2018年11月05日
個人では最年少、フィギアスケート選手では初となる国民栄誉賞受賞が決まった羽生結弦さん、23歳。男子シングルとして66年ぶりにオリンピック2連覇を果たしたその強さの秘密はどこにあるのか――。スポーツキャスター・松岡修造さんと和食の神様・道場六三郎さんの対談の中で、羽生さんの強さの秘密が明らかにされています。
羽生結弦の強さの秘密
(道場)
松岡さんは平昌五輪の応援団長としていろんな選手と接してこられたと思いますが、特に印象に残っている選手はいますか?
(松岡)
皆さんそれぞれ素晴らしかったのですが、特にすごいと感じたのは、フィギュアスケートの羽生結弦さん。どこがすごいのかと言うと、一番は自分の心をきちんと言語化できるところです。ただ単に「頑張ります」ではなくて、
どのように頑張るかを具体的に伝えることができる。ひと言ひと言に駆け引きがあって、そこに学びがあるんですよ。
羽生さんは平昌五輪の約3か月前に靭帯を損傷する大きな怪我をされました。直前の大会を治療やリハビリのために欠場していてブランクがあった上に、痛み止めを打たないとジャンプも跳べない状態だったにもかかわらず、勝たないと意味がないとの覚悟で本番に臨み、2位と10点以上の差をつけ、男子シングルで66年ぶりとなる五輪2連覇を果たしたんです。
(道場)
圧巻の演技でしたよね。
(松岡)
そして、優勝直後に、「どんなオリンピックでしたか」と尋ねてみると、彼は、「とにかく捨てて、捨てて、捨てる作業をしたオリンピックでした」と。
一つは、勝つために「技」を捨てたわけです。羽生さんは世界で初めて4回転ループという大技を習得したんですが、それを封印しました。
もう一つは、自分の「欲」を捨てたと。彼はゲームが好きなんですが、怪我をしてからそれを一切やめた。あと、彼は「幸せ」も捨てたと言ったんです。
そして、最後に、それではこのオリンピックで何を得たのか伺うと、「幸せを得ました」って。
(道場)
んー、深い言葉ですね。
(松岡)
人は捨てることによって、掛け替えのないものを得られるんだなと。彼の感性と勝負感覚にはいつも勉強させてもらっています。こんなに誇らしい日本人はそういないですよ。23歳にして既に男の中の男です。
(☆本記事は『致知』2018年7月号特集「人間の花」の対談記事を一部、抜粋したものです。『致知』には人間力・仕事力を高める記事が満載!詳しくはこちら)
【致知に寄せられた推薦のメッセージ】
◇道場六三郎さん◇
父の想い出の中に、いつも枕元に修養書が有りました。今、私の枕元には『致知』が有ります。『致知』のおかげで安心して日送りが出来ます。私は店の者にも子供にも、『致知』は「人生航路の羅針盤」、また、どこへ流れて居るのか不安な時の「凧の糸」とも伝えています。風の流れ、世の流れ、何処に流れるのか、糸を手操れば足元に帰ります。料理の世界も同じ事。世界で泳ぎ基本に帰る。温故知新。人間の常識本、それが『致知』です。
◇松岡修造さん◇
僕と『致知』との出会いは1995年、ウィンブルドンベスト8に入った年だ。『致知』は僕に世界で戦うために必要な“精神”を教えてくれた。そして今『致知』から学んだことを応援という形でたくさんの人達の心に響く言葉として、これからも伝え続けたい。