専業主婦の仕事は「キャリア」!? 薄井シンシアさんの幸せを手にする働き方

専業主婦の仕事を「キャリア」と位置づけ、家事・育児に専念する17年間を過ごした薄井シンシアさん。子供の大学進学を機に時給制のアルバイトを始め、数年後には一流ホテルの営業開発担当副支配人という重職を務めるという驚くべき経歴の持ち主です。育児・仕事の双方で自らの目標を達成された薄井さんに、仕事の心得、幸せを掴む思考法をお話しいただきました。

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キャリアを積み重ねる秘訣は?

薄井さんは長女を出産した後、「子供を一人前に育てることが、私の人生最大の仕事だ」と直感し、葛藤の末、大好きだった仕事を辞めました。その時に、薄井さんは「専業主婦に“転職”した」と思うようにし、仕事をするように計画的に家事を心掛けてこられたと言います。

長女の大学進学を機に、17年間の専業主婦に終止符を打ち、仕事を再開することを決意しましたが、長期間のブランクがあると仕事を再開する上で大変なことばかりだと思いがちです。しかし、薄井さんは主婦の経験が非常に生きたと話されます。

〈薄井〉
「私は誇りを持って家事や育児をしてきましたから、実際に仕事を始めると、マネジメントしたりコンセンサスを得る場面など、専業主婦の仕事が活かせることが多々あったんです。
 でも、2011年に日本に帰国して、仕事を探す時は非常に苦労しました。その時私は52歳。タイのカフェテリアでは実績を積んでいたにもかかわらず、当時の日本では『52歳の女性』というだけでほとんどの企業が門前払い。必死に見つけたのが時給1300円の会員制クラブの電話受付のアルバイトでした」

まず年齢で採用してもらえず、仕事を見つけるまでの間は辛い日々を過ごされたそう。そして、仕事を見つけてからも、壁が立ちはだかりました。

〈薄井〉
「その次の壁は自分の中にある壁、つまりプライドです。『レジ打ちや時給千三百円のアルバイトなんて嫌だ』と意地やプライドを持っていたら、仕事復帰はできなかったと思います。
 私は幸いにも仕事に貴賤はないと思っていたので、実際にコピーを取ってホチキス止めする仕事を依頼された際にも、嫌がらずに、いかに綺麗に早く仕上げられるかを自分の中で競っていました。
 仕事に就いたばかりの頃は辛辣な言葉を掛けられたこともありましたが、最初の3か月は悔しさをバネに、必死で仕事の基本をマスターしましたね」

そうした地道な努力が奏功し、その後、ANAインターコンチネンタルホテル東京からお声掛けいただいて転職。昼夜問わず人の2倍3倍働き、与えられた目標額を倍増させたことで、翌年にはシニアマネージャーに昇格しました。

〈薄井〉
「他の人は20年、30年とキャリアを積み重ねてきましたが、50代でキャリアを再開させた私にはそんな悠長な時間はないんです。ですから毎日終電で帰り、帰宅後も土日もずっと仕事と勉強漬け。おそらく、私の1年間は他の人の5、6年分の密度があったかもしれません(笑)」

そして3年目には営業開発担当副支配人を任せてもらえたというのです。

人生で幸せを掴む思考法

育児のために仕事を辞めたこと、再就職を決めたこと、そしてキャリアアップのために転職されたこと。薄井さんの歩みを伺うと、選択に後悔がありません。

〈薄井〉
「私の場合、熟考の末、納得して決断したら、後ろは振り向かず全力投球なんです。中途半端な気持ちで決断するから後悔してしまうのだと思います。
 家族を養っていかなければならない時期だったらまた話は別でしょうが、いまはもう娘も独り立ちしているので、たとえきょう寝て明日の朝死んでいたとしても、全く後悔がないと言い切れるほど、1日1日を全力で生きています」

仕事や家事・育児との両立の秘訣を伺うと、薄井さんから熱いメッセージをいただきました。

〈薄井〉
「私も若い時にはやっぱり仕事か家庭かを選択しなくちゃいけないと思っていましたが、振り返ると、家庭も子供も仕事もすべて手に入れることができているんです。(略)
 ただ、いまお話ししたようにすべてを同時にはできなかった。私は器用ではないので、人生において力を注ぐ時期を分けたことで、常に全力投球できたと思っています。子育てがひと段落したいまは、毎日仕事が本当に楽しいんです」

社会における自分の立ち位置にもがきながらも、状況を明るく前向きに捉えて働き、自分の幸せを掴んだ薄井さんの生き方に学ぶものは多くあります。


(本記事は『致知』2018年7月号 特集「人間の花」より一部抜粋したものです)


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【登場者紹介】
◇薄井シンシア(うすい・しんしあ)
昭和34年フィリピンの華僑の家に生まれ、国費留学生として20歳で来日。東京外国語大学卒業後、日本人と結婚し日本国籍を取得。平成19年48歳の時、娘の大学進学を機に仕事を再開。アルバイトを経て、ANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。勤続3年で営業開発担当副支配人になる。29年シャングリ・ラ ホテル東京に勤務後、30年1月より現職。29年から無償でワリス戦略顧問を務める。著書に『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』(KADOKAWA)がある。

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