2018年08月18日
利益は後からついてくる
“絶対に緩まないネジ”で知られる「ハードロックナット」を開発し、東京スカイツリーや明石海峡大橋、新幹線、高速道路や人工衛星などで採用、世界から注目を集めているハードロック工業社長の若林克彦さん。
若林さんは「ハードロックナット」に留まらず、卵焼き器など様々な新製品の開発に成功し、「なにわのエジソン」との異名を取ります。
若林さんはなぜ優れたアイデアを次々と生み出すことができたのでしょうか。その秘訣は、「いいものを考えて相手を喜ばせたい」という思いにあると言います。
「やっぱり好奇心は必要ですね。ただ根本のところで大事なのが、いいものを考えて相手を喜ばせたいという思いです。そこに欲が入ったらダメなんです」
そして、若林さんは、相手を喜ばせたいという思いで何事にも取り組めば、利益は必ず後から回ってくることを、「たらいの水理論」で説明してくださいました。
「私はよく、たらいの水の話をするんです。たらいに張った水を自分のほうに寄せようとしたら、逆に向こうに行ってしまうでしょう。
けれども向こうへ押しやったら自分のほうに回ってくる。これと同じで、他人に与えたら必ず自分のところへ回ってくるようになっているんです。これはどんな商売にも当てはまる基本です」
とにかく人のためにという利他の心で取り組む、すると自ずと利益はついてくる――。若林さんのお話から、仕事、人生を発展するヒントが見えてきます。
(※本記事は『致知』最新号2018年9月号掲載、ハードロック工業社長・若林克彦氏のインタビューの一部を抜粋・編集したものです。各界のリーダーたちもご愛読、人生・仕事のヒントが満載の月刊『致知』の詳細・ご購読はこちらから)
☆若林克彦氏のインタビューの読みどころ☆
・1万個に1個の不良品も絶対に許さない
・必死になると思いがけないところで閃く
・二兎を追うものは一兎をも得ず
・苦しみの世界から喜びの世界へ
◇若林克彦(わかばやし・かつひこ)
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昭和8年大阪府生まれ。大阪工業大学を卒業後、バルブメーカーを経て、36年冨士産業社(現・冨士精密)を創業。その後、緩み止めナット「ハードロックナット」を開発し、49年ハードロック工業を設立。同商品は、絶対に緩まないことが求められる交通機関や機械、建築物などに広く採用されている。著書に『絶対にゆるまないネジ―小さな会社が「世界一」になる方法』(中経出版)がある。