作家・浅見帆帆子が名作『サラとソロモン』に学んだ引き寄せの原点

代表作『あなたは絶対! 運がいい』をはじめ、著書累計500万部を超える作家・エッセイストの浅見帆帆子さん。『致知』3月号の特集「名作に心を洗う」では、自身の心に残る名作として『サラとソロモン』(エスター&ジェリー・ヒックス著)を挙げ、その魅力を解き明かしてくださいました。

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〝居心地よく〟生きる

〈浅見〉
読書は不思議なもので、読む時の心の状態によって目に留まる箇所が異なるものです。読み返すたびに、「前回読んだ時、こんなこと書いてあったかな?」と思う言葉に出逢え、心を強く打たれます。だからこそ、目に飛び込んでくる言葉は、いま自分が求めていることの答えだと受け止めています。

私が心に残る一冊として挙げた『サラとソロモン』は、小学生の女の子・サラが言葉を話す不思議なふくろう・ソロモンに出会い、様々な問答や実践を繰り返しながら、幸せな人生を送る法則を学んでいくお話です。

難しい言葉で理論的に説明する専門書とは違い、ストーリー仕立てで「引き寄せの法則」を疑似体験でき、子供でも分かるように易しく解説されているのが特徴です。

『サラとソロモン』の素晴らしいところは、生活を変えるのに何か特別なことを行う必要はなく、日常生活の中で自分の考え方や気持ちを変えるだけでいいのだと気づかせてくれる点です。そしてその方法は、経営者でも学生でも主婦でも皆一緒で、日々の生活の中にこそ変化のきっかけがあると何度も説いています。この本からのメッセージをひと言でまとめると、

「目の前に起こる出来事をいつも自分にとって居心地よく捉えよう」

だと思います。〝居心地よく〟を別の言葉で表すと、わくわく、ほっとするという表現になるでしょう。楽しいほうを選ぶといってもいいかもしれません。起こった出来事は同じでも、自分の気持ちが明るく居心地のよいように捉えることで、その気持ちと同じ感覚のことが起こる、というのが引き寄せの法則の原点なのです。

「なぜ空を飛びたいのか?」

『サラとソロモン』の中でサラは空を優雅に舞うソロモンにこう話し掛けます。

「わたしも、ソロモンみたいに空を飛べたらいいなあ」

ソロモンが「なぜ空を飛びたいのか」と問い掛けると、サラは、いつも地面の上を歩かなければいけないのはつまらないし、時間がかかるからだと答えます。するとソロモンは次のように言うのです。

「サラ、君は『なぜ君が空を飛びたいのか』を話したのではないんだ。君が僕に話してくれたのは、『空を飛べないことを君がいやだと思う理由はなんなのか』ということだ」

腑に落ちないサラにソロモンは続けます。

「君が望んでいることについて話してほしいんだよ、サラ」

空を飛べない現状を嘆くのではなく、飛んだ先の素晴らしい未来を思い描く。ここに引き寄せの法則の基本が凝縮されています。私も含め多くの人が「こうありたい」と望みながらも、そうなれていない現実への不平不満ばかりを口にしています。しかも、自分でも気づかぬうちに、です。

例えば子育て中のお母さんによく見られることですが、子供にこうなってほしいと望んでいるのに、実際には「うちの子はこうなんです」と駄目なことばかりを嘆いている。日常の中でも「もう少しテレビから離れて見たら」と声を掛ければよいところを、「テレビから離れて見ないと目が悪くなっちゃうわよ」と、マイナスの話にフォーカスしてしまう。

これは老若男女問わず、あらゆる場面で見られる傾向ですが、それに対してソロモンは自分の望むほうを強調することで変えていくやり方を提案したのです。そのほうが、自分が心地よい。ここがポイントです。


(本記事は、月刊『致知』2021年3月号 特集「名作に心を洗う」から一部を抜粋・編集したものです)

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◇浅見帆帆子(あさみ・ほほこ)
東京都生まれ。青山学院大学国際政経学部卒業後ロンドンに留学、インテリアデザインを学ぶ。帰国後、執筆活動に入る。代表作『あなたは絶対! 運がいい』(廣済堂出版)をはじめ、著書累計は500万部以上にのぼり、海外でも広く翻訳出版されている。オンラインサロン「引き寄せを体験する学校」を運営。優良メルマガ「まぐまぐ」にて「まぐまぐ大賞」を受賞。音声配信「note」の「未来ラジオ」でも人気を集めている。最新刊に『朝のひらめき 夜のひらめき』(三笠書房)がある。

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