社員に仕事への自信と誇りを持たせたい——株式会社ヒロセ・廣瀬眞弓社長

滋賀県で総合リサイクル事業を営む株式会社ヒロセ。先代の跡を継ぎ、2007年に社長に就任した廣瀬眞弓社長は、「3K」という業務ゆえか仕事になかなか自信と誇りを持てず、業界の古い体質や発想から抜け出せない社員たちに頭を悩ませていました。廣瀬社長は、「社内木鶏会」を導入し、その状況をどう変えていったのでしょうか。

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社員に誇りを持たせたい

(廣瀬)

当社は、滋賀県で一般廃棄物・産業廃棄物を主体とした総合リサイクル事業を営む、いわゆる「3K(危険・汚い・きつい)」を代表する企業です。私が先代の跡を継ぎ、社長に就任したのは2007年のことでしたが、「3K」という業務ゆえか、社員は皆業界の古い体質や発想から抜け出せず、仕事にも自信と誇りを見出せない状況でした。

そのような中で、2011年に税理士法人中央総研の山川晋代表からプレゼントしていただいたのが『致知』でした。そして、『致知』をテキストにした勉強会・社内木鶏会を教えていただき、私は社長判断で導入することを決めたのです。

2012年3月の第1回社内木鶏会の日を迎えるまで、社員からは猛烈な抵抗と非難の連続でした。それでも私は、「世間から、きつい、危険、汚い、レベルの低い仕事の社員って思われているのが悔しい。皆が本を読む力、感想を書く文章力、それを人前で発表する発言力を身につけて、自分の仕事に誇りを持てる会社にしたいんや!」と、反発する社員に社内木鶏会導入への思いを伝え続け、開催の日を迎えました。

実際に、社内木鶏会を始めてみると、反抗的だった社員たちも次第に皆の前で感想文を発表できるようになり、また、お互いの発表に対して「美点凝視」で褒め合い、拍手するようになっていったのです。社内には「ありがとう」の言葉、笑顔、拍手が増え、社風がどんどんよくなっていくのを実感していきました。

さらに、2015年に「社内木鶏全国大会in札幌」に出場したことで社内の団結がより強固になり、社内の行事や地元のお祭りへの参加・企画を率先して行う「若獅子」という若手グループが結成されました。いまでは彼らが原動力となって会社を力強く引っ張ってくれています。

一番変わるのは社長自身

(廣瀬)

特に成長著しかった社員に松谷がいます。彼は気に食わないことがあれば誰にでも食って掛かる非常に反抗的な社員で、家庭ではいつも眉間に皺を寄せ、子供にとっても近寄りがたい父親でした。それが『致知』に学ぶようになって、笑顔で生き生きと仕事をするようになり、その姿を見た長男と次男が「父が楽しそうにしている職場で働きたい」と、大手企業を辞めて当社に入社してくれたのです。今年の夏には松谷の三男も入社する予定です。 

社員の子供まで当社で働きたいと思ってもらえることほど、経営者として嬉しいことはありません。 

そして社内木鶏会で一番変わるのは経営者自身です。かつての私は問題が起こると周りのせいにしてばかりいましたが、いまでは何事も原因は自分にあると思えるようになり、そのことで人生が大きく開けていきました。 

確かに、社内木鶏会の導入には社員の反発など、様々な困難があります。しかし私がそれに負けず一歩踏み出せたのは、会社・社員をよくしたい、幸せにしたいという思い、覚悟があったからに他なりません。覚悟を持って一歩を踏み出せば必ず会社、社員はよくなる、喜びが待っている、というのが私の実感です。 

これからも社内木鶏会に学び続け、「3K」の三文字を「感謝・感激・感動」に変え、社員皆の幸せ、社会に貢献し、「さすがヒロセ」と言われる企業を目指していきたいと思います。 

(本記事は月刊『致知』2018年9月号の連載「社内木鶏会で我が社はこう変わった」から一部抜粋・編集したものです。あなたの人生、経営・仕事の糧になるヒントが見つかる月刊『致知』の詳細・購読はこちら

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