「いただきますの心」で、世界中の食卓に笑顔と感動を届ける〈株式会社 三恒〉

月刊誌『致知』を活用した勉強会「社内木鶏会」。15年前のスタート以来、その輪は全国1,200社に広がっています。その社内木鶏会を7年間一度も休まず続け、大阪の魚市場で輝き続けている会社があります。株式会社 三恒(さんつね)。社長の三上正剛氏は、度重なる社員の離職・売り上げの激減に悩まされ、一時は廃業寸前に追い込まれた会社を見事に盛り立ててきました。悩み苦しむ日々の中で氏の指針となった「社内木鶏会」、その出合いと社業再建の道のりを語っていただきました。

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売り上げではなく、人間力で一番に

いまから19年前、26歳の時、広告代理店から水産仲卸業である家業に帰ってまいりました。社長である親父が末期がんと診断されたからです。当時の市場は、とても荒れていました。仕事が一段落すると、みんながお酒を飲み始めます。2年もするとそんな環境に慣れてしまい、一度は会社を辞めようと思ったこともありました。

そんな中、父は他界。「人として曲がったことをするな! しょうもないことしてまで金儲けすんな!」。これが父の口癖で、私は芯の通った父が大好きでした。そんな父を模範に、私は28歳で代表に就任。ところが、父の死後間もなく、父の右腕だった番頭を含め、従業員が次々と退社。同業者として独立しました。従業員8人のうち6人が去り、売り上げも一時はほぼゼロとなり、廃業寸前に追い込まれてしまいました。

商売のことを何も知らない私は、社員と共に朝から晩まで鮭を切り続けました。残ってくれた社員と死に物狂いで仕事に取り組みました。歯を食いしばって切るので、奥歯がぼろぼろになりました。徐々に事業が軌道に乗り始めた矢先、今度は自分で育てた右腕社員が突如辞めていったのです。そんな中、先輩経営者に、「会社の目指すべき経営理念を明確にして社員と共有し、大きな夢をもたなければならない」と聞き、大きな衝撃を覚えました。

社内木鶏会を紹介いただいたのは、まさにそんな時でした。本を読んだことのない人間ばかりでしたので、感想文も2、3行。社員の無言の抵抗が伝わってきます。ただ私は人間として成長するにはこれしかない! という信念がありましたので、淡々と回を重ねました。すると徐々に、社内木鶏会に取り組む姿勢が変わりだしました。

社員の行動や生き方が大きく変わったのは3年後。社員の想いによって「市場を美しくする会」が発足したことでした。7年も経つと、社員それぞれに生涯かけてやりたいこと、つまり、志が立つようになりました。

私が一番大切にしている言葉があります。道元禅師の「我逢人(がほうじん)」です。

多くの人々との出会いのおかげでいまの私がいます。心からそう思った瞬間、過去の出来事が走馬灯のように駆け巡りました。

私が代表就任の際、辞めていった大勢の社員は、自分たちの家族を守るために、頼りない私のもとから離れていったんだ! 一所懸命に育てた右腕社員が2人独立したのも、会社を守ることや自分のことしか考えていない、会社に夢も希望も、目的もない私を越えていったんだ! しかし、そのおかげで、理念、ビジョンが誕生し、社員と共に会社を成長させることができました。

社内木鶏会を7年間一度も休まず続けてまいりましたが、一番成長させていただいたのは、私だと気づきをいただきました。

社内木鶏会を通じて誕生した理念。それは、「いただきますの心を大切に」です。すべてに感謝する心は、日本人の大切な心。食を通じて「いただきますの心、すべてに感謝する日本人の心」を伝えていくのが、〝さんつね〟の役割です。

私たちは「食」という、人が生きていく上で、最も大切な仕事をさせていただいています。社員と共に描いたビジョンは、地球環境を変える会社であり、そのために、中央市場で一番の会社になることです。売り上げではなく、人間力で一番です。みんなのお手本になる会社、みんなの憧れになる会社、みんなから尊敬されるような人間を目指し、社員みんなと社業を全うしていきたいと思っております。


(本記事は2018年7月号 特集「人間の花」より、第8回社内木鶏全国大会 感動大賞受賞企業スピーチを抜粋したものです。『致知』を使った勉強会「社内木鶏会」にご興味のある方はこちら

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