ええ、そう思います。やはり、試合においては心の部分がとても大きく影響します。常に前向きな考え方でいられるかどうか、ピンチでもチャンスだと捉えられるかどうか、その心、精神の部分の強さは、まさに学内木鶏会から学んできたことですね。

実際、神奈川大会の決勝戦は、9回表の段階で負けていたんです。でも、ベンチでの表情、声掛けについては、「逆にこっから追いついて勝ったら本当に凄いよね」「俺たちはまた強くなれるよね」というような非常に前向きな感じでした。ですから、負けてはいても、「よし行くぞ!」「堂々と自分たちのプレーをやり切ろう」「目の前のことでベストをつくそう」という清々しい気持ちで臨めていました。

もちろん様々な要素はありましたけれども、そうした心の姿勢、チーム全体の雰囲気が運をこちらの方に向けてくれ、勝利を引き寄せてくれたように思います。

――最後は心の姿勢、人間力が勝負を決めるのですね

(森林)
レベルが上がってくればくるほど、技量や体力の差は、本当に紙一重です。逆に言えば、その紙一重を制するかどうかは、技術以外のところ、人間力の部分にあるということです。

「最後は人間力が大事だよね」と信じて取り組んできたことが、今回の優勝によって間違っていなかったと証明された。これから甲子園でも厳しい戦いがあるでしょうが、これまでの学びを堂堂と発揮すればいいんだ、そう確信と自信を持って試合に臨んでいきたいと思います。

※このインタビューは、2023年7月末に行われたものです。

↓慶應義塾高校野球部の強さの秘訣!学内木鶏会の様子はこちら!

https://www.youtube.com/watch?v=J-2T1VrN2_w


森林貴彦(もりばやし・たかひこ)
――東京都渋谷区生まれ。慶應義塾普通部から慶應義塾高等学校そして慶應義塾大学法学部法律学科卒。現役時代は名ショート。学生コーチ時代には佐藤友亮選手(元西武)らを育てた。その後、某有名企業に勤めるも、高校野球の夢捨てがたく指導者になることを決意。筑波大大学院で体育理論を修める。その後、幼稚舎教諭。長い間、日吉倶楽部技術指導委員長として、また学生コーチOBとして積極的に部員の技術指導に携わってきたが2012年から助監督就任。そして2015年秋から監督として指揮を執っている。幼稚舎教諭と塾高野球部監督の二足の草鞋をみごとに履きこなし、部員とともに全力で優勝旗めざして疾走している。

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