二宮尊徳が説いた商売繁盛の秘訣


二宮尊徳の身辺で4年間暮らした門人・福住正兄が翁の言行をまとめた不朽の名著『二宮翁夜話』。かの森信三先生も『修身教授録』の中で、日本人の先哲の中で、最も優れた偉人として、二宮尊徳を挙げるとともに、「『二宮翁夜話』は、われわれ日本国民の『論語』と言ってよいかとさえ思うほどです」と述べておられるほどです。その二宮尊徳の説いた訓えの結晶ともいえる『二宮翁夜話』。日本人なら必ず一度は読んでおきたい不朽の名著です。その訓えは以下のような名だたる事業家たちにも影響を与えてきました。

■二宮尊徳から影響を受けた事業家たち(順不同)

○渋沢栄一(大実業家)
○安田善次郎(安田財閥の創始者)
○豊田佐吉(豊田自動織機創業者、トヨタ自動車の源流をつくった人物)
○御木本幸吉(ミキモト創業者・世界の真珠王)
○土光敏夫(日本経済団体連合会第4代会長)
○松下幸之助(PANASONIC創業者)
○稲盛和夫(京セラ創業者)
○佐久間貞一(大日本印刷の前身 秀英社創立)
○荘田平五郎(三菱財閥の推進者)
○伊庭貞剛(住友財閥の総理事)
○鈴木馬左也(伊庭の後継者)
○早川千吉郎(三井財閥の形成 中央報徳会の理事長)
○小倉正恒(住友の総理事)
○大原孫三郎(倉敷紡績、大原美術館、孤児院、病院等を建設)
○畠山一清(ポンプメーカー荏原製作所)
○河本春男(バウムクーヘンのユーハイム社)
○塚越寛(かんてんぱぱの伊那食品工業)

本日は発売前の本書の中から、「世の中の悩みを救う道」「商売繁盛の秘訣」という説話をご紹介します。

「世の中の悩みを救う道」

 

翁のことばに、からだで一箇所悩むところがあれば、全身がそのために悩むのは、だれでも知っていることだ。脳でも胃でも肺でもみんなそうで、はなはだしいときは死んでしまう。れは、からだが一体だからだ。

国でも家でも同じことで、一家に借財があれば家ぢゅうそのために悩むし、一国が凶作なら国ぢゅうがそのために悩むことも、だれでも知っていることだ。そこで、一身でも一家でも一国でも、悩むところがないようにしようとするのを、衛生といい勤倹といい、また泰平を祈るという。
 
ところで、一家に借財が多ければ、家人の身に及んで、神経を悩ますようになるが、これまた、だれでも知っていることだ。当今の世の中は驕奢の風が盛んなため、この悩みが多い。

この悩みがはなはだしくなれば、家を失い身を失うようになる。まことに哀れむべき限りだ。

これを自業自得といえばそれまでの話だけれども、自業自得は家長ひとりのことで、老幼婦女はその相伴をするのだ。いたましいことではないか。

そこでこれを救う道を考えてみると、私の立てた報徳金貸付の道が第一だ。どうしてかといえば、この報徳金の貸付は、太陽の神徳と同様に、功徳の広大なものだ。それというのも私が数年心を尽して考え、数年みずから取り扱って経験した方法で、天地が万物を生育したもうて恵まぬ所とてない、その天地の徳に範をとったものだからだ。

「商売繁盛の秘訣」

翁のことばに、商業が繁栄して大商人になるのは、高利をむさぼらずに、安価に売るからだ。高利をむさぼらないため、国ぢゅうの買手が集まってくるのは当然のことだが、売手もやはりここに集まるのはおもしろいことだ。

 買うことが売ることとの間に立って、高く買って安く売るのは、できることではない。だから安く売る所は買いかたも安いはずだ。その安く買う所に売手が集まるというのは実におもしろい。これはすべて、売手・買手双方に対して高利をむさぼらないからそうなるのだ。

 高利をむさぼらないだけで、買手も売手もどちらも集まって、次第に富ができる、これまたおもしろい。商人が高利をむさぼらないだけでさえ、こういうことになる。いわんや、わが方法は無利息なのだ。実に尊ぶべきものではないか。

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目 次
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第一篇 まことの大道
第二篇 天道と人道
第三篇 因果輪回の法則
第四篇 吉凶禍福善悪の法則
第五篇 無財から発財する勤倹の法則
第六篇 生活を安定する分度の法則
第七篇 幸福を永遠にする推譲の法則
第八篇 国家盛衰の根元
第九篇 治国の要道
第十篇 一円融合の報徳修練

・まことの道
・わが道は天地を経文とする
・不書の経文は心眼で読め
・積小為大
・家を興すのも積小から
・米作の積小為大
・小事を飾るな
・地獄・極楽と因果応報
・極楽を得る道
・家業は出精、欲は抑制
・勤惰・貧福の相
・先んじて節倹する
・貸し方の心・借り方の心
・推譲の段階
・湯ぶねの教訓
・無尽蔵をひらく大道
・万事、刃先を手前にせよ
・功成って退くのは仁者でない
・変事に備える道
・強欲の精農
・多く積み少く散ずる大原則
・一家の経済と天下の経済
・不動心を学ぶ

……全281篇

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原著者略歴
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福住正兄――ふくずみ・まさえ

1824-1892 江戸後期~明治時代の農政家。二宮尊徳の門人。文政7年相模に生まれる。箱根湯本の旅館福住楼の養子となり、師の報徳思想で家業を再興。小田原藩校集成館で国学を教え、報徳社を設立して報徳運動を指導した。明治25年没。本姓は大沢。通称は九蔵。号は蛙園、福翁。著作に『富国捷径』など。

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訳者略歴
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佐々井典比古(ささい・のりひこ)

1917-2009 大正6年佐々井信太郎の長男として小田原に生まれる。昭和16年東京帝国大学法学部卒業。17年内務省採用、間もなく応召。神奈川県研修室長、人事課長、労働部長、総務部長、副知事、神奈川県内広域水道企業団企業長を歴任。58年より報徳博物館長・一円融合会、財団法人報徳福運社・財団法人大倉精神文化研究所各理事長を歴任。平成21年没。父・信太郎は『二宮尊徳全集』を編纂した著名な二宮尊徳研究家。

不朽の名著、やさしい現代語訳で甦る
『二宮翁夜話』

福住正兄・原著
佐々井典比古・訳注

定価=本体2,800円+税

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